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2014年02月13日 18:46過去の山行全体に公開

56豪雪の思い出

 先日は南岸低気圧の影響で、広い範囲で大雪になった。大雪で思い出すのは、逗子開成高校の山岳部員が八方尾根で遭難した56豪雪の時だ。その時は北アルプスの槍ヶ岳硫黄尾根を目指していた。昭和55年の年末から昭和56年の正月にかけてである。

年末早い時期に友人と二人で入山した。葛温泉の登山指導所で先行パーティーがあることを聞いたので、湯俣までのラッセルは楽になるなと思っていた。雪は入山日から降っていた。除雪されてた車道が終わった途端、本当に先行者がいるの?ってくらいに最初から膝上までのラッセルだった。何とか湯俣の冬季小屋に潜り込んで、その夜は快適に過ごした。翌日はさらに雪がひどくなった。そして尾根に上がるまでに先行パーティーに追いついた。彼らはラッセルで疲れていたようなので先行させてもらったが、腰までのラッセルにスピードは上がらなかった。その日はまだ樹林帯の中で半雪洞を掘りツエルトで寝た。夜中にツエルトが埋まっているのに気付いて、その後は朝まで二人で交代で雪かきしていた。ツエルトをスコップで掘りながら一周してくると、もう元どおりに雪が積もっていた。朝になっても雪は降り続いていた。

 これでは予備日を使っても下山できなくなるかもしれないので、撤退することにした。前日腰までのラッセルした跡はどこにもなく、胸までのラッセルでなんとか湯俣まで戻ってきた。 その日は知り合いが入山するはずで、年末休みにも入ったので入山者が来るかと思っていたが、誰も来なかったのが不思議だった。翌日葛温泉までラッセルしていくと、向こうから多くの人が登ってきて、お互いにトレースができたことを喜んだ。知り合いも中にいて、昨日入山した別々のパーティーがひとつになってラッセルしても、湯俣までたどり着けなかったとのことだった。

高瀬ダムの最後のトンネルを入ったら出口が見えない。近づいてみると出口が雪崩で埋まって、上部に人ひとり通れるくらいの穴が空いていただけだった。葛温泉に着いて助かったと思ったら、バスはおろか、タクシーも動いていない。そこから信濃大町駅まで歩くはめになった。

 雪の降る中、車の通らない車道を黙々と歩く。工事現場の事務所の前で休んでいたら、中の人が招き入れてくれた。ストーブにあたらせて貰い、熱いお茶まで出してくれた。その人から八方尾根で遭難があったことを聞いた。そういえばこの風雪の中、ヘリの音がしていた。暗くなってから信濃大町駅に着いたが、電車も止まっていたので、駅は人でいっぱいだった。

 自分にとっては懐かしい思い出になるが、事故の関係者にとっては嫌な思い出だろう。
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コメント

RE: 56豪雪の思い出
こんにちは。

あの年の年末に硫黄尾根に行ったのですね。

逗子開成高校の遭難、よく覚えています。大学1年生の冬で、初めての冬合宿、遠見尾根から五竜岳に登り、唐松だけまで縦走してから八方尾根を下りました。すれ違った記憶が無いので、丁度我々が下ったその日に登って来たようでした。下山した2日後あたりのテレビ報道で遭難を知りました。たぶん我々の下山後に豪雪になったのでしょう。

私は初めての冬合宿、稜線上は吹雪でしたが、こんなもんだろうとあまり気にしないで行動していました。ちょっとした岩稜でアイゼン登高が楽しかった記憶があるだけです。

遭難は、起きてしまえば関係者にはnegativeな記憶が一生残ります。私の現役時代には事故は無かった事に感謝しています。今後も遭難とは無縁な人生であって欲しいと神に祈りますし、日々のトレーニング、節制が大事だと思っています。
2014/2/14 12:19
RE: 56豪雪の思い出
パミールさんもあの時近くに居たのですね。
私が都立高校の山岳部にいたときも、都立航空高専の遭難があり、都のお達しで雪山は固く禁じられてしまいました。あの時は山岳部自体が高校にとって邪魔者扱いでした。できれば廃部にしたかったのでしょう。
逗子開成高校の事故も、あとで学校行事だったのか、個人的な山行なのかで揉めましたよね。最終的には和解したようですが。都立航空高専は裁判になってしまいましたが、どちらにしろ後味の悪いことです。いずれの事故もリーダーの能力不足が非難されました。
自分はもうリーダーになって山に行くことはないと思いますが、常に自然に対して謙虚な姿勢でいることが一番かなと考えています。
2014/2/14 14:58
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