記録ID: 1036948
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
中央アルプス
日程 | 2016年12月28日(水) ~ 2017年01月01日(日) |
---|---|
メンバー | |
天候 | 5日連続晴天! |
アクセス |
利用交通機関
飯島駅から傘山の登山口までは徒歩で、空木岳池山尾根下山口の菅ノ台バスセンターから駒ヶ根駅まではバスで移動しました。
電車、
バス
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|
地図/標高グラフ


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コースタイム [注]
ログは手書きです。
12月28日 飯島駅-傘山御嶽山登山口-傘山-1550m小ピーク
12月29日 幕営地-大持山-黒覆山-2176m小ピーク越えたコル
12月30日 幕営地-2588m小ピーク-標高約2600m平坦地
12月31日 幕営地-田切岳-赤椰岳-空木岳-駒峰ヒュッテ
1月1日 駒峰ヒュッテ-空木岳ピストン-池山尾根下降-菅の平バスセンター
12月28日 飯島駅-傘山御嶽山登山口-傘山-1550m小ピーク
12月29日 幕営地-大持山-黒覆山-2176m小ピーク越えたコル
12月30日 幕営地-2588m小ピーク-標高約2600m平坦地
12月31日 幕営地-田切岳-赤椰岳-空木岳-駒峰ヒュッテ
1月1日 駒峰ヒュッテ-空木岳ピストン-池山尾根下降-菅の平バスセンター
コース状況/ 危険箇所等 | 黒覆尾根はまだ雪が少なく、藪が出ています。 ロープは岩峰の登りで1ピッチ45m出しました。支点は途中の灌木や這松、鎖(かつての登山道の名残)等で好きなようにとれます。念のためカム、ハーケン等も持参しましたが全く必要ありませんでした。 懸垂下降は3箇所で行いました。うち2箇所はクライムダウンもできそうです。 細尾根が続くので、積雪や風のコンディションによってはナイフリッジとなっている場所でもロープが必要になるかもしれません。 ロープは50mあった方が便利だと思います。 主稜線のルートはアイスバーンになっているところが多かったです。夏道が凍った斜面のトラバースになるところでは直登ルートの検討もしてみるべきだと思います。 |
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過去天気図(気象庁) |
2016年12月の天気図 [pdf] |
写真
感想/記録
by yamakurumi
遅めの投稿です。ルート状況を詳細に記したので長文です。
例年にも増して寡雪の東北の山に年末の長期休暇を充てるには勿体ないと思い、美しい景色を求めて久しぶりに日本アルプスに出かけることに。
私のような軟弱者が一人で北アルプスに入山すると死んでしまいそうなので、少し自重して中央アルプスに決めました。結果、5日連続の晴天、その上黒覆尾根では終始微風という絶好のコンディションに恵まれ、楽しみながら黒覆尾根を完遂することができました。計画には無かったのですが最終日には空木岳から初日の出を拝むこともでき、本当に素晴らしい山行になりました。
晴天はまだまだ続くようだったので、もっと長く山に居たかったです。
冬期の空木岳池山尾根の記録はラッセルで時間切れ敗退のものが多く、黒覆尾根はトレースも期待できないので、時間がかかっても大丈夫なよう食糧は5日分用意しました。結果、雪は少なかったにも関わらず、そのまま5日間かかってしまいました(食糧はかなり余りましたが)。原因は写真の撮りすぎと軽量化不足でしょうか。大抵の方はこの積雪量なら4日あれば下山できるでしょう。
