クモイコザクラ天国、魔城 鋸岳へ
- GPS
- 14:10
- 距離
- 35.4km
- 登り
- 5,361m
- 下り
- 5,364m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
行き、帰りとも、渡河4回。特に、角兵衛、熊穴の渡河は急流、転倒注意。 角兵衛、熊穴のガレガレは、大岩の蟻地獄。 鋸岳縦走路は、滑落すると死にます。 小ギャップの垂直鎖、大ギャップへ向かうバンドは恐怖です。 |
写真
感想
去年、2度鋸岳に登りました。2度目は、なんとか鹿窓の周回に成功しました。下りた直後は、もう十分という感じでしたが、しばらく経つと、また登りたくなってきました。なぜ登りたくなるのか? これだけ自分の力の限界を試される山は、ほかにないからかと思います。
限界を試すという意味で、SASUKEに魅入られた者たちがいますが、多分似たような感じなのでしょう。SASUKEは魔城と呼ばれてますが、鋸岳も魔城と思います。戸台川という外堀でまず守られ、次に角兵衛、熊穴というガレガレの石垣に守られ、第一高点、第二高点も櫓にしかすぎず、本丸の鹿窓には、内堀の小ギャップ、大ギャップを突破しないとたどり着けない、という他に類をみない鉄壁の守りの魔城です。再度ここを突破するために、私も1年間走りこんできました。朝20分のランニング、縄跳び、柔軟だけですが、雨と雪の降る日以外は、冬も毎日欠かさずに続けてきました。こんなことは人生初です。
去年、八ヶ岳地獄谷にクモイコザクラに会いにいきました。今年は、是非、鋸岳で会いたいと思います。角兵衛沢のコルから第一高点の登りで目撃情報があります。去年の経験から、クモイコザクラは半日陰の湿った崖に群生するということがわかっているので、角兵衛沢の右側の崖に群生があるのでは?と目星をつけていきます。そして開花とあわせるために、6月頭のこの日を選びました。
朝14時20分に起き、3時に出発。家の外は5度で寒風が吹いています。ヤマテンの予報では甲斐駒頂上は朝はマイナス4度、日中も0度近いとあったので、念のため11月なみの防寒装備を持ちます。戸台には4時15分に到着。4時30分登山開始。渡河は4回、2時間で角兵衛沢渡河点に到着。ここから岩小屋まで、前回入ったガレ場にはいらないよう、森を進みます。2時間で岩小屋到着。気温低く水消費少なく、時間節約のため水は補給せず。
ここからガレ場の右隅を登ります。クモイコザクラがないか目を配ります。20分ほど登ったところで、最初のクモイコザクラが。枯れかけが多いです。ここは先週がピークだったことでしょう。日陰にかろうじて満開の花が。さらにすこし登り、正面を岸壁がさえぎるところで、ありました、満開のクモイコザクラの群生が。写真取りまくりです。もう、これで撤退しても悔い無しです。さらに上ると、また群生が。ちょっと危ないところにあったりしますが無理はしません。スフィンクス岩の手前にも群生が。さらに行くと、また群生が。クモイコザクラ天国です。
クモイコザクラ探索だけで30分以上時間を使い、川から角兵衛沢のコルへの到着に、4時間以上かかりました。第一高点は11時半到着。予定より30分遅いですが、日の入り19時前の帰着にはまだマージンがあるので、鹿窓行きます。この日、角兵衛沢のコルと第一高点の間で5−6名の人に会いました。釜無川ゲートから来る方がメインのようです。それ以外の場所では誰とも会いませんでした。帰りに駐車場近くでサルの群れに会ったぐらいです。くまやマムシにあわなくてよかった。
去年は、途中からガスがかかって景色があまり見えませんでしたが、本日は360度の眺望です。八ヶ岳も、甲斐駒も、北岳も、仙丈も、大好きな日向八丁尾根も、よく見えます。適時景色を楽しみながら鋸を縦走します。最初は、小ギャップの10mの鎖下り。前回は、まずここで手をかけた茶色の岩が轟音ともに崩れ落ち、パニックになりました。今回は、まず、茶色の岩を避ける。さらに、手と足をかけた際に、くずれないか様子を見てから体重をかける。を自分に声をかけながらしっかりやり、問題なく落ち着いて下りれました。
登りの鎖は、前回同様、途中まで直登り、そこから左の草付き。鎖場の上のナイフリッジでは、逆から来た場合怖いという鎖を確認。これは、小ギャップへ鎖をたらすために岩を回しているだけで、登山者につかまらせるためではないですね。でも、初めての人はナイフリッジの超え方、わからなくて、見えた鎖につかまるしか手がないのもわかります。これは正解を知らないと無理です。
鹿窓をくぐり、鎖の難易度を確認。かなり角度があり、靴のフリクションを頼りに降りる局面がありますが、八ヶ岳 真教寺の鎖場レベル(最後の垂直に近い壁)と思います。そこで足に異常発生。前回、前々回は、ガレガレのコルを登ったところで、足が攣った(攣りかけた)のですが、今回はここまで異常はなかったのでOKと思っていたら、急に左足ももの裏がつった!
