釜ノ沢東俣(時期が早すぎた!)



- GPS
- 32:00
- 距離
- 17.6km
- 登り
- 1,613m
- 下り
- 1,613m
コースタイム
5月3日
西沢渓谷入口バス停9:50-10:25入渓点(沢装準備)10:50-11:45ホラの貝ゴルジュ-14:40魚留滝-15:50両門ノ滝-17:20幕営地(標高1670m付近)
5月4日
幕営地5:50-6:55ミズシ沢手前階段状大ナメ下-9:35木賊沢手前階段状ナメ滝下-12:55ポンプ小屋-13:20甲武信小屋(沢装解除)13:40-14:05甲武信ヶ岳-15:05木賊山-16:50近丸新道・徳ちゃん新道分岐-18:15西沢山荘-(着替等)-18:50西沢渓谷入口バス停
天候 | 5/3 晴れ時々曇り 5/4 晴れ時々曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2017年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
|
コース状況/ 危険箇所等 |
超メジャールートであり、通常であれば特段の難所は無いはずだが、今回標高1950m付近から雪渓が現れ始め、以後標高を増すにつれ雪の量が増えた。特に、右壁を容易に登れるはずの木賊沢出合手前の滝がびっしりと固い雪に覆われており、左岸から面倒な高巻きを強いられた。 |
写真
感想
今回は山での幕営が初めてのKさんを連れてなので、超が3つ付くくらいのメジャールートである釜ノ沢の遡行を計画。南面の沢なのでGWともなればかなり雪も融け、大きな支障なく遡行できるかと思っていたのだが・・・
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5月3日(水)
「西沢渓谷行きの方は奥の列ですよ〜〜」
塩山駅南口のバス停。
GWとあって西沢渓谷方面、大菩薩方面ともまさに長蛇の列ができている。臨時便も出ており全員乗ることはできたが、あいにく立ち乗りとなる。
車窓に映る光景は新緑眩しいが、標高を徐々に上げ西沢渓谷へ至ると、周囲の木々はようやく冬から春に移り始めたところのようだった。
もうかれこれ10回くらい歩いた遊歩道を今日も歩き、入渓点へ向かう。
河原に下り、鶏冠谷出合まで進み、入渓準備をするが・・・何かが見当たらない・・・
げげ!!
沢足袋忘れた!!!
いきなり酷い(Kさんに貸す用に持ってきたものはあるのだが、肝心の自分用のを忘れていたようだ)。どうするかちょっと迷ったが、まあ、これまでも何回か来て勝手知ったる釜ノ沢だし、登山靴ではたしてどれくらい遡行できるものなのか試す良い機会だ、と(半ば無理やり)考えてこのまま入渓することに決定。
どうせ濡れると考え、最初の渡渉から構わず水の中をバシャバシャ進むが、重いし靴下は濡れるしかなり不快^^; ただそれほど滑らないので良い。
入渓点からしばらく続く左岸トラバース道は、落ち葉が大量に堆積しており踏み跡が分かりづらい。いつもより慎重に進む。
Kさんはシュラフを担いで山に登るのは初めてとのことで、以前の日帰りの沢に比べて大分しんどそうだ。
ホラの貝ゴルジュで休憩していたところで、後ろから来られた2名パーティとスライドする(この後何回かすれ違った)。
トラバース道をさらに進み、東沢に再び下りてやっとまともな沢歩き開始。スローペースだが、日が長いので何とかなるだろう。
乙女の沢、東のナメ沢、西のナメ沢を鑑賞して、ようやく釜ノ沢へ至る。
左壁スラブの凹凸を利用して登る魚留滝は、登山靴だとチョット厳しい。ザックを壁に立てかけて足場にして登る。Kさんにはスリングを出す。
説明不要の千畳のナメを超え、ゴーロを歩くとほどなく曲がり滝。ここは左岸巻きで通過。明瞭で問題なし。
以前他の人と釜ノ沢に来たときは晩秋のため日が短く、時間切れとなりこの辺で泊まったっけ。今日はまだ進めるぞ。
両門ノ滝は東俣へ進む。左岸の滝から少し離れたところから取り付き巻きに入るが、木の根が大量にあり容易だ。
両門ノ滝の上にあるのがトイ状のヤゲンの滝。一定間隔で見せ場を作ってくれるのが釜ノ沢の嬉しいところ。マヨイ沢との中間尾根から巻く。巻きの途中に「薬研滝」の看板があった。
本日最後の滝が8m斜滝。左の壁につけられた赤テープに導かれて登っていくと、これも簡単に滝上に出られる。
さて、時間も押してきたので、幕営適地を探す。先のパーティが8m滝のチョイ上くらいの適地で幕営していたので、自分たちはもう少し進むと、焚火跡の良さそうなテント場を発見。今日はここに泊まることにする。Kさんは相当お疲れモード。
夕飯を作ったあと、久々の焚火をして就寝。
明日の雪渓の状態が少々気がかりだが、まあ大したことはないだろう、とたかをくくっていた。が、甘かったことが翌日判明する。
5月4日(木)
今日もまずまずのお天気。しばらくは何の変哲もないゴーロを歩く。
