日本最北の地である宗谷岬や稚内公園等を見学して、翌日、7:50の船で利尻島鷲泊に向かう。船からは洋上のピラミッドの利尻岳が近づいてくるのが見え興奮してしまった。船の揺れるのが面白くて、調子にのり船の舳先の方に行き、揺れに伴い大きく上下する利尻岳を見ていたら完全な船酔いで、気持ち悪くなり吐いてしまう。島に上がってもまだ船に乗っているようで何もする気になれない。午後、灯台岩に登ってみた。天気は良いが風が強くて吹き飛ばされそうになる。灯台岩から北海道、礼文島がボーット見えていた。
ユースホステルで聞くと、利尻岳は夜間登山もできると言うのでその計画を立てる。しかし、夜11時頃から雨が降り出したので登山は中止するつもりでいた。そうしたら同宿の5人のグループが「大学のワンゲルの人が夜間登山するというから連れて行ってもらおう。」と言い始める。後に引けなくなり仕方なく、小雨の中、5人と一緒にユースホステルを23:30に出発。この雨では頂上で御来光も拝めないし、ただ濡れるだけなのにと心の中で愚痴をこぼしながら歩く。暗い雨の中、ただ歩くのみ。2:35に長官山避難小屋に到着する。
ここから上は道が悪く、歩きにくくなるので、小屋で明るくなるのを待つことにした。真っ暗な小屋の中で休んでいると、何かゴソゴソと動き回るものがいる。女の子たちはネズミではないかと叫び、隅で小さくなっている。朝、起きるとそれはネズミではなく可愛いエゾリスであった。雨がやまないため5人のうち、女性3人はここから下山させ、どうしても登りたいという男性2人と3人で小屋を出発。頂上近くの急な砂礫の道は雨で非常に滑りやすく、歩きにくい。全員、何回も滑って転び、ズボンを汚しながらやっとのことで頂上に着く。どしゃ降りの雨で視界のきかない頂上では写真も取る事もできなく、小さな祠を確認してすぐに退散。
下山して鷲泊に着いたときは雨もやみ、うっすらと陽が差し始めていた。本当に何のための利尻岳登山であったのか。普通は雨でもお花畑の花に慰められたりするが、夜間で何も見えないし、雨に濡れ、滑って転び泥まみれになり、ただ頂上に足跡を印しただけの登山にすぎなかった。
15:00発の連絡船まで時間があるので、利尻岳展望台と呼ばれているポン山に登ってみたが、やんでいた雨がまた大粒の雨となって降り出しガックリとくる。姫沼経由で鷲泊に戻るが姫沼は小さな池ではあるが、人がほとんど入っていなくて気に入った。
船に乗ると、往路の先入観からかすぐに船酔いをしてしまい、船のトイレの便器にしがみつき、稚内に着くまでトイレから出る事はできない情けない状況であった。これ以降、どんな船に乗っても船酔いするようになってしまい、今日まで続いている。
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私と百名山 18.利尻岳(1718m) (登山日:1965年8月26日)
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散々な体験でしたね。ご苦労が伝わってきます。
私どもにとっては,貴重な体験記です。今後の計画に生かさせて頂きます。
tsuruta5さん、コメントありがとうございます。
この年は1年中、雨にたたられた1年でした。中でも、利尻岳夜間登山は、ただ登っただけの山行で、再訪したいと思いつつも実現できずにいます。
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