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破風山避難小屋のことをネットで調べていた時、ある方のブログの中でその小屋で起きた古い怪談について書かれた一節を見つけました。ブログの主はおそらく58〜60歳位の男性（仮称A氏）で、興味深い内容なので、SNS（ヤマレコ）に転載もしくは紹介したいと連絡を取りましたが、返事はNGでしたので直リンや転載は諦め、その内容を大まかに記載することにしました。
A氏は学生時代某有名大学（明記してありましたが伏せます）の山岳部に所属していて、その合宿で破風山避難小屋に宿泊した時に先輩から代々語り継がれている以下のような話を聞いたそうです。
時は昭和50年（1975年）の６月半ば、新人錬成合宿で破風山避難小屋に宿泊した時、夕飯を済ませて食器を洗うのは１９時頃だったそうです、雨がしとしと降るなか、小屋の埼玉県側に少し下った所にある水場で食器を洗う二人の１年生の手元を懐中電灯で照らす２年生が二人、その十数メートル先の林の中を音も無く避難小屋に向かって「スー」と通り過ぎる全身ずぶ濡れの４〜５人のパーティを見たそうです。
当時の破風山避難小屋の作りは周囲に40〜50ｃｍ位の板が縁側状にあるだけで他は一面土間で、先輩方はそこに８人用と６人用のテントを張っていて、先程通り過ぎたパーティの居場所が無い状態、これは明らかに我がパーティのマナー違反。
大急ぎで食器洗いを終えて小屋に戻って留守番をしていた３年生に聴いたそうです。
２年生「さっきのパーティはどうしました？」
３年生「・・・・？」
２年生「ずぶ濡れになってた４〜５人のパーティですよ。」
３年生「誰も来てねーよ・・・」
避難小屋は縦走路脇に建っていて時間帯から破風山を越えて雁坂峠小屋に向かう事はありえない、一同目と目を合わせた先輩たちは皆して背筋が凍る想いをしたそうです。
A氏がこの話を先輩から聞いたのは大学1年生だった昭和53年（1978年）３月半ば。その後4年生になったＡ氏は昭和56年（1981年）に図書館で卒論の資料を集めていた時にたまたま、山岳遭難の概要をまとめた本を見つけ、その中の１件として「破風山の遭難」が収められており、あの大正５年（1916年）に起きた遭難事故を知ったそうです。
で、あの大正５年に起きた遭難事故とは、東京帝国大学（現東大）の１年生４名と友人で小学校教諭１名の５名で山梨県の塩山から戸渡尾根〜甲武信ケ岳〜金峰山を経て増富ラジウム鉱泉へ下ろうと計画するも、取付く尾根を間違えて（青笹尾根）登ってしまい、一時は尾根を越えて埼玉県側に迷い込む、暴風雨にも叩かれテントなどの装備もなげうって迷走し最終的には山梨県側で１名の生存者を残して力尽きてしまった。
この遭難事件は「山の犠牲」 小山博 編 大正5年10月（1916年）という本に詳しいが、さすがに古い本でオリジナルは図書館にも無く私は「日本山岳名著全集12」あかね書房 昭和38年（1963年）で読みました。
Ａ氏が図書館で見つけた本が何だったかは興味がありますが不明です。
この遭難事件は、深田久弥 著の「日本百名山」昭和39年（1964年）にも次のように書かれています。
===以下引用===
私の覚えている最初の山の遭難は，甲武信岳のそれであった。あの騒ぎは大きかった。何しろ田舎の少年にも 大事件として伝わったのだから、当時の世間に与えたショックの大きさが察せられる。
〜中略〜
あれはたしか大正５年であったから、まだ一般には登山が冒険と見なされていた。 しかも五名の遭難者の四人が帝大（現東大）へ入ったばかりの前途有望な青年であったことが、一層騒ぎを大きくしたのだろう。 一人だけが生き帰った。
甲武信岳という名が私の頭に沁みついたのはそれ以来であった。あとになって知ったが、帝大生の遭難は甲武信岳ではなく、そこへ登る途中の破風山であった。密林中に道を失い、豪雨に叩かれて疲労凍死したのである。しかし一般には「甲武信岳の遭難」と伝えられ、それは私の読んだ少年誌にも大きく出た。