くだりならOKかとおもったが、下っても攣る。まずい、こんなところで足がうごかなくなったら遭難だ、とあせりました。そこで、攣り防止の甘草湯を1日分3袋を一気に飲みます。前々回、これをしても登りでは攣り、やむなく撤退しましたが、下りでの攣り防止には効いたようで、なんとか攣らずに下れました。
最後の難所は、大ギャップのガレ場に行くためのバンドのギャップです。ここは3m以上滑ると、垂直の崖が待っておりあの世に行きます。慎重に歩くが、足が30cmほど滑る。自分に掛け声かけて気持ちを奮い立たせて、前に進みます。ほんの5mほどですが、本日、ここが一番危険だった場所です。
大ギャップを上ると、左の崖に水が流れています。予想と反し、日差しが強く、風もなく、水の消費が激しくなったので、ここで水を補給。大ギャップから第二高点への登りには、残雪があります。道が消えているところが多く、迂回で苦労しました。足が攣ったり、残雪の迂回で時間を使い、第一高点から第二高点まで2時間近くかかりました。
あとは、前回同様、中之川へ下り、熊穴沢を下り、駐車場へ河原を歩きます。前回より30分余計にかかりトータル14時間強でした。それでも19時の日の入り前には、余裕を持って帰ることができました。
本日は、念願の鋸岳最チャレンジで力を出し尽くし、さらにクモイコザクラ天国も堪能できた、最高の山登りでした。鋸岳、ありがとうございました。
コメント
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totoroさん、こんばんは!
久し振りのレコアップが、何と鋸岳ですか!(汗)
去年から三度目とは...。いやはやビックリいたしました。
しかし、鋸岳に掛ける執念は凄まじい限りです。
SASUKEに例えられておりますが、ランニング等で鍛え、まるでボクサー
のような1年を送られていたとは
何とも恐れ入りました!
その成果が如実に表れ、クモイコザクラが文字通り花を添えた
完璧なる山業になりましたね。
いや〜頭が下がりますよ。私など、ユルユル登山が続いていますので。
尚更、そのストイックさが眩しいくらいです。
本当にお疲れ様でした。
tailwindさん、おはようございます。
毎朝、鋸岳を目指し、走り続けました。
雪が降っても積雪路を走り続けました。(凍らなければ、結構滑らないことがわかった)
そして晴れている日は、再度挑むことを心に誓い、鋸岳を見ながら縄跳びをしてました。
3月の編笠経由でのギボシは、白の魔城突破で成果確認、という前哨戦でした。
できればクモイコザクラを見れる日(5月末か6月頭)で、
都合のつく日(今は朝4時から登山ができるのは日曜のみ、先週は田植えでNG)、
そして天気がマッチしてくれたおかげで
今回、鋸岳への再訪がかない、クモイコザクラ天国にも会えました。
執念が実り、完璧な山業となりました。
また、しばらくは山に行けないと思いますが、大満足です。
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