下山ルートの候補はいくつかありましたが、第一候補はネットでたまたま記録を見つけた仙涯嶺東尾根でした。15mの断壁があるとのことで、登るのは難しくても下りなら一人でも大丈夫だろうと思い、行ってみようと考えていましたが、色々と自分に言い訳をしてやめてしまいました。しかし黒覆尾根から見る仙涯嶺東尾根は美しい尾根で、是非行ってみたいと思わされました。もっと雪が多い時期に登ってみたいですね。
以下詳細です。
12月28日
徒歩で飯島駅より傘山の御嶽山登山口へ。傘山登山口への案内の看板が途中数ヶ所に設置されており、迷うことなく到着できた。
登山口を13時頃出発。雪は前日に降った新雪が残っているだけでほとんど無い。非常に良く整備されており、分岐になっているところや分かりにくいところには必ず看板やピンクテープの目印があり迷うことはまず無い。本当に親切な道で、エアリアマップにルートが記載されていないのが不思議。道は歩きやすいが、33kgの荷物を背負っての頂上直下の登りは堪えた。傘山山頂の展望は抜群で南アルプスの山々を眺めながら暫し休憩。
日没頃に山頂を離れたが、その後すぐに南アルプスの山々が赤く焼けるのを藪通しに見て、もうしばらく山頂に留まっていればとやや後悔。この日は1550mの小ピークのあたりで幕。樹林帯の平坦地で快適。雪がほとんどないので水作りはやめた。
12月29日
朝方はガスっていたが、すぐに晴れた。大持山(1710m小ピーク)までは相変わらず良く整備された道を行く。急に道が藪っぽくなったと思ったらいつの間にか大持山を過ぎていたようだった。ピンクテープの間隔も遠くなるが、踏み跡ははっきりしているので迷うことはない。黒覆山山頂は笹藪に覆われており、展望は無かった。
黒覆山からは踏み跡が薄くなり、尾根が広い部分では踏み跡を見失い藪こぎになった。笹藪なので大して辛くもないが、やはり藪は藪。ペースががくんと落ちる。ピンクテープも忘れた頃にたまに現れる程度になった。
1919mの小ピークの下りで両手で掴んだ木が両方折れ、派手にこけた。その際、片足が木に挟まって体が反転してしまい、抜け出すのに骨が折れた。雪が少ないときは下りはかなり歩きにくい状態になるので注意。
その後は急登に。ようやく雪が増えてきて、標高2050mのあたりで初めてワカンを装着。しかし翌日以降ワカンを再び装着することはなかった。
日没頃に小雪が降りだした。この日は2176mの小ピークを越えた直後のコルを整地して幕営。
12月30日
朝から快晴。ツボ足で出発。標高2250を越えるあたりから雪面がクラストしてきたのでアイゼンを装着することに。ここで、今回初めて使うアイゼンの調整をし忘れるという超初歩的ミスをおかしてきたことに気付き愕然とする。運良く道具なしでもある程度調整できるタイプだったので装着できた。危うく中央アルプスまで来て藪こぎだけで帰る羽目になるところだった。
クラストした雪面を快適に進み、下部から良く見える2580mの鋭い小ピークの登りに差し掛かった。まず雪壁を登り、灌木づたいに小さなピークを登りきるとナイフリッジが現れた。ここはかつて登山道があった頃に設置された鎖が露出していた。雪が安定しているので難なく渡れたが、雪の状態によってはロープが欲しいところかもしれない。その後短い雪壁を登って2580mの小ピークの頭に出た。
ここからは一度コルまでクライムダウンし、2588mの小ピークに登り返す。この辺りは短い雪稜になっている。藪が出ているので恐怖感は無いが、小さな岩をクライムダウンするところだけ少々緊張した。ここからは核心の岩峰が目の前に臨まれる。ここからだと完全に垂直に見えるのでややびびる。