おそらく甲武信岳という山の存在を世間に広く教えたのは、この遭難事件だろう。
===引用ここまで===
この遭難事件の後「笹平避難小屋」が建てられ、その後建て替えられたのが現在の破風山避難小屋だと聞いています。
A氏の記載によると語り継がれてきた話を聞いた先輩はこの遭難事件の事を知らなかったそうで、その為思いがけず図書館で遭難事件の事を知った時に驚いたようです。
この話がA氏の創作か？もしくは歴代の先輩の誰かによる創作かはわかりません。
私は、古い先輩の誰かによる創作ではと思っていますが・・・現在の水場は小屋から山梨県側に下った所にありますが・・・山梨県側になったのはなぜか？。臆病者の私は小屋の埼玉県側に下ったことがありません。
A氏のブログ（複数）にはこの件についての書いたものがいくつかあり、連載形式でかなり詳細に書かれたものもありました。なぜ転載や紹介を拒むのか不明ですが、興味のある方は探せば見つかるかもです。
こんばんは。はじめまして。heinaiさま。
とても怖いお話をありがとうございます(*^_^*)(^^;)
yamabuji さん はじめまして
楽しんでいただけましたでしょうか？
コメントありがとうございました。
heinaiさん、こんばんは。
すいません、怖くてちゃんと読めませんでした。
思い出すと山で寝れなくなっちゃうので（笑
superfrog さん こんばんは
釣りなどでひとけの無い山奥でボッチ野営の時は平気なんですが、山小屋などの人工物がある方が怖いですよね。コメントありがとうございました。
初めまして。
ゾゾゾ〜
私は秩父に雪が積もるとこの界隈も毎年ルートを変えて歩いているのですが、この稜線だけは残ってしまっています。（無雪期は歩いたことがありますが。）
それは、この小屋を私が使えないからです
秩父にしてはラッセルが深くなる冬のこの稜線、この小屋は良い位置にあるしとても使いたいのですが、心中事件や幽霊の話を聞いてから怖くて一人では泊まれないのです
今回の日記でお話を伺い、増々更に更にゾゾゾゾゾォ〜です
ひゃあ。
mieeさん こんばんは
私も最初にこの小屋に泊まろうとした時は、ビビってました。実際、最初に泊まった時に同宿の方が何人かいたので慣れたのか、その後一人で泊まりましたが平気でした。
この小屋の醍醐味は冬のダルマストーブらしいです、ぜひ泊まってみて下さい。
コメントありがとうございました。
当時の破風避難小屋はその痕跡から総二階建ての二階部分の床を誰かが薪代わりに壊した状態だったと思います。帝大パーティーの遭難は有名ですが、平成に入ってからだと思いますが、水場で一家心中がありましたよね。これのほうが怖いです。
(以前同じ内容を書いていました。この老化のほうが怖ーーーい。）
borav64mさん こんばんは
初代の小屋のことが気になって情報を求めましたが、未だ何もわかりません。
図書館で見つけた昭和和34年（1959年）の紀行文には、甲武信小屋や雁坂小屋が整備され、水場（埼玉側）が遠いこともあって、破風の小屋はすでに無くなっていた・・・ような記載がありました。
また、一家心中があったのは1990年（平成2年）頃らしいですが、こちらの詳細も確認できませんでした。
初代の小屋の写真でもあればと思いますが、大正から昭和初期のことなので無理そうですね。コメントありがとうございました。
山と渓谷社昭和３４年４月２０日発行「奥秩父の山と谷」の記事、雁坂峠・破風山に「小さな登降を繰り返して破風山の登りになる。ここは双峰に分かれており、西峰は岩石が露出しており、ぐっと下がって木賊山の鞍部に出る。幅広い笹原の鞍部の破風山寄りに避難小屋（ほんの雨宿りできる程度）がある。という記述がありますが添付の地図には記載がありません。
朋文堂昭和３２年7月15日初版、昭和38年3月25日13版「奥秩父」の記事、山小屋に木賊山と破風山の大クビレにある破風小屋（今は再建）は大正12年10月山梨県により建てられ、という記述があります。