1時間ほど歩き、沢幅が狭まりだしたころ、ようやくミズシ沢手前の滝に到着。連瀑となっており、最後の階段状の滝は右壁が快適だ。一応Kさんにはトップロープで登ってもらう。
ミズシ沢を左に見送り沢が屈曲すると、雪渓が現れ始める。はじめは片側のみだったが、途中で沢全体を覆う雪渓が現れ、左岸から巻く。
小さく巻けるかと思ったが思ったよりも大きな高巻きとなり、ザイルで手がかりを作ったり懸垂したりしているうちに大分時間を費やしてしまった。先のパーティは雪渓上を通過していたので、若干コース取りを失敗した感がある。
そして今回の核心部となったのが、木賊沢手前の滝。無雪期であれば右壁を直登できるが今回びっしりと雪に覆われている。右のガレの斜面は雪が無かったため、まずこちらを偵察してみるが、結構な高巻きになりそう。
そこで今度は雪に覆われた滝の右壁を灌木伝いに登ってみるが、灌木の多くがぐらついており、掴んだとたん折れてしまうものも幾つかあった。さらに、滝を覆う雪に足を乗せるがとてもステップを作ることができないほどガチガチに凍結しており、断念。結局右から巻くしかなく、ガレをしばらく登ったところから左手の藪にトラバースをかける。結構濃い藪だ。
藪を抜け、今度は木賊沢と釜ノ沢との間の尾根に向けてさらにトラバースしていく。先行パーティがいたためルートが分かりやすくなっており助かった。藪を抜けてからの数メートルほどが足場は安定しているものの高度感があり、Kさんはフリーだと厳しそうだったのでスリングで手すりを作る。さらにそのあと懸垂で雪に覆われた木賊沢をトラバースし、中間尾根上の本来ルートに復帰する。
結局この一連の滝の通過に2時間も要してしまった。
そのあと釜ノ沢に復帰してからも多くの場所は雪渓で覆われるようになり、いちいち通過に神経を使う。雪がなければ快適にフリクションで登れる場所なのになあ。。
まあ、それでも特段困難な場所は出現せず、疲労困憊のKさんとともに何とかポンプ小屋にたどり着いた。
ポンプ小屋からは踏み跡を辿り(これも大分雪に覆われていたが)、甲武信小屋へ。
この時点でバスに間に合わないことは確実。どっちにせよタクシー帰りになるので、せっかくなので甲武信ヶ岳に寄っていく。ザックは小屋前にデポ。
20分ほど登ると山頂に至る。久々の甲武信、奥秩父主脈縦走路はもちろんの事、富士、南ア、八ツが一望できる。
さて、再び小屋前に戻り、長い下山を開始する。木賊山付近はまだまだ深い雪に覆われていた。主稜線から分岐し戸渡尾根に入ってもすぐには雪は無くならず、ほとんど無くなったのは標高2000mを切ってからだった。
急坂をひたすら下り、途中の携帯が入る場所でタクシーを呼び、陽も大分傾きかけたころ、ようやく遊歩道に戻った。Kさんは途中で何回か幻覚を見たらしい。
あとはぼちぼち歩き西沢渓谷バス停へ。結局この日は休憩も含めると13時間行動というなかなかの鬼山行になってしまった。Kさん、お疲れさまでした!
早めに来ていてくれたタクシーに乗って塩山駅へと向かった。
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積雪状況の読みの甘さが最大の反省点。あと、沢足袋忘れ。
やはりこの時期釜ノ沢の記録がほとんどないのはそれなりの理由があるんですね。
釜ノ沢は易しい沢ではあるものの地形的にエスケープが困難なので、特に上部の雪渓の状況が分かりにくいときはエスケープの容易な沢を選ぶなど、慎重な計画にすべきだったと思います。
orochiさん、こんにちは。
残雪に困らされたみたいですね。
GWのあの辺りはいつもあんな感じです。
標高があるのと寒いところだからでしょうか。幕営した時とか寒くなかったですか?
PS 弘田さんの事故を聞いて衝撃を受けました。やはり沢は恐いです。お互い事故無く、楽しみたいですね。今シーズンもレコを楽しみにしています。
yoshi629さん、コメントありがとうございます。
やはり雪を気にせず遡行できるようになるのは5月末頃〜でしょうね。
焚火もあってか、あまり寒さは感じませんでした。以前晩秋に遡行した時の方が寒かったように思います。
>PS
大峰の沢で事故があった報道は見たのですが、あの弘田さんだったと初めて知りました。衝撃です。自分はとても行けないような沢の記録も多いですが、とても分かりやすいHPで見るだけでも楽しく、良く参考にさせていただいていました。
それだけに、身近な人が亡くなったような感覚で、今も少し身体が震えています。
ただ、ご冥福をお祈りするばかりです。
どれだけ技術力があっても何かあれば一瞬で命を落としてしまう可能性のある沢。どんなときでも安全第一、安全第一ということだけは忘れずこれからも登り続けていこうと思います。
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