岩峰に取り付くため、短い雪稜からコルへ懸垂下降。距離は10mほど。回り込めばクライムダウンもできるでしょう。その後岩峰の取り付き付近のダケカンバを目指して登る。重荷だとやや悪い。岩峰の直登は下から見ると難しく無さそうだが、念のため空身でまずfixを張る。藪が沢山出ているので好きなように中間支点をとれる。岩峰を登るとルンゼに張られた鎖が現れる。かつての登山道は岩峰をワイヤー伝いにトラバースしてルンゼを登るルートだったらしい。途中ぼろぼろの残置スリングがいくつかあった。ロープを45m伸ばし、標高2600mあたりの狭い平坦地で切った。その後全装で登り返し。空身だと簡単だったが、やはり重荷を背負ってのとフリーだと怖かっただろう。
色々ともたついていたため、登り返したところで日が暮れてしまう。雪稜の途中な上、風がよく当たりそうな所なのであまり良い幕場とは言えないがここを整地してテントを張る。ただ、展望は抜群。風が吹いても大丈夫なよう時間をかけて深めに掘った。ありがたいことに風はほとんどなく快適な夜を過ごせた。
写真を載せたが、グローブがこの日一日でボロボロになってしまった。一番大穴が空いていた右手の薬指が軽い凍傷になったことに下山後に気付きました。
12月31日
この日も快晴。朝焼けを存分に堪能して出発。幕場の目の前の短い雪壁を登るとギャップが現れる。地形図2620m付近の等高線の間隔が広くなっている部分がここに当たると思われる。頑丈なハイマツを利用してルンゼから懸垂下降する。ハイマツには古いスリングが残置されていた。20mほどの懸垂でコル南面に降り立つ。コルは南面、北面ともに急な沢型になっている。
コルまで登り返してから急な雪壁に取付く。途中、ダケカンバから古いロープが伸びていた。雪壁を30mほど登ると傾斜が緩くなり、そのままダラダラと歩いて田切岳(標高2730mピーク)へ。山頂にはケルンがあった。予想外に風が弱く気持ちのいい山頂だった。
田切岳から赤梛岳方面に少し下ると急になってくるのでダケカンバを支点にルンゼを懸垂下降。大した傾斜ではなく、また下は緩斜面で多少滑り落ちても大丈夫そうなので、クライムダウンもできそう。50mロープだと少し足りなかったので、残り10m弱はクライムダウンしてコルに至った。コルからは百離淵が目の前に臨まれて迫力の景色が楽しめる。
コルから少し登ると広々とした雪原に出て、思わずザックを放り出した。ここから赤梛岳へ最後の登り。雪の締まった広い尾根を快適に登り、赤梛岳山頂に出た。
黒覆尾根はずっと微風で本当に稜線が強風なのか疑っていたのだが、主稜線に出た途端に風が強くなり納得。岩陰に避難して上着を着て、穴の開いた手袋を交換した。
主稜線もやはり雪が少なく、夏道の赤ペンキもちらほら見える。途中夏道を辿ってトラバースを始めると、前爪しか刺さらないカリカリのアイスバーンの斜面で怖い思いをした。足を滑らせるとはるか下の奥二又沢まで滑落することになるので緊張した。場所によっては稜線を忠実に辿った方が安全だと思う。
空木岳の登りに入ると夏道が分かるくらい雪が少なくなり一安心。しかし山頂手前の偽ピークに着いて山頂を見ると、またアイスバーンのトラバースを強いられそうな斜面が見える。もう怖い思いはしたくないので、ここまでクォーク一本でやってきたがここでとうとうピッケルを装備してダブルアックスに。まさかここにきてダブルアックスを使うとは思わなかった。が、研いでいないピッケルは刺さりが悪くあまり役に立たなかった。
空木岳の山頂に着くのが予想以上に遅くなったのでこのまま日没まで楽しむことに。
綺麗な夕日を見ることができて満足だった。
駒峰ヒュッテに下ると冬期開放の土間が既に埋まっていたので、小屋周りのスペースを整地してこの日もテントを張った。星がとても綺麗な夜だった。
2017年1月1日
朝起きるとガスに包まれていたが、日の出直前でガスが晴れ、慌てて空木岳山頂へ走る。間に合わず山頂から御来光を見ることは叶わなかったが、とても美しい初日の出を見ることができた。どうやら中央アルプスは空木岳周辺のガスだけが晴れたようで、自分の幸運を喜んだ。
