撮影地は能登半島地震にて津波による甚大な被害を受けた鳥見の聖地舳倉島
日本鳥類目録第8版が発行されました。
23年10月に😅
今年の2月に8版準拠の広島県鳥類目録が手元に届いたことで知りました。
んで、日記は4月。舳倉島のハチジョウツグミの写真をHD中探しても見つからず、昔やってたブログからサルベージするために時間がかかっていた次第で。
科目の並び順が大幅に変更されたりした大改訂の7版から11年。その前の6版期間があまりに長かったのもありますが、もう変わったのかという印象。
7版の編纂にあたっては広島県産の鳥の取りまとめでお手伝いさせていただきましたので思い入れも強い。
ちなみに日本で発行されている鳥目録はこの一種だけですが、全世界版の鳥目録は何種類もあり、それぞれ分類や種や亜種の区分が異なります。
日本鳥学会はそのうちの一つに準拠して目録を作成しています。国によっては複数の団体がそれぞれ違う鳥目録を出してたりもします。
8版は7版に比べると変更点は小さいですが、いろいろ変わっております。ライフリストが増えたり減ったり一喜一憂される方もいるのでは?
割と大きな変更は以下の通り。
・科目
「並び順変更」
今度はカモ目が先頭です。最後尾は不動のスズメ目ですが、最終ランナー確定と思われたホオジロ科の後ろにゴマフスズメ科(仮称)とアメリカムシクイ科が。情報網を張り巡らせてる重度の珍鳥マニアでもそうそうお目にかかれない鳥たちですけど。
「ツグミ科復活」
第7版でヒタキ科に吸収合併されたツグミ科ですが、大型ツグミ(ツグミやシロハラ、トラツグミなど)のグループが反旗を翻しツグミ科再結成を成し遂げました。
バルト三国みたいでかっこいいね。
ジョウビタキやルリビタキなどの小型ツグミや(でっかいけど)イソヒヨドリは従来通りヒタキ科です。
ま、名前がヒタキだし、ヒタキの方が可愛いからね、仕方ないね😎
・属種
「亜種が種に昇格、二種統合」
ハチジョウツグミ、リュウキュウサンショウクイ、チョウセンウグイス、シベリアアオジや離島亜種の多くが亜種から種に昇格。絶滅にひんしている離島種の保護が前進すればいいですね。
コウライキジ(人為移入種)もキジの亜種から独立し、タイリクキジ(人為移入種)という名になりました。
逆に第7版で独立を果たしたキアシセグロカモメが再びセグロカモメの亜種に逆戻り。しかも名前はモンゴルカモメに変更。まあ、日本に渡って来るキアシセグロカモメ(モンゴルカモメ)は足が黄色くない亜種だから紛らわしくなくなって良かった。
私はこの6種全部見てるので+5-1で差し引き4種増えました。
「新規追加、証拠不十分で除外」
関西圏を中心にヤマレコでも多く登場したニシオジロビタキなどが新規追加された一方、証拠不十分でヨーロッパチュウヒやウィルソンアメリカムシクイなどが除外。
「学名変更」
第7版でもちょこちょこ変わってましたが、8版でも。属の移動や新設だけでなく、種小名が変わった鳥も。海外産亜種からの分離と思われます。
特に大きな変更は大半の淡水カモが所属していたマガモ属anasの解体。ハシビロガモ属、トモエガモ属、ヨシガモ属(オカヨシガモ、ヨシガモ、ヒドリガモ、アメリカヒドリ)が離反。日本産のマガモ属はなんとたった4種に。みんな一緒に仲良く泳いでいるのに実は仲間じゃなかったなんて😭
カモメ属larusも大半のカモメが属する一大グループでしたがユリカモメなど小型カモメを中心に別の属を結成。
ツバメ属hirundoからコシアカツバメ脱退。そんなに系統が違うの?
ノスリの学名はButeo japonicus、アオバズクの学名はNinox japonicaに変更。ザ・日本。
ヨタカの学名はCaprimulgus jotakaに。なんと和名が種小名に。ヨタカの発音をラテン語にしたらこうなった。
コゲラの学名はYungipicus kizuki(キズキ=きつつき)。コゲラ属へ移動。特徴的な種小名が変わらなくてよかった。
今回の変更で、割と荒れそうなのが「ハチジョウツグミ」だと思う。
赤みが少ない中途半端な中間個体は八丈を八畳にかけて『四畳半ツグミ』や『六畳ツグミ』などと揶揄されてましたが、これからはそんな笑い話では済まなくなります。
四畳半ツグミが「交雑種」(調査では種名不明になる)なのか「個体差」なのか誰も知らないのです!
