|
|
越前のトビ鉈の形は片刃が主流だ。この鉈は無理を言って両刃に作ってもらったもの。よく切れるし好みに合ったバランスも申し分ない。ただ、仕上がりに欠点がある。刃体がひどくひずんで捻じれているのだ。初めて見た時は驚きもしたし、失望ぎみだった。写真��
名前は伏せておくけれども、有名な伝統工芸士の銘が切ってある。近年のネット社会の風潮に乗れば、悪口を言いたければいくらでも言える。
でも、わがままを言ったのはこちらの方だ。このトビ鉈は研げば充分すぎるくらいよく切れるし、鍛造精度はしっかりしている。安いコンビ砥石で、現場でも簡単に研ぎ直せる刃の焼き具合もありがたい。もし真っ直ぐでも、自分の手くせで曲げてしまうこともあるもんだ。確かに使い込んだら一度柄がゆるんでガタついた。それも自分で治すことができた。
道具として大事に使うためには、使う側の努力も要るものではないだろうか。長く付き合うためには、悪い所ばかり見るのではなくて、好いところをくみ取るのも必要と思う。
目釘を効かせて、研ぎ直しの済んだ今は実に頼もしく、親しみの湧く姿になった。
山に持っていく日が待ち遠しい。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する