赤岳 〜厳冬期の吹雪〜


- GPS
- 32:00
- 距離
- 16.9km
- 登り
- 1,661m
- 下り
- 1,657m
コースタイム
- 山行
- 6:24
- 休憩
- 0:48
- 合計
- 7:12
- 山行
- 4:15
- 休憩
- 0:35
- 合計
- 4:50
天候 | 初日:終日ほぼ曇り、翌日:快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
※駅前のタクシーを利用6300円 復路:美濃戸口BS1320ー1358茅野ST1419ー1602八王子 |
コース状況/ 危険箇所等 |
下山時において、文三郎尾根の山頂直下の岩を回り込むところ及びその少し先で岩を抱え込むようにしてトラバースするところが自分にとっての核心(他の登山者は割とすんなり通過しているよう)でした。 |
その他周辺情報 | 八ヶ岳山荘のお風呂(バス待ちの間に利用) |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
防寒着
雨具
ゲイター
ネックウォーマー
毛帽子
靴
ザック
アイゼン
行動食
非常食
飲料
水筒(保温性)
地図(地形図)
コンパス
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ガイド地図(ブック)
ファーストエイドキット
常備薬
携帯
時計
サングラス
タオル
カメラ
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感想
登山をやるようになって4年あまりですが、今回滑落こそしなかったですが最も反省の深いものとなってしまいました。これからの自分への戒めとして記録を書いておこうと思います。
先週は天狗岳に登ったことで次のステップとしては硫黄岳あたりが適当と感じてはいましたが、一般に赤岳厳冬期登山のレベルは中〜上級程度で雪山登山の登竜門といわれる位で、それならなんとかいけるだろうと決断しました。
2/10
【出発前日】
仕事を早めに終了させてから自宅に帰りパッキングしてから特急あずさの始発に乗るため新宿駅に行く。金曜日の夜だからなのか満席状態だが、甲府駅を過ぎると車内は結構空いている。茅野駅に着いてタクシーを止めると運転手さんから「美濃戸ですか?」と言われる。八ヶ岳山荘に着くまでの間、今日の昼間のニュースで阿弥陀岳南陵から滑落した早大生の話をしたら、その運転手さんが丁度その滑落した早大生の親御さんを乗せたらしい。
八ヶ岳山荘では仮眠室の利用なのに、迷わないように案内があったりベッドに名札をつけてくれたりと気遣いがありがたい。朝5時に出発する計画だったが仕事の疲れか寝坊し起きたら5時20分になっており結局6時30分スタートとなった。
2/11
【美濃戸口〜行者小屋】
寝坊意外は順調にスタートし予定通り南沢経由で行者小屋まで行った。青空を期待したがここまで陽がなく随分と寒い。行者小屋では沢山の登山者がいる。テントを張り楽しそうに談笑する学生グループ、ジャラジャラとカラビナやロープをつけた重装備のクライマー、登山教室のガイドらしき人が生徒の装備をチェックしたり様々な人間模様がみれる。
ここで一瞬青空から太陽が顔を覗かせる、八ヶ岳ブルーを写真に撮ろうとシャッターを切るがそれきりまた曇り空に戻ってしまう。行者小屋は冬季営業を終了していたが週末は宿泊者が多いため営業しているようだ。小屋でストーブにあたり冷たくなった手を温めているとき、同じくストーブの近くにいた人と話したのだがあまりにも寒いので今日はこの小屋に宿泊することにしたらしい。その時はまだ10時半頃だったのだが。
【行者小屋〜赤岳山頂〜赤岳展望荘】
行者小屋にて南沢を歩くときに使用したチェーンスパイクから12歯アイゼンに履き替え、ピッケルを出し、オーバーグローブとバラクラバを装着、ただし曇っていたのでサングラスはつけず。特に何も考えずに文三郎尾根に向かうことになった。ほどなく結構な急登を登っていくと先ほど行者小屋で先に準備を済ませて早々に文三郎尾根に向かった登山者が降りてきた。その時は山頂に行って戻ってきたのかなと思っていたが、その後その登山者は強風により引き返してきたことを確信することになる。ほとんど埋まっている階段・鎖場を登りきると堂々たる赤岳が飛び込んできて感動したが、それ以上に強風が何より凄かった記憶がある。たまに太陽の光が雪雲に薄っすらとみえるがすぐに閉ざされる中、写真を一枚撮ったがその後展望荘に着くまで一枚も写真記録がないことが過酷さを思い出させる。道標(中岳との分岐)がみえてからそこに辿り着くのも大変だったが、稜線に出たときさらにそこは縦横無尽に強風が吹き荒れておりルートも自信がなくなってしまった。後続の2名パーティが来ているのをなんとなくわかっていたので道標まで引き返し「ルートに不安があるので後ろをついて行って良いか」了解もいただき、それにより気持ちも落ち着きを取り戻すことができた気がする。その先行者は吹雪の中とても落ち着いていて一定のペースで確実に登っている、少し遅く感じたがそれは自分の装備が貧弱で動いていないと寒いからである。サングラスはしていないので顔は剥き出し、バラクラバは薄手の生地のものなので汗を吸ってバリバリに凍り付いて顔に引き上げることもできず。ゴアのレインウェアを着ていたがフードが小さいので被ろうにもヘルメットが干渉してしまう。経験豊富そうな先行者は雪用のハードシェルにゴーグルで完全防護されていたと思う。こういう環境で登るときは、厚手のバラクラバ、ハードシェル、ゴーグルが絶対必要なことを知った。
