山がある島といえば、屋久島などが有名だが、そこまで遠くに行かなくても、いい山のある島はすぐそばにある(神奈川から見て(^^;)。伊豆諸島だ。
伊豆諸島はすべて火山島なので、当然山があるわけだ。
特に山好きにお勧めしたいのは、神津島。ここは確かに海もきれいだし、美しい浜もある。けれども、一番の見所は山である。天上山(標高571m)は、平安時代838(承和5)年に噴火している火山で、島唯一の集落から見ると、かなり荒々しい崩壊谷のために、険しい山に見えるが、登るのは割と簡単である。
随分と本土から離れているように感じるが、旧石器時代から、神津島産の黒曜石が採取されてきており、日本本土の遺跡各所から発掘されている。島の東側の多幸湾に面した多幸浜から、湾の向こう側、砂糠崎に黒い筋の地層が見える。これが黒曜石の層だ。多幸浜には、真っ白な砂に混じって黒い黒曜石の粒が見られる。
天上山の上は割と平坦になっていて、小さな起伏が複雑に入り組んでおり、いかにも溶岩ドームの頂上部分といった感じである。「砂漠」といわれる砂地もあるし、小さな池もいくつかある。600メートル弱の標高なのだが、まるで北アルプスの森林限界の上の稜線といった雰囲気なのである。砂地にコマクサが生えていても、まったく違和感などないだろう。日本アルプスを箱庭のようにした感じといえば、伝わるだろうか。
けれども、いったん近くの峰の向こうに目をやれば、そこには限りなく広がる青い海原、そこに浮かぶ真っ白な新島、小富士山といった体の利島、あるいは煙を吐いている三宅島。これは実に不思議な景色だ。太平洋の真ん中に、小さな北アルプスが浮かんでいるようなものだ。
神津島はこんな美しい浜と山のある小さな島だが、北側はまるで雰囲気が変わる。荒々しい崩壊地と林道、暗い森、寂れ果てた浜、そして出口のない真っ暗なトンネル……。三峰の帰りに山神隧道を歩いて抜けるのは別に何とも思わないが(一応ここって神奈川でも三本の指に入るくらいの心霊スポットなんだよねw)、神津島の北の果てにある出口のないトンネルの真っ黒な入り口を前にした時、正直逃げたくなった。
何とも奥行きの深い島である。
伊豆諸島の山といえばもうひとつ、伊豆大島も忘れてはいけない。この前、局地的な豪雨による土石流災害でひどい被害を受けてしまったが、その行きやすさから、何度も行っている島である。早く復旧を果たして欲しいと心から願う。
伊豆大島の山? と思われる方もいるかもしれない。けれども、三原山の風景は実に魅力的で、他ではなかなか経験できないものだ。ましてや、ここが東京都だとは。確かに富士山あたりと比べると規模は小さいのだが、火山好きには実にたまらない山である。火山のあらゆる魅力がつまっている。なんといっても、1986年の噴火の跡は、さすがに今でも生々しい。火口周りの道端、レキを数センチちょっと掘ってみただけで、もう熱い。マグマの熱を実感できる。
表側だけでなく、裏砂漠にもぜひ行ってみよう。こちらのほうが、はるかにダイナミックな風景である。カルデラの中を歩いてみるのもお勧めである。中央火口丘と外輪山に囲まれた不思議な風景の中に入り込める。島だけに、スケールがこじんまりとしていて、全体が人間の認識できる規模に収まっているので、火山の地形をはっきりと実感できるのだ。
本当に、日本の島は面白い(まあ日本自体も島ですけどw)。
写真1、2:神津島、天上山
写真3:伊豆大島
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