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実はSF好きでして。来年ライアンゴズリング主演で実写化されるプロジェクト・ヘイル・メアリーを読んでみたり。ちなみについ先日この映画の予告が公開されたが、ネタバレになるので見ない方が良い。黙って原作を読め、と巷で言われてるのは嘘じゃないです。
んで、最近は劉慈欣の三体を読破した。あまりに面白かったので短編集にも手を出している。山にまつわる本や映画はちょくちょくモーメントで書いてきたが、SFは畑違い過ぎる。だから書いてこなかったが今回は書いてみることにした。
何せ、タイトルがずばり「山」なんです。
短編と言うより中編規模の作品が6つ。地球に1万基のエンジンを取り付けて、爆発する太陽からおさらばして隣の恒星系まで流浪の旅を始めるというのが表題作の流浪地球。
ちょっと話のスケールがでかすぎますな
他の作品もとにかく発想の規模がでかい。このでかさがたまらん。
最後に掲載されてるのが「山」です。と言ってもやっぱり普通の山じゃないんだよなあ。重力によって海面が引っ張り上げられて標高9千メートル越えとなった「海の山」を、泳いで登頂するのである。
山頂では何故か異星人との邂逅が描かれる。いわゆるファーストコンタクトだ。この時の会話の出だしが変わっている。
「われわれは山をつくった。おまえは登ってきた。」
「登山が好きなんです」
「好き嫌いの問題ではない。われわれは山に登らなければならない。」
「なぜですか?そっちの世界には山がたくさんあるのですか?」
普通、異星人とのファーストコンタクトでは、あなたは誰?どこから来たの?何しに来たの?と言う疑問をぶつける。
主人公だって、異星人に投げかける質問として適当でないことは自覚していたが、登山に対して人にすらなかなか理解が得られない現状、山に登らなければならないと言い放つ異星人とは、純粋に山登りについて話したかったのだ。
ここから異星人にとっての山登りの話が始まる。
「われわれは山に囲まれていた。その山に閉じ込められていたから、われわれは山に登るために穴を掘らなければならなかった」
語られる異星人の生まれ故郷の世界が面白い。真相が明かされる直前に何とか正解に思い至る。よくまあ思いつくなあと言う感じ
異星人は最後にこう言う。
「登山とは、知的生命の本能だ。知的生命なら、だれでもみな、より高い場所に立ち、より遠くを見たいと願うものだが、その欲求は、生存に必要なものではない。(中略) 高みへ登りたいという欲求を進化が知的生命に与えたのには深い理由がある。しかしその理由は、われわれにもまだわからない。山はいたるところにある。われわれはまだ、山のふもとにいる」
「光速は山麓だ。空間の三次元も山麓だ。光速と三次元空間というせまい谷に閉じ込められて、おまえたちは•••••窮屈に思わないのか?」
最後はすさまじい大風呂敷を見せる。ハードSF好きならさくさく読めるでしょうが、SFに親しんでないと苦戦するかも、まあ人を選ぶのは間違いない。
登山は知的生命の本能らしい。
明日からも本能にしたがって生きるとしよう。
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