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最高の評価を受ける登山家山野井泰史さんとその妻妙子さん。
彼らの成長、価値観、生活スタイルを、
不屈の生命力と技術で奇跡の生還を果たした
ギャチュンカン(7952m)への登攀〜生還〜復活の物語を通して
希代のルポライター沢木耕太郎が描きます。
フィクションではなくノンフィクション。
本人や関係者への綿密な取材と聞き取りをした
筆力のある沢木さんだから書けるストーリー。
ご本人の著作「垂直の記憶」でも
ギャチュンカンのエピソードは取り上げられてます。
そこにはご本人の言葉だから伝わる「凄み」がありました。
しかし、ルポライターだから書ける「凄み」がこの本にはあります。
登頂後、何度も雪崩にあい、滑落し、はぐれる、
ベースキャンプまでの行程、
帰国後、病院での凍傷手術のエピソード。
僕は電車内でこの本を読んでいたのですが、
あまりの凄まじさ、痛ましさに
顔がゆがむのを我慢できませんでした。
「ただ好きだから登る」
「好きな山に好きな登り方で登れるなら他には何もいらない。」
「それを邪魔することは一切やらない。」
「何があっても現状を受け入れベストを尽くして生きて帰る」
この本を読むと
そんな山野井夫妻のシンプルな価値観と生き方が
じっくりと味わえます。
世界七大陸最高峰制覇、
8000m峰14座制覇
エベレスト最高齢で登頂。
などどうしてもわかりやすい記録や、
メディアや企業が協力している登山家に
世間は注目してしまいますし、
それに対して
そんなものは無酸素単独じゃないとか、
真のアルパインスタイルではないとか、
他のパーティーの固定ロープを使ったとか使ってないとか、
いろんなことを言う人もいますが、
そういうわかりやすい結果だって、
山野井さん夫妻と同じように、
自分の現状を受け入れて、
「自分が登りたい山に登りたい方法で登っていた」ら、
生まれたニュースや登山家さんなわけで。
それを他人がどーのこーの言わなくても
いいのかなぁと思いました。
山ってそんなせせこましいもんじゃないですよね、きっと。
今から自分が山野井さんになれるなんて思えませんが、
山に入る技術を磨いてたくさんの経験をし、
山野井さんの世界の一端でもいいから体験したいと、
また強く思うのでした。
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