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鹿児島桜島を観光し宮崎鵜戸神宮、青島を見てから駅のポスターの霧島大浪池の美しさに急に行ってみたくなり霧島に引き返した。バスで大浪池登山口に着いたのが16:00近かった。観光地の池だからたいした登りも無いだろうと甘くみて急いで大浪池に向かった。それまで山は富士山の集団登山くらいしか登ったことが無く、山についての知識も経験もゼロ。従って街中を歩く革靴で、兄貴から借りたジャケットにトレンチコート、ボストンバックを手に持っての登山である。食料、水や地図も持たず、しかも単独行、時間も遅い。
皆様にお叱りを受ける典型的な無謀登山で今考えると本当に怖くて恥ずかしくなる。
17:00前に大浪池の稜線に着いた。神秘的な火口湖の大浪池を見て山の美しさに感動して、以後、山に魅了され、山を登り始めたきっかになったと今では思っている。稜線のブロック建ての避難小屋に泊る覚悟をしていたが食料は無いし、寝具も持参していない。風が出てきて窓ガラスがガタガタとすごい音を立てる。周りには誰も居ない。次第に恐ろしくなり17:30頃、急遽下山開始。大浪池登山口に戻ってもバスは無い。仕方なく暗くなったバス道を民家の在る所まで歩こうと泣きそうになりながら歩いていると新湯温泉近道5分の看板を発見。地獄に仏とはこの事を言うのだろう。当時はまださびれていて小さい温泉宿でやはり満室で断られたが頼み込んで温泉の御主人の部屋に泊めてもらった。御主人は風呂、食事も一緒にしてくださり焼酎まで御馳走してくれた。(まだ未成年ではあったが)旅の良さ、人の情けが身に沁みた一夜となったが今考えると赤面の至りである。
翌日は新湯温泉から直接、大浪池に登るコースを歩き方も判らないので最初はガムシャラに歩き、その後バテバテで3分歩いては1分休むという調子で登った。何とか大浪池にたどり着き後ろを振り返ると桜島が噴煙を上げている。霧島の峰々を見ながら大浪池火口壁を半周して韓国岳に向かう。ところどころ残雪が見られた。昨日、今日の大浪池登山では誰にも会わなかったので韓国岳頂上近くで初めて人に出合ったときは嬉しかった。頂上ではジュースを担ぎ上げ売っている人がいて、水を持参していなかった私はすぐに2本買って飲み干した。頂上からの眺めは最高で自然の造形美に本当に心を奪われた。
霧島山はいくつかの峰の総称であり大浪池、韓国岳だけでは霧島山に登ったと言えないと考え、2001年に38年ぶりの霧島を訪れ、深田久弥のいう霧島山の代表である高千穂峰にも登った。霧島山は自然、山の素晴しさを私に教えて、山にのめりこませた山である。
写真:街中を観光する服装で、靴は通勤・通学用の黒の革靴。今考えると
本当に恥ずかしく、恐ろしくなる。
貴重なお話、どうもありがとうございます。
自分もお年寄りの入り口に入りかけておりますが、
自分の知らない世界の話は、とても興味深く、
また、時代の波に飲まれ、埋もれていってしまうには、とても忍びない、
大変貴重な文化財的資料だと思います。
単純に面白いです!
最近、若さとは馬鹿さではないか、と思ってきております。
馬鹿さのパワー!
自分と照らし合わせ、拝読いたしました。
遅ればせながら、連載継続おめでとうございます。
続き、楽しみにしております。
ZUNさん、コメントありがとう御座います。
古い話が中心になりますが単なる懐古趣味でなく、私の山に対する考えなども所々に入れて書いていきますので今後ともご愛読の程、お願いします。
昨年、富士山で電車から富士山を見て急に登りたくなり途中まで登ったものの、暗くなり下れなくなって救助依頼をした若者を世間、マスコミでは大非難でしたが私はこの霧島山の経験があるので非難することはできず、むしろ自分の感じたものを実現するために行動を起こしたこの若者に共感を憶えました。勿論、遭難騒ぎは駄目ですが。
若さが馬鹿さでも良い。一生懸命が一番だと考えています。
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