先日、「カーテン 〜 エルキュール・ポワロ最後の事件」というドラマを見ました。
とても名作でした。ストーリーも、演出も。
ストーリーは若いころ読んでいて知っていたのですが、デビッド・スーシェ演じるドラマになった時、とても泣けました。
以下はネタバレしていますので、ご注意いただきたいと思います。
探偵であるポワロが死期を迎えた時、一人の殺人者を見つけます。
彼の殺人の方法は、人の心を操り、殺人を犯させるもの。
「憎い相手を殺してもいいんじゃないか」という考えを、相手の心に植えつけ、相手が殺人に走るのを見てほくそ笑んでいるのです。
決して法で裁けない殺人者、ノートン。
ポアロは、自分が死ぬ前に相手を葬り去ろうと決意します。
そして、彼の処刑を決行します。
それをやり遂げたポアロは友人ヘイスティングズに当てて手紙を書き、
事件の真相と自分の心境を述懐します。
ノートンを殺すことは、難しい決断でした。
もともと、犯罪を容認しない立場であった自分。
人殺しなどに手を染めることなど決してなかっただろう。
だが、ノートンを殺すことは、人々がノートンの犠牲になるのを防ぎ
社会にとって善益になりはしないか。
その思いの元に、彼はノートンを撃ち殺す決断をしました。
それでも、神はどうご覧になるだろうか。
問いかけても答えはでない。
ただ今は、もう神の審判の前で自分を正当化することはすまい。
すべてを神の御手にゆだね、
神の慈悲を請いたいと思う。
そう静かに述懐し、
十字架をにぎりしめながら、神よ許したまえとつぶやき、息を引き取ります。
このあたりは、もうまさに名シーンで、
この場面を思い出すたび涙がとまらなくなります。
きっと神は許してくれるものと思う。
ポアロは自分の天国行き切符をふいにするリスクを犯して、重大な責任を引き受けてくれたのだ。
神の慈悲を請う謙虚な姿勢は、きっと受け入れられるだろうと思う。
もう一度原作を読み返してみたいと思っています。
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