(なにしろ両種の繁殖地シベリアは広大で無人。分布域どころかさえずりや夏羽冬羽などの生態すら把握しきれてないらしい。巣を見つけましたって論文が出るくらい。当然交雑の可能性も不明)
さらにどのくらい『八畳』に近ければ『八丈』なのか基準がまだない。ツグミもハチジョウツグミも個体差が大きいと言われてる種なのでどうなることやら。
山階さんあたりの見解を聞いてみたいところです。春のバンディング(霞網)調査でかなりかかるでしょうから。
皆様の調査研究によって目録も進化
すべての生き物はそうですよね。
植物も新たな発見で属性や科も変更ありますもんね。
微妙なところはちっとも分かりませんが
学名、何かとワケが詰まっているようで面白いですね。
jotakaは聖書に登場しそうなお名前
今日はkizukiさん見ました😄
コメントありがとうございます。
DNAの解析により驚くべき速度で分類が変わってますが、地道なフィールドワークで形態や生態の違いを発見するのもまだまだ健在。
世界に9000種程度の鳥で侃侃諤諤なので植物の目録作成者は過労死しそう😅
学名は由来を知ると面白い種類もたくさんいますよ。コマドリとアカヒゲの学名とか。
ヨタカはヨセフさんとかヤコブさん系です😁
最後の晩餐にしれっと使徒ヨタカとか混ざっててもバレなさそう😎
キズキさんは一番小さいのにキツツキの名を背負って立つ偉い子です😊
ホビットさんが苅尾で見られた葉のないスミレはスミレサイシン(サンインスミレサイシン)と思います。
ありがとうございます!
苅尾で一番初めに覚えたスミレです😊
写真には展開しかけの葉と、スミレサイシン属特有の距が写っていたのでわかりました。
私にとっては非常に難しい内容です😢
地形などで隔絶された隣同士の種が少しづつ変化したときは亜種とされる?
其の各亜種のDNAチェックでは同種だと判定されないのか?
もみじさんも編集に参加されていたんですね 尊敬します
コメントありがとうございます。
分類学にDNA解析による系統樹の変更が加えられるようになってから、変化や深化のスピードに一般人はとても追いつけなくなってしまいました😥
今回の変更でもマガモ属解体のうちハシビロガモやヒドリガモは形態や生態が違うのがなんとなくわかる感じですが、ツグミ科再編成でルリビタキなどがヒタキに残った理由は全くわかりません。以前の分け方だと足の構造(ツグミ科はがっしり、ヒタキ科はほっそり)で分けられてたはずなのに。
地域個体群、変種、亜種、種。DNAがどこまで違えば区切りが移行するのか統一基準が無いのですが、DNAだけではなく隔絶した環境で新たに獲得した変化や行動も考慮されるようです。
今回多くの離島亜種が種に昇格しましたが、タネコマドリなど亜種に留め置かれてる種も多く、ほんと謎です😰
7版の編集といっても広島県支部が積み上げてきたデータを7版チェックリストと見比べてこの鳥はいついつに広島県のどこどこでだれが確認してます(もちろん代表的な数件を選出して)というのをひたすら打ち込んでいく作業ですけど😅
今回の8版にあたっても同様の作業があったはずですが、仕事の都合により時間が割けなくてここ数年はカモ調査のみのお手伝いに留まってしまってます😭
鳥の世界も分子系統分類の登場で大混乱が来ているのだなと思って記事を読んでいました。もみじさんのコメントを見たらその通りでしたね。私もかつて微生物の系統分類学に関わっていましたが、目に見えない生き物は遺伝子でこうです、と言われてもああそうですか、ってなりますが、鳥みたいに目に見える生き物は、見た目の特徴とは全く関係なくDNA配列の類似性で分類はこうですと言われてもビックリしますよね😵
それにしてももみじさんの鳥や歴史の博識にはいつも感心しています
コメントありがとうございます。
分類学も目に見えない力を取り込んで日進月歩ですが、6版から8版までの流れを見てたら先鋭的に分割を進めるグループと今までの枠をできるだけ残そうとする保守的なグループとの政治闘争でもあるんじゃないかと勘繰ってしまいます😅
リストの順番が変わるということは系統樹の枝の上げ下げ研究が進んだということでしょうが、図鑑片手に鳥を楽しむ立場としては、指で覚えたページ繰りがまた覚え直し😭になるのでほどほどにして欲しいところ。
微生物の世界はウイルスほどではないにせよ、世代交代が早くてさらに目まぐるしそうですね。学名も長めな感じのが多そうですし、それが変わるとため息出そう。
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