![]() |
山に命を落とした方々と
山で生きた人々に寄り添い、
山での生死を分けた場面を丁寧に分析することで、
山に情熱を傾ける人々の生と死の意味を問いかけます。
===
最も印象的だったのは、
自らも「リーダーは何をしていたか」で山岳遭難の意味に向き合った
本田勝一さんと著者神長さんの巻末対談で出てきた
「定向進化」という言葉でした。
定向進化とは、
「生物の進化において、一度進化の方向が決まると、
ある程度その方向への進化が続くように見える現象(wikipedia)」
のことなのですが、
それが種として絶滅に向かう進化だとしても、
その進化には歯止めがきかないという説もあるそうなのです。
(例:恐竜の巨大化)
登山や冒険の世界においても、
初登頂や初登攀の記録が狙えない現在。
自ら命を危機にさらす記録へと
挑まざるを得ないように登山界が進んでいると、
そういうことを仰ってました。
僕はこの言葉に触れたときに一番に思い浮かんだのが
福島での原発事故でした。
自らの命の源となる土と水をあれほど汚してしまう事故を起こしても、
経済成長と物質的/金銭的豊かさを求めてしまう成長への渇望が
「原発」を止めることを許さないこの状況。
まさに「定向進化」の道を辿っているように
僕には思えるのです。
僕達は「定向進化」の方向を変えられる程、
賢い種なのだろうか。
僕はその種の一員として、何ができるのだろうか。
思いがけず、そんな疑問を突きつけられた本になってしまったのでした。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する