この日は池山尾根を下るのみ。空木岳登頂は3回目だったのだが、池山尾根を歩くのは初めて。記録を読んで小地獄のトラバースが心配になり、やばそうなら尾根に登り返して懸垂下降しようとまで考えていたが、トレースがしっかりあって何てことはなかった。
山頂付近は風が強く、持ってきた服6枚をすべて着込んで出発したが、標高1500mを切る頃には半袖のTシャツ一枚になって澄んだ青空の下をのんびり下山した。
例年にも増して寡雪の東北の山に年末の長期休暇を充てるには勿体ないと思い、美しい景色を求めて久しぶりに日本アルプスに出かけることに。
私のような軟弱者が一人で北アルプスに入山すると死んでしまいそうなので、少し自重して中央アルプスに決めました。結果、5日連続の晴天、その上黒覆尾根では終始微風という絶好のコンディションに恵まれ、楽しみながら黒覆尾根を完遂することができました。計画には無かったのですが最終日には空木岳から初日の出を拝むこともでき、本当に素晴らしい山行になりました。
晴天はまだまだ続くようだったので、もっと長く山に居たかったです。
冬期の空木岳池山尾根の記録はラッセルで時間切れ敗退のものが多く、黒覆尾根はトレースも期待できないので、時間がかかっても大丈夫なよう食糧は5日分用意しました。結果、雪は少なかったにも関わらず、そのまま5日間かかってしまいました(食糧はかなり余りましたが)。原因は写真の撮りすぎと軽量化不足でしょうか。大抵の方はこの積雪量なら4日あれば下山できるでしょう。
下山ルートの候補はいくつかありましたが、第一候補はネットでたまたま記録を見つけた仙涯嶺東尾根でした。15mの断壁があるとのことで、登るのは難しくても下りなら一人でも大丈夫だろうと思い、行ってみようと考えていましたが、色々と自分に言い訳をしてやめてしまいました。しかし黒覆尾根から見る仙涯嶺東尾根は美しい尾根で、是非行ってみたいと思わされました。もっと雪が多い時期に登ってみたいですね。
以下詳細です。
12月28日
徒歩で飯島駅より傘山の御嶽山登山口へ。傘山登山口への案内の看板が途中数ヶ所に設置されており、迷うことなく到着できた。
登山口を13時頃出発。雪は前日に降った新雪が残っているだけでほとんど無い。非常に良く整備されており、分岐になっているところや分かりにくいところには必ず看板やピンクテープの目印があり迷うことはまず無い。本当に親切な道で、エアリアマップにルートが記載されていないのが不思議。道は歩きやすいが、33kgの荷物を背負っての頂上直下の登りは堪えた。傘山山頂の展望は抜群で南アルプスの山々を眺めながら暫し休憩。
日没頃に山頂を離れたが、その後すぐに南アルプスの山々が赤く焼けるのを藪通しに見て、もうしばらく山頂に留まっていればとやや後悔。この日は1550mの小ピークのあたりで幕。樹林帯の平坦地で快適。雪がほとんどないので水作りはやめた。
12月29日
朝方はガスっていたが、すぐに晴れた。大持山(1710m小ピーク)までは相変わらず良く整備された道を行く。急に道が藪っぽくなったと思ったらいつの間にか大持山を過ぎていたようだった。ピンクテープの間隔も遠くなるが、踏み跡ははっきりしているので迷うことはない。黒覆山山頂は笹藪に覆われており、展望は無かった。
黒覆山からは踏み跡が薄くなり、尾根が広い部分では踏み跡を見失い藪こぎになった。笹藪なので大して辛くもないが、やはり藪は藪。ペースががくんと落ちる。ピンクテープも忘れた頃にたまに現れる程度になった。
1919mの小ピークの下りで両手で掴んだ木が両方折れ、派手にこけた。その際、片足が木に挟まって体が反転してしまい、抜け出すのに骨が折れた。雪が少ないときは下りはかなり歩きにくい状態になるので注意。
