画像-1は、 ヘリコプターUH60JA です。(陸自調査団のHPより)
画像-2は、宮古島の地形図です。(宮古島市のHPより)
画像-3は、愛知県豊田市稲武町で、2007年に発生したダウンバースト被害の画像です。(「もしかしたらI」さんのHPより)
ヘリコプターUH60JA の事故原因について、様々な報道がされていますが、急激な下降気流、或いはダウンバーストの可能性があるのではないか?と考えています。
画像-3にある様に、2007年7月に、愛知県豊田市稲武町で、ダウンバーストの被害が出ました。稲武町は、長野県の県境近くに位置する山間の盆地です。このダウンバーストが発生した時に、小生は、近くの山中で活動中でした。
この稲武町でのダウンバーストが発生した時、「ドン」と云う大きな音と共に、大気が激しく振動したのを、良く覚えています。ラジオのニュースで、近くの稲武町で、ダウンバーストの被害が出たと聞き、後学の為にと、被害状況を見に参りました。画像-3の様に、植林された杉林が、薙ぎ倒されていました。他にも、一ヶ所、ヒノキの植林帯での倒木被害を目撃しています。
画像-2は、宮古島の地形図です。事故は、宮古島の北に伸びる半島と、西にある伊良部島の北部の間の海域で発生したとの報道です。
当時、北からの風で、海は荒れ気味であったとの報道を記憶しています。北からの強風は、伊良部島と宮古島に阻まれ、上方に向かって、上昇気流となっていたと考えられます。操縦士は、150m位の低空飛行(報道では)をする為に、上昇気流に対応して、高度を下げる操作をしていたと考えられます。
もし、この時、突然、荒れ気味であった北からの強風が、止んだ場合、宮古島と伊良部島の間の空間は、少し大袈裟な表現をすると、軽い真空状態(気圧の下がった状態)になった可能性があると考えられます。この場合、上方に向かっていた上昇気流の一部は、反転し、強く海面に向かって吹き下ろすと思われます。(ダウンバーストと同様の現象です。)
(追記:宮古島の実況天気では、当時、南の風、5mとの事です。この場合、伊良部島越えの下降気流の影響が考えられます。この辺りの風の流れは、要注意の様です。)
その空間に、「ヘリコプターUH60JA」が存在していた場合、「急激な下降気流」と「ヘリコプターの下降操作」の相乗作用で、ヘリコプターは海面近くに、危機的に押し下げられると考えられます。更に、状況が悪ければ、回転ローターが海面に接触し、破断した可能性があると考えています。実際に、事故発生後、直ぐに、回転ローターの一部が発見されています。
滋賀県の琵琶湖の西岸に位置する比良山系からの吹き下ろす「比良降ろし」は、昔より、琵琶湖の水運を担っていた船頭さんや、漁師さん達に恐れられていました。この現象も、ダウンバーストの一つでは?と考えています。
この「比良降ろし」は、冬季の北西の強風が、比良山系を越え、琵琶湖に吹き降ろす時に、発生します。琵琶湖は、冬季でも豊かな水量に熱を貯えていて、冬季は、湖面では、常に上昇気流が発生しています。この上昇気流により、琵琶湖の湖面の気圧が下がり、軽い真空状態になります。
この軽い真空状態の湖面に向かって、比良山系南部の東側の急斜面に沿って駆け下る冬季の強風を「比良降ろし」と表現されています。以前、実際に、冬季、比良山系南部の東斜面を登っている時に、急斜面に沿って駆け下る「比良降ろし」状の吹雪を、目撃した事が事があります。
一般的な考えでは、吹雪は、比良山系南部の稜線を越えて、ほゞ、直線的に東方向へ、或いは南東方向へ吹き抜けて行く筈ですが、その時は、稜線から、急斜面の表面に沿って、吹雪は駆け降りていました。これが、「比良降ろし」なのか?と、驚きました。この光景は、今も強く記憶に残っています。
最後に、UH60JA に搭乗されていた方々が、早く、御家族の下に帰れます様に、祈ります。
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