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詳細はレコのとおりなのだが・・
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-533361.html
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短編小説 権現小屋
翌日19日(日)早朝六時半ぐらいだったか・・わたしは権現小屋の扉を押した。
ちょうど、朝食をすませた見知らぬ登山者が小屋を出るに当たって小屋の方と雑談をされているところだった。
それを小耳にしながら、話の隙間に小屋の主人であろう方に「珈琲は?」と訊ねると「10時から」とのよし。
準備を終えたその登山者の方が小屋を出ていく。
しばらくして横の土間に設えたコタツにカレーを持った主人が、少しバツの悪そうに「休憩時間なのでメシにします」などと言いながら、おもむろに座り、感度のよくない古いポータブルラジオのチューナーをいじった。
「じつは・・この権現岳直下に胎内くぐりの岩があると言うので見学に来たのですが、小屋からの藪漕ぎでいいんですよね」
わたしの屈託のない様子に、すこし驚いた主人の表情が印象的だった。
ラジオをいじりながら「それ・・だれに聞いたの?」と、視線をむけなかった。
しかも、その声には、いかにもナイショ話なのに・・という響きがあった。
「○○○○さん、なんですが・・」
「そういう人いるの?」
主人の反応はもっともである。
山レコ自体を知っているのかさえ定かでないのに、そのハンドルネームでは、判別つくあろうはずもないだろう。が、わたしはその方の本名を知らない。
そのあとは、お茶を濁すような山の話で盛り上がった。
それが、この小屋の猫の話題になり、その猫をどこで知ったのかという話から「ハナちゃん」の犬の話になった。
「あっ、その方ならわたしもお世話になりました」
共通の知人が橋渡ししてくれると話はさらにはずみをつけて転がる。
年のころなら四十半ばを越えているのだろうか・・山小屋だけにヒゲ面は仕方のないところだが、細身でドテラを羽織ったメガネ姿はちょいと山男とは想像し難いものがある。
「じつはね・・お願いなんですが・・」
突然、いかにも重要だぞ!と言うような押し殺した威圧を感じる声と眼の輝きがわたしを押しつぶす。
言葉の丁寧さとはいかにも不釣合いだ。
「この小屋の横から藪漕ぎできるんですがね・・この小道沿いに高山植物の芽がある。こいつを守ってやらないとね・・で、どうしても行きたいのなら権現岳の登山道から下ってもらえないですかね」
主人のその真剣さに後ずさりする思いを抱いた。
これでは嫌とはいえるはずもない。
「わかりました・・で、その穴の向こうは地獄谷らしいですね」
わたしの言葉に主人の威圧感がウソのように消えて思案顔になった。
ほどなくして
「そう・・小さいほうの穴のことだな」
納得したような表情でわたしの顔をジロリと見入った。
わたしは主人の気を悪くしないように恐る恐るきいてみた。
「二つあるのでしょうか・・」
「うん、二つあるね」
少し得意げな主人が子供のような笑顔を見せた。
「たしかに小さいほうは地獄谷に通じているが、穴をくぐってもすぐに堕ちることはないよ」
それからは、親しげな口調で権現岳の話になった。
わたしはその話が一段落したところで、腰をあげた。
「気をつけてね」
主人のいかにも人のよさそうなヒゲ面がにこやかに送り出してくれた。
権現小屋のドアノブは錆びて硬かった・・
おわり 五大 集一
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ふふふ・・昔々のペンネームです(#・・;
でわでわ

追記
事実を覚えている範囲で書いてみる
ノンフィクションとは、この時点の文章であろう
そこから添削するにしたがって、女性の化粧のように素顔が塗り消されていく
装飾が事実を歪曲し、読むリズムを整えていくと、つけまつげや口紅が濃くなって話の筋をわかりやすくしていくと、かつらをした美人に変身してしまう
ゆえに小説と称しましたが・・あらすじはそのままなので悪しからず

おやおや、どうも話がかみ合わないですね。
私は「権現登山道から下る」の方のザレ場にコマクサが咲くのでこちらは荒らしてはいけない。
で、「小屋から横にヤブ漕ぎ」の方は問題ない。と思っていました。
ALFAROMEOさんもそういう意見でした。
ところが権現小屋の小屋番さんの意見は真逆ですね。いったいどちらが正しいのでしょう?
その後、ALFAROMEOさんのレコを見直していたら「小さい穴」も紹介されていました。これ山頂標識のあるピークのすぐ脇ですね。
あのピークの後ろの絶壁が地獄谷です。あの穴をくぐったら「すぐには落ちない」ですむのでしょうか。
まあ、あの穴は大人はくぐれそうもないから心配してもしょうがありませんし、「生まれ変わる」はずの胎内くぐりで絶壁落下じゃシャレになりませんね。
おはようございます
そうなんです・・
わたしが植物のことには疎いですからと書いたのも・・下った折に、どれがその高山植物なのか検討もつかなかったんです
まちがいなく権現直下の登山道を下ってほしいと言われました。
ということは、あの岩の一帯が、群生地と判断していいのでしょうか?
小さな花を見れば、わたしとて踏みつけるようなことは避けるのですが、植物に関心のない無粋なわたしには雑草と高山植物の葉とは見分けがつかないですね。
ただ、レコ写真の「巻き道?」と書いた写真の砂利道には少なくとも枯葉すらなかったですね。
胎内くぐりで実際に信者さんがくぐったのであれば、この日記の写真の岩穴が、正解かもしれないですね。
頂上の穴は、少しデンジャラスに登らないとたどり着けない場所です。
小屋方向に擬似山頂があって、本当の山頂の上り口の手前に上れる道があり、それが行止りになりますが、その岩をよじ登って山頂に向かってやや右に登るとあの穴があります。
これも大人は通れる寸法ではないですね。
興味尽きない穴の話ですね(笑
でわでわ
小説と称してますが、ノンフィクション。
もちろん、わたしの主観で書いてる文章ですので、万が一、現場に居合わせたとすれば異論もあろうかと思います(^^;
totoroさんのレコを見ると高山植物(コマクサのことでしょう)が撮られています。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-474087.html
コマクサはザレ場(砂礫地)にしか生えず、花が咲くのは6、7月だけでその他の季節では葉も見えないです。砂礫の中に深く長い根を下ろして越冬するんですね。
ですので、「高山植物(コマクサ)」うんぬんというと「小屋から横のヤブ漕ぎ」では自生しそうな場所はない。逆に「権現登山道から下りる」方のザレ場に生えているのでした。
権現講の方々がくぐったのはこの日記の穴で間違いないですね。私がくぐったのもこれですし、ALFAROMEOさん、totoroさんもくぐったのがこちらです。
古絵図を眺めても、この穴をくぐるのは権現小屋からのトラバースになるはずで、他の道は考えられません。
小屋番さんがなにか誤解されての発言だったんじゃないかと推測するのですが・・・。
なるほど・・了解です
となると小屋の横からですね
あの急な坂をおりてうろうろしちゃったので、キレットも中途半端になって(笑
今度は雪の季節で小屋を閉まっているでしょうね
せっかくだから一度はくぐってゲン担ぎ!(大笑
でも、距離的にはたいしたことないのですが時間は食いますね
二泊くらいでうろうろできればいいのですが・・
みなさんで八ヶ岳古道倶楽部でも結成されますか?
山に新しい楽しみが増えました。
ありがたいことです
でわでわ
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