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そんな中、よく寄る近所の書店にて大々的に売り出されてた本が『俺たちの箱根駅伝』だった。
正月休みの風物詩だし、毎年のようにテレビ観戦してる箱根駅伝。神野大地くんや田澤廉くん等の大スターが誕生する時もあれば、シード権を懸けて泥臭く争うシーンもあれば、タスキを繋ぐのが精一杯で不本意な結果になる時もあれば、どのランナーにとっても各々の想いがあるのだろうと思って観ている。
個人的にはシード権争いが一番見応えたっぷりな場面だと思う。
この小説は予選会で負けて箱根駅伝に出れず年配の監督が勇退し後任監督(甲斐さん)が即決された大学陸上部の裏舞台、学生連合チームの実態や放送するテレビ局の裏舞台や苦労などを中心に話が進んでいく。
学生連合チームとは、シード権を逃した大学が参加する予選会で負けて箱根駅伝出場が叶わなかったもののタイムが良くて箱根駅伝に未出場のランナーが寄せ集められたチームだ。監督は箱根駅伝出場を逃した大学の中では1番タイムが良かった大学の監督が務めるが、これが新人監督の甲斐さんだった。
予選会だって中々過酷な世界だ。1大学あたり最大12人が出て上位10人の合計タイムで箱根駅伝への切符を勝ち取らないといけないのだ。先日も1秒差で箱根駅伝への切符を取れなかった大学があったぐらいだ。
個人的には学生連合チームに選ばれたランナー、およびそのランナーと同じ大学陸上部で一緒に汗を流すチームメイトや関係者は学生連合チームで箱根駅伝に参加することを心から喜ぶと思っていたが、全然そんなことは無かった。学生連合チームは最初はバラバラで全然チームの形として成り立ってなかった。各々の生い立ちや進路選択の理由、陸上競技への想いが様々な形で交錯する生々しい実態も描かれている。
それでも選手間ミーティングや甲斐監督の管理能力の高さや観察眼の鋭さが発揮されるにつれ、ランナーたちが甲斐監督についていきたいと思うようになって徐々にチームらしくなっていく。
本番を迎えるまでのテレビ局の裏舞台も初めて垣間見えた。どれだけの人間が関与するか、番組のコンセプトを巡って揉めに揉めることもあれば、放送拠点をどこに置くか、当日の天気によっては中継車両が使えなくなるリスクなど、ありとあらゆる事態を想定した入念すぎる下準備が長期間に及んでなされる実態に驚いたばかりだった。
駅伝に参加するランナーだけでなく、テレビ局の裏舞台でも実に泥臭い仕事が進んでるんだなと思った。
どんな形や立場で箱根駅伝に参加するにしても箱根駅伝という大舞台で成功したいという想いはみんな同じだし、箱根駅伝の見方がガラリと変わりそうな気がした。
中には学生連合チームに対して批判的な人も居たし、テレビ局にもそんな感じの人も居た。個人的には昔サッカー日本代表の監督だった岡田武史さんの名言が改めてホントその通りだと思った。
「批判された人はそれを糧に改善したり奮起したりして成長することがあるが、他人を批判する人はまず成長しない。」
同時によく山での遭難事故の記事を目にするが、山が好きだからこそ批判したりコケにするのではなく、明日は我が身と思って反面教師にしていこうと改めて思った。
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