その後は急登に。ようやく雪が増えてきて、標高2050mのあたりで初めてワカンを装着。しかし翌日以降ワカンを再び装着することはなかった。
日没頃に小雪が降りだした。この日は2176mの小ピークを越えた直後のコルを整地して幕営。
12月30日
朝から快晴。ツボ足で出発。標高2250を越えるあたりから雪面がクラストしてきたのでアイゼンを装着することに。ここで、今回初めて使うアイゼンの調整をし忘れるという超初歩的ミスをおかしてきたことに気付き愕然とする。運良く道具なしでもある程度調整できるタイプだったので装着できた。危うく中央アルプスまで来て藪こぎだけで帰る羽目になるところだった。
クラストした雪面を快適に進み、下部から良く見える2580mの鋭い小ピークの登りに差し掛かった。まず雪壁を登り、灌木づたいに小さなピークを登りきるとナイフリッジが現れた。ここはかつて登山道があった頃に設置された鎖が露出していた。雪が安定しているので難なく渡れたが、雪の状態によってはロープが欲しいところかもしれない。その後短い雪壁を登って2580mの小ピークの頭に出た。
ここからは一度コルまでクライムダウンし、2588mの小ピークに登り返す。この辺りは短い雪稜になっている。藪が出ているので恐怖感は無いが、小さな岩をクライムダウンするところだけ少々緊張した。ここからは核心の岩峰が目の前に臨まれる。ここからだと完全に垂直に見えるのでややびびる。
岩峰に取り付くため、短い雪稜からコルへ懸垂下降。距離は10mほど。回り込めばクライムダウンもできるでしょう。その後岩峰の取り付き付近のダケカンバを目指して登る。重荷だとやや悪い。岩峰の直登は下から見ると難しく無さそうだが、念のため空身でまずfixを張る。藪が沢山出ているので好きなように中間支点をとれる。岩峰を登るとルンゼに張られた鎖が現れる。かつての登山道は岩峰をワイヤー伝いにトラバースしてルンゼを登るルートだったらしい。途中ぼろぼろの残置スリングがいくつかあった。ロープを45m伸ばし、標高2600mあたりの狭い平坦地で切った。その後全装で登り返し。空身だと簡単だったが、やはり重荷を背負ってのとフリーだと怖かっただろう。
色々ともたついていたため、登り返したところで日が暮れてしまう。雪稜の途中な上、風がよく当たりそうな所なのであまり良い幕場とは言えないがここを整地してテントを張る。ただ、展望は抜群。風が吹いても大丈夫なよう時間をかけて深めに掘った。ありがたいことに風はほとんどなく快適な夜を過ごせた。
写真を載せたが、グローブがこの日一日でボロボロになってしまった。一番大穴が空いていた右手の薬指が軽い凍傷になったことに下山後に気付きました。
12月31日
この日も快晴。朝焼けを存分に堪能して出発。幕場の目の前の短い雪壁を登るとギャップが現れる。地形図2620m付近の等高線の間隔が広くなっている部分がここに当たると思われる。頑丈なハイマツを利用してルンゼから懸垂下降する。ハイマツには古いスリングが残置されていた。20mほどの懸垂でコル南面に降り立つ。コルは南面、北面ともに急な沢型になっている。
コルまで登り返してから急な雪壁に取付く。途中、ダケカンバから古いロープが伸びていた。雪壁を30mほど登ると傾斜が緩くなり、そのままダラダラと歩いて田切岳(標高2730mピーク)へ。山頂にはケルンがあった。予想外に風が弱く気持ちのいい山頂だった。
田切岳から赤梛岳方面に少し下ると急になってくるのでダケカンバを支点にルンゼを懸垂下降。大した傾斜ではなく、また下は緩斜面で多少滑り落ちても大丈夫そうなので、クライムダウンもできそう。50mロープだと少し足りなかったので、残り10m弱はクライムダウンしてコルに至った。コルからは百離淵が目の前に臨まれて迫力の景色が楽しめる。
