道に迷ったら登れとか、沢は避けろ、尾根を登れとか、一般的に言われています。
まあ正解なんてものは、助かったらそのやり方が正解、後付けしかありえないのです。多くの個別の事象から平均的・包括的に導き出されたものが一般論であって、逆に一般論から個々の事象を導き出すことは不可能です。
だから、一般論を絶対的なものとして考えることはできない、「こうしたほうがいいかも?」くらいに考えたほうがいいでしょうね。でも様々な知識、現地での観察などで、絞り込んでいくことは可能です。「場合によって違う」が正論でしょうけど、それじゃあなんの役にも立たないですしね。
自分はいろいろ変なところを歩くことが多く、その際に感じたことをいくつか挙げてみようと思います。もちろん数学の問題のように「正解」があるものではないので、あくまで自分はこう感じた、レベルの話としてみてもらえれば。。。山域によっても全然違いますしね。。。
基本、2000m程度までの低山のバリエーションについての話です。
・山では、登りより、下りのほうがずっと難しい。
・歩いて下れたところは、必ず登れる。登れるところが下れるとは限らない(滑って下りた〈落ちた〉とかは別)。
・がけ・急斜面では、下から見上げれば見える経路も、上からは見えない。
・見通せる程度の傾斜であれば、逆に上から見下ろせば見える経路も、下からは見えない。
・間違って下ってしまった場合、登れなくなるのは多分体力的・精神的な問題で、技術的な問題ではない(わかっていても、同じところを登り返すのは相当な苦行、気持ちもあせって無駄に消耗する)。
・沢を下るのは非常に難しい。行き詰ることも多い。よほどのことがない限り、避けたほうがいい。
・急斜面をトラバースするのは非常に難しい。よほどのことがない限り、避けたほうがいい。地形図には表現されていない、通過できない谷状地形もある。
・トラバースで標高を維持しながら水平に歩くのは難しい。かならず、下にズレてしまいがちになる。
・トラバースで谷を越えて経路を見失ったら、ほとんどの場合、経路は上にある。
・単なる斜面は尾根より傾斜が急で登りにくい。
・(地形の基本事項)尾根は下に向かって分岐する。沢は上に向かって分岐する。
・尾根の大部分は、沢に消える。十分下まで続く尾根はごく一部。
・沢に消える尾根の末端は、基本がけになっていることが多い。
・蛇行する川の内径側(尾根の末端)は、流れも早くがけになっていることが多い。外径側(沢の合流)は、流れが穏やかで浅く、川原になっていることが多い。
・下まで続く大きな尾根が、尾根上にいて見た感じ一番大きくわかりやすいとは限らない。
・つまり、地図なしで下まで続く大きな尾根を辿るのは、大抵無理。
・尾根上で通行困難な場所(がけ、キレットなど)は、ごく限られる(岩稜尾根などは当然のぞく)。
・低山のバリエーションの場合、一番問題になるのは自然地形ではなく、道路、シカ柵等人為的な構造物との接触部分。
・尾根から国道、県道に下り立つのは、そこの様子を知っている場合を除き、不可能なことが多い。あるいは避けたほうがいい(擁壁、落石防止ネットなど。落石も絶対してはいけない)。
・つまり、林道か歩道に下りる場所をさがしたほうがいい。ただし林道でも場所によっては下りられないことも多い。
・地形図でなだらかであっても、林道沿いはがけになっていることもある。
・地域によって、地形図の等高線の密度と傾斜の感じ方がけっこう異なることも多い。
・地形図の等高線が、局所的に実際の地形とまったく違うこともまれにある。
・植林地であれば、必ず林道に下りられる場所はあるが、山から下りてきてその経路を探り当てるのは難しい。林道から山に入る場合は問題ない。
・山の南向きの斜面、尾根より、北向きの斜面、尾根のほうが歩きやすい可能性が高い。
・歩きやすいところを順調に下っている時と登りの時では、スピード感が全然違う。下りの際、知らずに進みすぎて尾根の分岐を通り過ぎてしまうこともあるので、意識的に地図のこまめなチェックが必要。
