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一年前まだ興味本位で始めたばかりの私は、登山の怖さについて次のように漠然と思っていた。
「登山が危険なのは、標高の高い山に限る」「標高が高いと登るまで時間がかかるので、その分危険さも増す」「標高が低いと危険ではない？？？」「自分が登るのは標高が低いから安全であろう」
このような漠然としたイメージを持っていた。そのまま上記の3つの山に登った。
3つの低山からは無事に帰ってこれたけど、たくさんの学ぶべきことがあり、これら漠然としたイメージは大間違いだと考えるようになった。
その辺を復習したい。結論から言うと、残雪期の低山は初心者が挑戦するべきものでは全くない。
● 道迷い遭難の3つの条件
残雪期の低山は道迷いの危険性が非常に高くなる。私は早い段階でこの事実を知ることができてよかったのかもしれない。五頭山の遭難事件と並行して同じような低山に登っていたので、自分の出来事のように置き換えて考えることができた（亡くなったことについては本当に気の毒であるけど）。
ニュースを見ていた当時は、「どうして標高が低い山なのに遭難して、こんなにも捜索に時間がかかるのだろう」と不思議に思った。そう思いながら、自分もほぼ同じ条件の低山に登り、同じような危険を冒していた。
いろいろ振り返ってみて、道迷いに陥るには3つの条件があると思う。
一つは「マイナーな低山であること」、次に「残雪期であること」、3つ目は「周回ルートで下山すること」。この3つの条件が揃ったとき、道迷いの可能性が各段に上がると思う。
私の登山歴はまだ数年のニワカだし、まだまだ学ぶべきことがあるに違いないけど、このことは間違いないと思う。
理由を一つ一つ考えていく。
● 一、マイナーな低山であること
まずマイナーな低山だと、同時に行動している人が少ない。マイナーであればあるほど少なくなる。何かあっても助けを呼べない。全て自分独りで判断することになる。このことだけでも登山の危険性が上がる。
そしてマイナーであるため、登山道が地図通りでなかったりする。整備が不十分で道が不明瞭だったり、倒木が密集していたり、山菜採りや林業用の作業道との区別が曖昧だったりと、道を見失う可能性がいろいろ増えていく。
そのような山に初めて挑むのは、登山の経験と知識が豊富でないとできない。
私の場合、豪士山はマイナーな低山だったけど、生活圏内の山だった。どこが登山口で、どのように登り、どのように下りるかを、登り始める前からある程度思い描けていた。そのため比較的安全だったと感じた。
対して大頭森山は生活圏外の山であり、どんな形をしていてどこからどのように登るのかも分からなかった。さらに事前調査が不十分で、登山口までの道路が雪で通行止めだったりした。楽な登山のハズが、だいぶ手前から歩くという計算違いに焦った。最も危険な山行だったと思う。
このように生活圏内か圏外の違いも大きい。生活圏外の低山で、山の形も知らず、どこからどのように登って下りるかの情報が、地図だけでしか描けていない場合は、危険性大だと思う。
● 二、残雪期であること
加えて残雪期だと、登山道が雪で埋もれていることがある。どの山のどの登山道のどの部分が雪に埋もれているかは登ってみないと分からない。それは刻一刻と変化するものなので、詳しくは述べられない。
ただ、登山道入り口は平地のため雪がなく、最初は全く問題ないように思える。そしてそのまま途中までは快調に登れる。でも登っていく内に辺り一面、雪に埋もれているような状況になったとき、道が分からなくなる。
それでも、登ることはまだ続けられる。登りは一つの頂きを目指すことなので、見通しの利くところで稜線や山頂が見えたりすれば、山頂への到達はまだ充分に考えられる。
● 三、周回ルートで下山すること
そうして無事に登頂を果たしたとする。もう目の前には斜面がなく、どこへも登る必要がない。しかしここで周回ルートで下りようとしたとき、3つの条件が揃って道迷いの可能性が各段に上がると思う。
抽象的イメージの話しになるが、登りは一つの頂きを目指すのでまだ容易だが、下りは広大な斜面の中の一点を目指すことである。これを雪に埋もれているかも分からない周回ルートで果たすのは、相当に困難だと想像がつく。
見知らぬ土地の、形もよく知らない山の山頂から、広大な斜面の内のほんの一点（登山口）を目指すのは、どう考えても至難の技である。地図読み等の事前の知識がないと決してできないと思う。
※画像１
大頭森山のときの経験をイメージ化。登りは一つの頂点を目指すので比較的楽。図と違い実際は登山道が雪で埋もれていてかなり焦った。
※画像2
下りは広大な斜面の中の一点を目指すこと。図ではスタート地点が見えるようにしたけど、実際はどこがどうだか全く見えない。周回ルートでここに辿りつくのは困難。残雪期は無理せずピストンで帰るのがよい。
● まとめ
私が考えるに、「残雪期に」「マイナーな低山を」「周回ルートで下山する」ときに、道迷いの可能性が各段に高くなる。
3つの条件の内、2つだけならまだ無事に果たせるかもしれない。「残雪期」+「マイナーな低山を」「ピストンで（元来た道を戻って）下山する」のなら、可能かもしれない。
