雪の登山道に、足元に注意をし過ぎていて周囲への警戒を怠っていたのか、それが故に自分の気配を消してしまっていたのか、気が付けば鹿の群れの中にいた。まだ角を落としていない鹿を間近で見ると迫力がある。こちらは一本歯の下駄の上、動くことすら出来なかった。一瞬の静寂が長い時間に感じられた。
一頭の鹿と目があった。次の瞬間、鹿の群れは大きな音を立てて一斉に走り去った。私はホッとして、その場で脱力して地面に崩れた。驚かしてごめんよ。
兵庫県の分水嶺として有名な水分れ公園から分け入った、丹波のお山の麓での出来事である。春になればレモンイエローのヒカゲツツジの名所となる丹波のお山。週末、下駄行に明け暮れていたその頃には、そんなことは知る由も無かった。
写真:向山連山に咲くヒカゲツツジ(丹波の春を告げる風物詩の1つ)
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