・基本、印のテープは無視。誰がなんのためにつけたかわからないので。それがはっきりしている場合は参考にしてもよい。
・基本、山中のよくわからない踏み跡は無視。どこからどこに行く道か分かっている場合、道そのものの調査の場合は、その限りではない。
・鉄塔の管理道は信用できる(行き先がはっきりしている)。ただ、荒れていて不分明になっていることも多い。簡易的に設置された階段が目印。
・沢などから山に登っているけもの道は、参考にはなる(動物たちの水場への経路?)。きちんと鹿柵の破れなどを通過していたりする。でも信用しきらないようにする。
・現地で判断に迷った際の優先順位は、目に見える地形>地形図>GPS>人の感覚。ただし使えるものはすべて使う(自分の場合、方向感覚は結構狂うけど、時間感覚は妙に正確なのだ)。
・森のなかで感覚だけで真っすぐ進むことはできない(特に障害となる植生・地形が多い場合)。
低山マイナールート好きな者です。
普段はほとんど意識していませんが、こうして文字になったものを見ると「そうそう、そうだわ」と気付く事ができました。
自分の経験を文字にして見ることがありませんでしたので、文字にしていただきありがとうございますm(_ _)m
コメントありがとうございます。
自分も、常日頃いろいろ気づいたこと、考えていたことを、文字に起こしておこうと思って、とりあえずざっと列記してみたのが、今回の日記です。だから全然整理もなにもついてないのですが。。。(整理する気もないですけどw)
まさに私が感じていたことを言語化して頂いた感じです!ありがとうございます。
特に尾根の下りについては、降りきれるのは競馬のwin5より確率低いと感じてます。そもそも降りきれる尾根は登山道になってますから。
あと私はルート開拓の際は、
・基本登り
・念のためバイルやアイゼン、ロープなどはお守りと思い持参
・十分な時間的余裕を持つ
を心がけています。特に時間に関しては余裕がないと選択肢が多い段階で判断を間違いやすくなると思います。まだルート開拓が目的ならいいですが、意図しない道迷いなら日没などの時間に焦って無理に下降して詰むことになりますね。
初めてのルート探索は、登り一択ですよねぇ。ごくまれに、下りでやってみることもあるのだけど、すっごいドキドキしますw
ロープはいつもとりあえずは持ってますね。
時間はまったくおっしゃる通りで、特に下のほうに行くにしたがって、大体植林の中に入りますが、まだお昼過ぎてちょっとなのにやたら暗くて、あれれれってなりますよね。ひらけたところにでると、なんだまだ全然明るいじゃんって。下山が夕方遅くにはならないようにするのは、一番大切かもしれませんね。
道迷いで夕方とか、もう絶望的かもしれない。。。
返信ありがとうございます。
私は下りについては目処が立っているところのみですね。
メジャールートでも早発早着は心がけてますが、バリルートだと尚更時間管理が大切なのは自明ですよね。
お互い安全に山行出来ることを祈念します。
こんばんは〜 (^^)
ちょっと 時間が経ってからの コメントで
失礼いたします
みなさんのコメントと、
同じような感想になってしまいますが
箇条書きの その 一文 一文 が
本当に、実に、その通り! とか
なるほど〜 とか、
目からウロコが落ちるような、
新鮮 であったり、斬新 であったり
登山の 教科書・参考書に 載せたら良いような言葉 ばかり でございました
本当に タメになる言葉 で
ありがとうございました
もし少しでも役にたてればさいわいです。
思っていることを文章にするのは大事ですねえ。書いていくと、そういえばあれもこれもって感じで、連想して記憶がよみがえります。
ただ、どの山域でも通用するかどうか、それがわからないw
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