日本山岳会が再発行した小暮理太郎著「山の憶ひ出」の記事、（昭和9年の記述と思われます。）破風山には伐採が入る前の這松が密生する様子が記述されますが、小屋の記述はないです。
踏み跡もない奥秩父の山々を体験したかったです。
borav64m さん こんばんは
貴重な情報ありがとうございます。
heinaiさん おはようございます
破風の避難小屋、
とても 気持ちよさそうですよね
水場が 埼玉側に あった事は
知りませんでしたけれども
今 現在の、山梨側の水場は
かなり 急で、足場も もろかったりするので
出来れば、下から かつぎ上げて
水場には 行かない方が 良さそうですよね
でも ヌク沢 沿いの 尾根も
シャクナゲのトンネルになったりして
好き で あります
どなた様も、
ゴミと 命は 持ち帰りましょう
… っていう感じ でしょか
T-timeさん こんばんは
尾根の縦走ならいざ知らず、私などははなから小屋前のベンチで酒を飲むのを目的に行くので、もっぱら林道終点で水を確保して担ぎ上げています。
確かに小屋でサンダルに履き替えてから行ってはいけない危険な水場ですね。
コメントありがとうございました。
そぅそぅ、林道終点の、
橋の手前の 右側の 水
だいじょぶそうなので
たらふく 飲みました (^^)
こんにちは、heinaiさん
私は臆病者なので、Ｋ本的に怪談物は読みませんが・・・・思わず読んでしまいました。
本当にたまたまでしたが、雁坂峠から甲武信ケ岳の区間計画したのですが、天候の都合で流れました。
・・・・早いとこ忘れて、いつか歩いてみようと思います。
Q_Bさん こんばんは
私も臆病者ですが、一度泊まったら、慣れたというか平気になりました。他の登山者と同宿するも良し、一人でのんびりするも良し、一度泊まってみたらいかがでしょうか。
冬にダルマストーブを焚くのも良いです、寒いけど。コメントありがとうございました。
ユーザー名や文体からしてこの日記を投稿しようとした当時（2019年）に転載やリンクを拒否した仮称A氏ご本人の降臨ですね。
当時は変人扱いされ残念でした。まさか2年越しに当人からコメントが来るとは驚きです。
物語の昭和50年6月という根拠はA氏の記載によるものですがこれが誤りで正しい年月がわかりましたら教えて頂ければ訂正します。
この日記を書いただいぶ後に偶然にネット上で（古書の関係のレビューだったかな）A氏が読んだ本がやはり「日本山岳名著全集12」だったことは知りました。この遭難について書かれた書物はあまりないようですが、「車窓の山旅・中央線から見える山」という本にちょっと面白い記述があります、参考まで。
こんな古いヤマレコの日記にコメントを書いても立ち寄る人はほとんどいないと思います。ご自身で新たに日記としてUPするのが良いかと・・・。
電子書籍として刊行するとは、それを多くの人に読んでもらいたいわけですよね。
それでしたら、刊行した後にその事をヤマレコの日記に書きそこに電子書籍へのリンクを貼った方が効果的では？という意味です。
こんな古い日記にコメントを書いても日記を書いた本人とコメントを書いたユーザーにしか通知はされませんが、ヤマレコではトップページに新しい日記が「新着の日記」に表示され、また「日記」の中でもより新しい物が上位に表示されます。ヤマレコのトップページにアクセスする人はかなりの数だと思いますので、そこに食い付きの良さそうな日記を書けば良い宣伝になると思います。
地元の山岳救助隊で活動していますが、この小屋の遭難事故等のことは知りませんでした。
毎年秋にはこの小屋の山梨県側を登下降路として使用しています。休憩のため小屋も利用させてもらっています。
次に登るときには、慰霊の気持ちを持って利用させていただきます。
貴重な情報をありがとうございます。
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