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人生に於ても
自然に対しても
深く感ずる
無限を追う心だ
同じ岩間を縫って行く水
同じところを何時でも
同じ姿でくねって行く流れ
それを見ている私は
何とも知れず
悠久の想いに引き込まれて行く
不思議なことだ
二度と戻ってはこない水
少しずつでも形を変えて行く岩
それを見つめている自分でさえ
今の自分ではないことを思うと
自然のたゆみない働きは
私の心を愕然とさせる
遥遠の相
無限の螺旋
その一契点として
自分もまた動いているのだ
そして老いて行くのだ
「逝く者は斯くの如きか」
ああ遥遠なるものよ
悠久なる自然よ
私を山へ引張って行くのは
御前の持つ永遠の力だろう
無限の美しさだろう
冒頭で紹介されるこの詩が、
この本の魅力、価値の高さを存分に表していると思います。
日本の山岳界勃興期に黒部峡谷に入り
「渓」の魅力について存分に語った名著。
まだ黒部ダムが出来る前の黒部峡谷の描写。
黒部ダムによってもたらされる生活の豊かさへの期待、
原生自然が失われることの悲しみ。
この時代の方ならではの葛藤も印象的でした。
嘉門次や長次郎など、
新田次郎の小説に伝説的な山の案内人として、
数多く出てくる名ガイドが現役の姿でこの本に現れるのも驚き。
人は生きて死んで変わっていくけど、
山に魅せられ入っていく姿というのは、
いつの時代も変わらないのだなぁと妙に感慨にふけってしまいました。
山好きの父から譲ってもらいました。
いい本との出会いに感謝!
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