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石鎚で一本歯で登る人を初めて見て唖然とした。こりゃ、天狗だなと。そこから私の下駄修行が始まる。週末、近くの裏山に通った。
一本歯の下駄修行は、本当に命懸けである。一歩のミスが命取りとなる。何かの下に隠れた、ほんの僅かの小石を踏んでしまえば、高い所からコテンと転ぶ。大の大人がコケると大ダメージである。足首をぐねって悶絶するし気が萎える。山だと下手をすると滑落の危険性もある。一瞬気を抜いた時、何度も痛い目にあった。集中力が途切れると駄目である。
山を歩く時、普通の登山者は足裏感覚をフィードバックしながら山を歩いている。今のソールの状態で、この岩はグリップするのか?眼だけの情報だけでなく、足裏触覚の情報は大事なのだ。地下足袋等を使えば、その感覚を養うことができる。対して、一本歯は、木の履物に載っているだけなので、足裏感覚ゼロ。決して感じることができない足裏感覚を、なんとか目線で補いながら一歩ずつ進む。一歩一歩が完全な静的歩行の繰り返しである。登山道を竹馬で登っている感覚に近い。1年間裏山に通って下駄修行を続けた。
翌年の石鎚の春山を下駄でチャレンジ。苦労して、なんとか頂上社まで辿り着いた。着いた途端に全身が脱力した。ついにやった!ここで、もう気力の限界。下山は裸足で下りた。
一本歯の下駄行は、なかなかハードルが高い。決して誰にでもお勧めできるものでは無いが、天狗さん気分を味わえるかもしれない。
写真1:相棒の一本歯
写真2:これを履くとずいぶんと背が伸びる
写真3:すっかり角が取れたハマ
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