「最強の山城」高取城

2025年10月08日 18:15山と歴史全体に公開

奈良県の高取山の山上には高取城址がありますが、高取城は「最強の山城」の呼び声が高く、岡山県の備中松山城、岐阜県の岩村城とともに「日本三大山城」の一つに数えられています。

南北朝時代だった14世紀、日本では多くの城が築かれましたが、その大部分は天然の要害である山に築かれた山城でした。
現在、多くの人は「城」と聞けば、堅固な石垣や白亜の天守閣を備えた姫路城のような城を連想しますが、南北朝時代の山城は、姫路城のイメージからは程遠い土塁と柵と空堀の組み合わせによる極めて素朴な砦で、城主である武士は、平時は麓の屋敷で生活し、いざ戦いとなると山城に籠りました。

やがて、戦国の世となって戦いが常態化していくと、山城は大規模化して麓と一体のものとなっていき、戦国時代末期となると、鉄砲伝来による戦術の変化、戦国大名の権力の強大化、石垣の築造技術の進歩等のファクターによって、城は平地に隣接する丘陵や平地そのものに城下町と一体化する形で建造されるようになり、誰もが城という言葉から連想するような「近世城郭」が多く築かれるようになっていきます。

高取城も、もともとは南北朝時代に南朝方の武将・越智邦澄によって築かれた山城だったのですが、戦国時代末期に織田信長によって一旦廃城にされました。
しかし、信長が本能寺で討たれると筒井順慶の支城となり、豊臣秀吉が権力を握ると大和を異父弟・秀長に統治させ、秀長から高取城を与えられた家臣・本多利久は、天守閣や多くの櫓が建ち並ぶ稀有な山上の近世城郭を造り上げたのです。

本多氏廃絶後は、植村氏が明治維新に至るまで城主となりますが、1873(明治6)年、廃城令によって廃城となってしまいました。
廃城後もしばらくは左の写真のように天守閣が残っていたらしいですが、管理されずに放置状態だったため、自然に崩壊していったらしく、現在は中央の写真のように天守台が残るのみとなっています。
もし、備中松山城のように往時の天守閣が現存していれば、格好の観光資源となったことでしょう。

さて、そんな高取城が「最強」といわれる所以なのですが、高取城は標高583.6mの高取山上に築かれ、麓から446mという高低差があり、城の周囲は3㎞にも及ぶものであり、剰え先述のように近世城郭としての堅固な石垣を備えていたことにあります。
関ケ原の戦いの際、当時の城主だった本多俊政が上杉征伐で不在の折、留守を預かっていた俊政の弟・正広が、押し寄せてきた毛利輝元方の軍勢を撃退したという話もあるようです。

城下町を通る「土佐街道」を歩いて高取山まで登れば、きっと高取城の最強ぶりが実感できるでしょう。

2025-09-08 やっと等倍マクロレンズを購入

お気に入りした人

人

拍手で応援

拍手した人

拍手

訪問者数：178人