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正直言って雪のことなど全く気にかけていなかった。初めて雪を気にしたのは槍穂高の上半分が真っ白になっていたのを見た時。これから登る先はどうかな?チラリと上を見上げる。老い初めに見られる1本、2本の白髪のように山肌に少々白いものが。
期せずして標高3000m近い所で雪上山行することになる。
積雪量は標高2300mくらいから増え始め、以降は急傾斜の岩場と相まって行く手を阻む。先行者2名程度のトレースがあったので、それに従ったが、積雪で元の道がわからなかったにしても、やや無理筋なルート取りで、素直に従ったことを後悔。標高2600m辺りの大きな岩のある所では、もう先行者トレースに愛想をつかして自ら積雪の岩場を切り拓く。
復路は反省して、元の夏道に従い(誰も歩いていない所は啓開して)下山する。こうしてみると雪道の先行者は責任重大だ。よくこんなところ登ったなあと呆れた箇所でストックが1本放置されていたが、よじ登っている際に落としたものの、取りに戻るには危険すぎて諦めたのだろう。
そんな中、果たしてこのまま上っていって下ることはできるのだろうかと自らに問いかけながら歩く。下手したら、昨年の富士山ユーチューバーだ。
先行者トレースは下りにはとても使えないルート取りだったが、上りながら、本来の道から外れた所を上っているのはわかったので、本来の道を把握できれば何とか下れるだろう。或いは稜線上、強風で雪が飛ばされていれば周回も可能だろうか。
そしてようやく稜線に立つ。四方八方、足元も周囲の山も雪で真っ白。夏道があったであろう所を探してハイマツを避けながら稜線の飛騨側に進むといきなり下半身が雪に埋まって進めなくなった。稜線直下と稜線上の深い雪。もうこれ以上はダメだ。私は笠ヶ岳周回を諦め、笠新道を戻ることとした。
下りは上り以上に神経を使ったが、山腹全体を俯瞰できるので道はわかりやすく、また、後続者と雪解けにより歩きやすくなっており、無事下山することができた。
しかし、これも偶然なる幸運というべきで、同じ幸運は二度と訪れないであろうと肝に銘じておく。
これが今期最初で最後の2500m以上峰になるかどうかは、もう少し検討を要する。
画像1:槍ヶ岳を背景に抜戸岳山頂標識
画像2:今期諦めた笠ヶ岳
画像3:北側、双六岳方面
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