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バスで韮崎から増富温泉へ。ここでトラックをチャーターして、瑞牆山荘まで2時間の行程を省略することができた。富士見平小屋に荷物を置いて、空身で瑞牆山を往復することにする。富士見平付近にはほとんど雪は無かったが天鳥川の沢付近から雪が多く、道はカチカチのアイスバーンの箇所ばかりで、非常に滑りやすくなっていた。私以外はピッケル、アイゼンを持っていない。引き返そうかと考えたが皆が登れるところまで行くと言うので1番若輩の私は強く言えずに先頭に立って進む。
私だけアイゼンを着けると他のメンバーの危険性が判らず、本当に登れるかどうか判断できないので私もアイゼンを着けずに歩く。木や岩につかまり、ツルツル滑りながらもコースタイム2時間のところを2.5時間かけて頂上に立つことができた。しかし苦労して登ったものの八ヶ岳、南アルプスの大パノラマが展開するはずの頂上もガスで周りは何も見えずガックリ。それでもメンバーは山頂に立てて満足であったが、私はアイスバーンのところを滑らずに下れるか、登りよりも下山のほうが心配だった。
下りは滑りそうなところを私がピッケルで足場を切りながら降りるが、固い氷はピッケルを打ち下ろしてもカーンと跳ね返されてしまう。何回か繰り返し、足場を作りながら無事に全員を富士見平小屋に戻す事ができた。瑞牆山を楽しむ精神的な余裕はなく、いかに皆をスリップさせないかに気を配っていたので、岩峰がどんな様子だったのか記憶に全然残っていない。富士見平からも曇りでガスがかかり、瑞牆山は見ることができなかった。
その後は秋に1度登っているが、どういうわけかあまり記憶に残っていない。この時も瑞牆山の全容は見ることができなかった。
瑞牆山の隣の小川山に富士見平小屋から登った時に、初めて間近に瑞牆山を見ることができた。最初にこの姿を見ていれば、あの雪の岩場をアイゼンもつけずに、素人集団を連れて登ることは決してしなかったであろう。今、考えると恐ろしくなる反省だらけの瑞牆山初登山であった。
写真:小川山への登山路からの瑞牆山
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