または残雪期でなく、雪が完全に融けている真夏であれば、マイナーな低山を周回ルートで帰ってこれるかもしれない。
また、同時にたくさんの人が行動している有名な山だったら、残雪期に周回ルートでも帰ってこれるかもしれない。道行く人にいろいろ尋ねながらになるだろう。
でも3つの条件が揃った場合は、私は元の登山口に帰ってこれる自信がない。いかに事前に地図読みをしっかりしても、登山道が雪で全面に埋もれていたら、どうにもならない気がする。
そして昨年の五頭山での親子の遭難は、まさにこのようなパターンだったのではないだろうか…。
当時の未熟な私は、同じような道迷いに遭っても何らおかしくなかった。「低い山だから危険性は小さい」などと考えていたのである。実際は全く逆だった。低い山の方が、人気（ひとけ）がなくて危ないのである。
去年はそういうことを学ばせてもらった。これから残雪期登山のシーズンがまたやって来るので気をつけたい。
低山といえども初めての山をいきなり積雪期に登るのは好ましくない。まず無積雪期に何回か登り、その山について十分経験を積んだ後に、積雪期に登るという順序を踏むべきです。当方、登山歴20年、積雪期に近畿の1000ｍ級の山に登っておりますが、迷いかけたときは無積雪期の経験が役に立って事なきを得ています。
righatmineさん こんにちは。
私も山を始めた頃には今では考えられないくらい山をなめていました。始めてしばらくは積雪期登山はしませんでしたが夏山でも、かなりなめていたと思います。ひどいときは、ゴンドラで登ってから1時間ぐらいの所でしたので、夏とはいえスリッパ、短パン、タンクトップ、水も持たずに・・・とそれはそれはひどいものでした。今、考えると2000mを越える山です。とんでもありません。その後、本格的に縦走するようになってからはいくらか気を使いましたが、それでも、30�坩幣紊離競奪�を担ぎ、遭難の予防など全く知らずに登っていました。そのせいで、命の危険が迫る体験をしたこともありました。
本気で遭難事故を考えたのは、2009年のトムラウシでのツアー遭難があってからです。記録を見ながら山に潜む恐ろしさを感じ、それ以降、様々な事故の検証記録などを読みあさりました。そして、地図読みや気象、緊急時の対応等についても学びながら現在に至っています。
4年前から積雪期登山に足を突っ込みましたが、地図とコンパスでのルートファインディングや天気図などからの予想ができないと危ないと思っています。
雑誌などでは雪山の美しさや楽しさを第一に取り上げているので、安易に雪山に向かってしまう人もいるもしれませんね。私も段階を追いながら学んでいる所ですが、十分な知識と技術と体力、そして経験が必要なのでしょうね。
おはよーございます。
全く、その通りだと思います。
1000m級の低山でも、十分に道迷いする事は有ると思います。特に、マイナーな山なら出逢う登山者もいませんから。
単独ならより一層、慎重に行動しなければいけないと、思いますね。
少しでも、おかしいなと感じたら目印が有った所まで戻るとか、進まずにまず落ち付いて、現在の位置を確認しなければいけないと思います。
私も、基本的に単独行動ですから自分に置き換え慎重な行動を目指します。
では、また。
皆さん、コメントありがとうございます。
全くもってその通りです。
私は「やまがた山」っていう本のグレーディングを元に「○○に登ってみよう」と思い立ちました。気軽な思い立ちでした。グレーディングが低く設定されていたからです。
「グレーディングが低く」「日帰りが可能」「→だから大丈夫」、こう思っていました。
でも実際は全く違ったので、このように思い返しているところです。
今の時期はどの山もいつどのように雪が消えているか分からないので、怖いなと思っています。
言い忘れたのは、書籍やインターネットが登山のステキなところだけを真っ先に伝える一方、怖いところは自分で学んでいくしかないってことです。このギャップが事のほか大きいと感じています。
皆さんの記事も参考にして、今後も登山を楽しんでいきたいと思います。
始めまして
登山で特に残雪期の低山は道迷いなんて日常茶飯事です。
特に下山時。20年前の南会津の山々ではよく迷ってました。
地図読みを習得する山は道志山塊と言う藪尾根が無数にある山々。ちなみに会津の夏の藪は100m進むのに1時間かかる所もあります。
1.国土地理院1/25000が読めシルバ−コンパスが使いこなせること。基本です。そし て高度計は必ず登山口で合わせる。
2.間違えたと分かったら瞬時引き返す。間違えた尾根に乗り進むとシルバ−コンパス の針がずれていきます。そして絶対に谷筋に下山をしない事。
3.自分が1日半連絡が取れなくても警察に連絡しないと家族に申し伝えること。
これは一つ間違うと大騒動になり大変な事になります。
3.は昔と違い携帯があるので尾根に戻れば携帯繋がるでしょう？
昔は下山遅れと言って日常茶飯事な出来事でしたが・・・。
経験の積み重ねしかありません。
この前も携帯片手に普通の登山道を下山してきた人がいましたが・・・
ここは何処ですかって変な質問受けました。よくよく聞いて地図見せると驚いてました。反対の登山口でした。
最近こんな人増えたような
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