コルから少し登ると広々とした雪原に出て、思わずザックを放り出した。ここから赤梛岳へ最後の登り。雪の締まった広い尾根を快適に登り、赤梛岳山頂に出た。
黒覆尾根はずっと微風で本当に稜線が強風なのか疑っていたのだが、主稜線に出た途端に風が強くなり納得。岩陰に避難して上着を着て、穴の開いた手袋を交換した。
主稜線もやはり雪が少なく、夏道の赤ペンキもちらほら見える。途中夏道を辿ってトラバースを始めると、前爪しか刺さらないカリカリのアイスバーンの斜面で怖い思いをした。足を滑らせるとはるか下の奥二又沢まで滑落することになるので緊張した。場所によっては稜線を忠実に辿った方が安全だと思う。
空木岳の登りに入ると夏道が分かるくらい雪が少なくなり一安心。しかし山頂手前の偽ピークに着いて山頂を見ると、またアイスバーンのトラバースを強いられそうな斜面が見える。もう怖い思いはしたくないので、ここまでクォーク一本でやってきたがここでとうとうピッケルを装備してダブルアックスに。まさかここにきてダブルアックスを使うとは思わなかった。が、研いでいないピッケルは刺さりが悪くあまり役に立たなかった。
空木岳の山頂に着くのが予想以上に遅くなったのでこのまま日没まで楽しむことに。
綺麗な夕日を見ることができて満足だった。
駒峰ヒュッテに下ると冬期開放の土間が既に埋まっていたので、小屋周りのスペースを整地してこの日もテントを張った。星がとても綺麗な夜だった。
2017年1月1日
朝起きるとガスに包まれていたが、日の出直前でガスが晴れ、慌てて空木岳山頂へ走る。間に合わず山頂から御来光を見ることは叶わなかったが、とても美しい初日の出を見ることができた。どうやら中央アルプスは空木岳周辺のガスだけが晴れたようで、自分の幸運を喜んだ。
この日は池山尾根を下るのみ。空木岳登頂は3回目だったのだが、池山尾根を歩くのは初めて。記録を読んで小地獄のトラバースが心配になり、やばそうなら尾根に登り返して懸垂下降しようとまで考えていたが、トレースがしっかりあって何てことはなかった。
山頂付近は風が強く、持ってきた服6枚をすべて着込んで出発したが、標高1500mを切る頃には半袖のTシャツ一枚になって澄んだ青空の下をのんびり下山した。
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この記録で登った山/行った場所
- 空木岳 (2864m)
- 赤梛岳 (2798m)
- 池山小屋 (1750m)
- 駒峰ヒュッテ (2800m)
- 菅ノ台バスセンター・駐車場 (850m)
- 空木岳登山口駐車スペース
- 空木岳登山道取付地点
- 空木岳登山道入口
- 池山尾根水場
- 尻無 (1970m)
- タカウチ場 (1500m)
- マセナギ
- 大地獄
- 小地獄
- ヨナ沢ノ頭 (2282m)
- 空木平カール分岐点 (2530m)
- 駒石 (2655m)
- 田切岳 (2730m)
- 傘山 (1542.1m)
- 水場
- 岩間山城跡 (995m)
- 御嶽山 (963.96m)
- 御嶽山登山口
- 駒ヶ池バス停 (860m)
- 林道終点 (1365m)
- 第3展望台
- 御嶽山登山口駐車場
- 入口屋石碑
- 大山祇命
- 展望所 (1269m)
- 黒覆山 (1910m)
- 大持山 (1710m)
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過去記録は今現在修正中でして、今し方慌てて遡行図載せました。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1065314.html
見るなり、敢えて見ないなり御参考下さい。
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