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私と漫画との出会いは小学校低学年の頃で、東京下町にあった祖父の家でした。
薄暗い小部屋の本棚にあった戦前の漫画本で、田河水泡の「のらくろ」や「凸凹黒兵衛」などを見つけ、引っ張り出して読みました。
吹き出しの文字は「旧仮名づかひ」でしたが、全ての漢字にルビが振ってあるため、小学生の私でも比較的容易に読めました。

印象に残っているシーンは「救世軍の社会鍋」で、長じてから歳末の駅頭で実際に救世軍の募金活動を見かけ、戦前の漫画と同じスタイルに感銘を受けました。

その後、親にねだって買ってもらった「鉄腕アトム」の単行本や、近所の遊び友達宅に山積みになっていた、漫画月刊誌の付録本「鉄人28号」や「イガグリ君」、「赤胴鈴之助」そして時が経ち、週刊少年サンデーの「スポーツマン金太郎」「おそ松くん」等々により漫画に親しみました。
「鉄腕アトム」のランプのせりふ『ロボットにだってプライドがあらぁ』が解らず、「プライド」の意味を母に訊ねたことを覚えています。
当時は天気が良ければ外で遊び、雨の日は誰かの家に上がり込み漫画を読みふけるのが、私たち悪童の日課でした。(まだテレビが普及する前の話しです)
「冒険王」や「漫画王」などの漫画月刊誌は、厚さ3センチ位の雑誌の中に文庫本サイズの薄い付録本が数冊挟んであり、そのままではこぼれ落ちるので、一冊づつ十文字に紐を掛けて店頭に積んでありました。
サンデーやマガジンが漫画界を席巻するとともに、漫画月刊誌はあまり見かけなくなりました。
私の両親は、漫画を含む私の読書には干渉しませんでした。
小中高校生時代に児童文学から一般小説、純文学、父の新書やアダルトな雑誌、そしてアニメなどに触れるようになっても、私と漫画との付き合いは途切れずに続き、現在に至っています。
幸か不幸か人生の半分は、パソコンやスマホとは無縁に過ごし、新聞・書籍やラジオ・TVによる情報に頼って来ましたが、漫画やアニメのおかげで自分の感性に幅が出来たように思います。

私の書架にあった漫画本の一部は家の建替え時に娘が持って行き、残りはあらかた処分してしまいましたが、記憶に残っている漫画のシーンを思い出すことで気持ちがリラックスできます。

【写真】手元に残った深夜食堂シリーズの一部
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