2022年8月10日南アルプスの塩見岳から三伏峠小屋に向かう稜線にて、偶然にもTJARトップの土井選手に遭遇した。急いでカメラを向けるもその背中はあっという間に見えなくなった。ちょうど望月選手の持つ偉大な大会記録を更新して太平洋のゴールに向けて進んでいる所でした。
土井選手は語る。「一人一人に目指すゴールがあってTJARにおける順位はその付加的なものに過ぎない。いろいろな思いを持った人が出場しており、それは順位では表現できない。自分の限界がどれだけできるかを僕は知りたいし、それを達成したときにどんな感情になるのかを知りたい。」
その言葉は、多くの登山者が山に向かう本質を端的に物語る。山は挑戦の場でもある。今の自分でどこまでできるのか、去年までの自分を越えられているのか?まだ見ぬ稜線に思いを馳せて、登山計画を立て事前にできうる限りの準備をして挑む。登山口にたどり着くまでも一苦労。いろいろと入念に段取りしても不測の事態の発生等により登山口にさえたどり付けないこともしょっちゅうである。山を歩けることは本当に幸せなことであると思う。
年齢を重ねて体力が無いなら無いなりに、たとえハンデキャップがあろうともそれを乗り越えて、人それぞれの思いを胸に秘め山に向かう。だからこそ山は面白いと思う。
南アルプスの荒川小屋までたどり着きながらも、台風に捕まり泣く泣くリタイヤを決意する選手がいる。「赤石まではいけそうだが、聖を越えられるかが分からない」何年もかけて準備をしてきただろうに、天候が崩れた場合の潔いリタイヤも立派な英断であると思う。挑戦する一人一人にドラマが有って素晴らしい。また、次回のTJARも応援したいと思う。
写真:南アルプスの稜線にて土井選手に遭遇。急いでカメラを構えるも、その背中はあっという間に小さくなった
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