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室堂はこの年からキャンプ指定地から外されていたが、管理人に頼み、今日1日だけということで許可を貰って雨の中、ビショ濡れになりながらテントを設営。ところが翌日も風雨は変わらず、ラジオで登山者は行動を慎むように放送しているのでやむなく停滞する。
夕方、雨が止み、ガスの切れ間から残雪と緑のコントラストの素晴しい北アルプスを目のあたりにした私達は大興奮で、翌日の剱岳に心が躍った。天気の悪いときに現れると話に聞いていた雷鳥が2度、テントの周りに現れ、人を恐れない愛くるしい姿を楽しませてくれた。
翌日、カラリと晴れ渡り、はやる心を抑えながら室堂を出発し、剱沢のテント場にテントを張る。すぐに支度をしてサブザックで剱岳を往復する。カニの横這い等の岩場も問題とせず12:22に頂上に着いた。メンバー全員が初めての北アルプスの展望に感激している。白馬、鹿島槍、針ノ木の後立山連峰、その後ろに妙高山等の山並み、目の前の立山・大日岳、大きな薬師岳の後に槍ヶ岳が小さく顔をのぞかせている。あそこまで縦走するのかと思うとファイトが一段と沸いてくる。
しかし剱沢テント場に戻るとまた風が強くなり、夕方から雨が降り出す。この日で完全に梅雨明けと思われたが、この年は戻り梅雨現象でいったん日本海に抜けた梅雨前線が押し戻され、この後も雨風に苦しめられて途中の薬師岳で縦走を断念せざるを得なくなってしまった。
翌年、再度、剱岳−穂高岳を完全縦走するために剱沢に入った。前年の失敗を繰り返さないために完全に梅雨が明けた後に出発した。しかし剱岳頂上ではガスがかかり残念ながら前年のような展望は得られなかった。
3度目の剱岳は27年後に会社のハイキング同好会のメンバーで訪れた。
さらに2007年には紅葉の仙人池に映る朝焼けの剱岳八ツ峰を見るために剱沢を訪れた。剱沢を下り10時には仙人池ヒュッテに着いたが、朝焼けの剱岳を見たいがために、先に進まずにヒュッテに泊まる。山岳雑誌で良く紹介されている紅葉の仙人池に映った剱岳八ツ峰は本当に素晴らしい1枚の絵であり、皆さんにお薦めの場所である。
剱岳は私が北アルプスで最初に登った山であり、ピラミカルな山容、スリルある岩場、剱沢雪渓の美しさ等は欧州アルプスを想像させ、すべてに私を満足させてくれた山である。
写真:別山から5月の剱岳
1965年当時の剱や立山や北アルプスなど、今からは想像もできない山の中だったのでしょうね。
ルート的にも装備的にも fujinohideさんを含め先人の登山家のみなさんの偉大さに恐れ入るばかりです。
毎年何件もの滑落があると聞いただけでビビってしまい、一生登ることなく終わりそうです。
そうでなくても北アと聞くととてつもなく遠く感じてしまうので行けそうもありません。
tabioさん、コメントありがとうございます。
地方の山では国鉄の駅から歩き始めるような山が多かったですがこの当時から、北アルプスでは今とほとんど変わらない程度に交通の便が発達していました。
当時に比較し装備は雲泥の差があり軽量化されましたが、昔は合宿と言えば40Kg以上の荷物を担ぐのは普通でした。
賢パパさん、おはようございます。
学生時代だからこそ12日間も山に入ることができましたが、今では時間的に余裕があっても体力的にできません。
北アを毛嫌いせずに1度、行かれたらどうですか?
南アとは違った魅力がありますし、交通の便が良いから1泊2日でいろんな山を楽しめますヨ。
こんにちは 古い時代の山登り、ただ憧れるばかりです。
jinzaemonさん、ありがとうございます。
ただ単に、永いこと山に登り続けているだけで目立った記録も何もありません。
逆に、最近、皆さんに喜んで貰えるような山行をしていないということですよネ。反省。
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