最後の岩場をダガーポジションで乗り越える。本で読んだことはあったが実際やるのが初めてで先行者に続いてやった。落ちるわけにはいかないので必死に真似ただけである。そこでいきなり山頂に飛び出したときは驚きと、感動と、なんとも表現しがたい気持ちだったと思う。先行者と写真を撮り合い早々に下山開始し赤岳展望荘に着いたときは茫然とし言葉も出てこず、小屋番の方に「宿泊か?」と聞かれ「はい」とへんじをするのが精一杯で、住所氏名を記入する手も震えていたので異変に気付いたのかシェルが薄いようだが大丈夫か尋ねられ、低体温症の可能性があるので食堂で温まってから部屋に行くように促された。その時に小屋番の方に言われた「簡単に死ねる山」だという言葉が心に染み込んできて自分のすべて(体力、精神力、経験、装備)が未熟であることを痛感する。先行者にお礼をいうこともできなかったことが非常に悔やまれる。展望荘は山頂近くにあるが信じられないような作りになっていて、地下のトンネルを抜けたところに2階建ての個室棟があり、その奥にある登山者が集う談話室のコタツで夕食まで寝ていた。
2/12
【赤岳展望荘〜赤岳山頂〜行者小屋〜八ヶ岳山荘】
3人部屋の個室で同じ部屋になった男性といろいろ話したが、東京から来られたというその方も同じく文三郎尾根を登ってきたという。今回の強風については同意してくれたが中央アルプスでもっと過酷な体験をしたことがあるようだ。その方は翌日は横岳、硫黄と縦走するという、私は地蔵尾根を下山しますと伝えた。しかし私は直前で文三郎のピストンに変更した。理由は一度登ってきたから以外にはない。翌日は最高の快晴で、風はあるが太陽の陽がでてることでこれほど違うものが実感する。頂上直下の岩場の横を昨日やったようにダガ―ポジションで下降しようとしたが非常に怖かった。他の人の倍くらいの時間をかけて降りた気がする。これは自分の経験と技術不足、三点支持の基本を理解していないことを自覚した。自宅に帰ってから気づいたが顔の頬と耳に軽い凍傷の症状があった。
以上の内容は個人的な記録として残すつもりでいましたが、これを読んでくださった方が何かを感じてくれることがあれば嬉しいと思います。稚拙な文章を最後までお付き合いいただきありがとうございます。
プロトレックの記録(登りのみ、下山時忘れる)
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コメント
この記録に関連する登山ルート

はじめまして!
2月11日は私も赤岳の予定でしたが、2月10日の天気と当日の状況で、諦めて瑞牆山に変更しました。
瑞牆山頂からは、八ヶ岳の全てが見えませんでしたよ。
ヤマレコの内容を読ませてもらって、当日の状況が把握できました。正直、行かなくて正解でした。
私にとって、貴重なレポートです!
これからも山登りを楽しみましょう!
こんにちは!oichan様コメントありがとうございます。
瑞牆山に予定を変更されたこと、正しい判断だったと思います!
私はその決断が出来ず登り続けてしまいました。今後は状況判断によっては
「撤退する勇気」を持たないと駄目ですね。
これからもお互いに安全登山をモットーに楽しみましょう!
11日に赤岳山頂でお会いしました、3人組です。
私たちはあの後、地蔵経由で下山しました。樹林帯に入り、風がやんだ時にはホッとしました。
無事展望荘の入り口が見つかってよかったです。
(ホントにどこから入るの〜?って感じでしたものね。)
お疲れ様でした。
翌日はすばらしいお天気ですね。(うらやまし〜)
今度は良い条件の時に登りたいです(^_^;)
<kohut121 さん、以下、コメント欄お借りしてすみません>
oichanさん
富士山でお会いするoichanさんですよね!?
また今シーズン富士山でお会いするのを楽しみにしています<(_ _)>
chipuさん こんにちは!
コメントありがとうございます
御三方をよく覚えてます。
最後の岩場のところで追いつかれたと思ったら、岩の横をあっという間に登っていかれたの見てびっくり。そのあと岩の上からメンバーの男性がこちらを覗き込むようにみて、そこが山頂直下であると知らせて頂き、気持ちがホッとして嬉しかったので忘れられません。
山頂から展望荘までは雪煙に消えそうな後ろ姿を必死に追いかけ、体力気力ともに限界だった私はそのまま下山される御三方を信じらない思いでみていました。
翌日は本当に快晴で、2日間で天国と地獄をみた気分です。
今度は天候の良いときにまた赤岳を登れるとイイですね!
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