【帰巣作戦】雲取山(ヨモギ尾根)〜七ツ石山〜鷹ノ巣山【乙71.2】
- GPS
- 09:57
- 距離
- 36.6km
- 登り
- 2,988m
- 下り
- 2,950m
コースタイム
- 山行
- 8:52
- 休憩
- 1:04
- 合計
- 9:56
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
復路:峰谷〜雲風呂バス停〜奥多摩駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
ヨモギ尾根入口からしばらく、沢沿いの道は相次ぐ土砂崩れで荒れている。 その後、傾斜のある道が延々と続く。が、道はジグザグに造ってあり、若干負担は軽減される。 雲取山、七ツ石山、鷹ノ巣山直下の急登は周知の通り。焦らずゆっくり一歩一歩進むが吉。上りはゆっくり歩けば良いだけだが、下りは勢いがつくので慎重に足運びすること。 |
写真
感想
【経緯・計画】
西暦2017年の山行は1月の雲取山から始まった。本年山行の有終の美を飾るべき締めの山行も雲取山とする。ホームに始まりホームに終わるのが、やはり収まりが良い。
雲取山に至るルートは東西南北様々あり、鴨沢からのルートがメジャーなことは周知の通り。今回乗ったバスでも、9割方の人は鴨沢で下車したように思う。
そんな中、1月の山行記録にメッセージをいただいた方がヨモギ尾根を歩いていたことから、自分も未踏の尾根を歩いてみることとした。
【山行概要】
(奥多摩駅〜鴨沢西バス停)
まだ夜明け前の奥多摩駅には寒い時期にもかかわらず多くの山行者が降り立ち、鴨沢西行きのバスの席は粗方埋まる。境橋や奥多摩湖で降りる者は無く、これは皆雲取だなと思ったが、その通り、三頭山方面3名、他釣り目的らしき2名と私を除き、他は皆鴨沢で下車。私は終点で降りる。
(ヨモギ尾根〜雲取山)
鴨沢西バス停で下車の後、暫く国道を歩き、三条の湯へ到る林道に入る。途中、片倉橋のゲートが閉じられていたが、ヨモギ尾根の起点となる塩沢橋到達直前に車2台が通る。三条の湯の人は特別に入れるのだろう。
ヨモギ尾根の道は、まず沢沿いに遡るところから始まる。沢音を聞きながらの山行は清清しいものだが、冬場ともなると緑も無く、何となく寒々しい。それに上から崩れてきた土砂や、崩落してしまった道の様相が加わり、荒々しい雰囲気を醸成する。
そんなスリリングな道も長くは続かず、急傾斜の山肌をジグザグに転回しながら根気よく昇っていく。
途中、奥後山というピークがあるのだが、ピークらしい所には何も無い。木が立っているだけ。何かあるはずだと戻ってみると、三角点の上に標識が置かれていた。全く目立たないので地図を見ながら歩いていなければ簡単に素通りしてしまう。
奥後山辺りではまだ主稜線まで高度さがあるなと思っていたが、急傾斜をうまくかわすような感じで道が通っているので、その後はあまり負担を感じた記憶が無い。
奥多摩小屋直下の水場で咽喉を潤して主稜線に出る。
主稜線に出たらヨモギノ頭、小雲取山、そして主峰雲取山への三連急登が待ち構えているが、小雲取を越えれば気持ちの面でも楽だ。
今年後半は携帯コンロ(固形燃料)を購入して山でコーヒーでも淹れようかという思いを抱きつつ、店を冷やかしに行くようなことも無く、結局今回も家で魔法瓶に淹れてきた熱いお茶で山頂の時間を過ごす。そんな高い買物でもないが、購入の是非は来年の課題。できれば1月の山行で試したいところ。
(石尾根)
雲取山頂からは主に南方、西方の展望が優れているが、雲取山荘方面に下ると、北側の展望も得られる。空気が澄んでいれば北アルプスも見えたりするのだが、今回は長野方面は曇り。こちらは穏やかな冬、向こうは厳しい冬だ。
帰りは巻き道。道中対向者1名。山頂に行くつもりが巻き道を進んできてしまったようだ。確かに、標識でどちらにも「至 雲取山」と書いてあれば、平坦で楽そうな道を選択するのは人情というもの。結局、彼は雲取山荘経由で登頂することにしたようだが、他の登頂者が見ない景色を彼も見ることができただろう。
若干雲が増えた感のある富士山や南アを見ながら石尾根を下り七ツ石山へ。反対側から親子が歩いてくる。ああ、鴨沢で下車したペアだなとすぐわかったが、先方も気がついたようだ。
それほど予定よりもかなり速く進行していたので、その先どうすべきかを七ツ石山で検討。当初予定では鴨沢に下る予定だったが、バスが来る時刻を考えるとあまり鴨沢という感じではない。時間があるんであれば少しでも東に下山してバス代を浮かすべし。
というわけで、当面鷹ノ巣山を目指して石尾根を東進することとする。ただし、今回山行は冬至の翌日である。大事をとって尾根筋ではなく通常の巻き道を進む。
(破綻)
石尾根を歩きながらもどこに下山するか思案に暮れる。未踏の赤指尾根を下るか、峰谷のバスは17時だし、うまく行けば六ツ石山か、果ては奥多摩駅まで歩くことができるのではないか・・・。いろんな可能性について大胆な検討が出来たのは懐中にライトを忍ばせていたからである。暗くなっても灯りがあればどこまでも歩いていける。
しかし、そのような集中を欠く山行を咎めるかのように、道に突き出た木の枝が顔に当たる。恐らく、この際にサングラスが落ちるなり飛ぶなりしたのではないかと思われるが、引き続き時間と下山地点について思考を巡らせていたため、サングラスが無いことに気がついたのは暫く後になってからだった。
最初は「実は額にかけていたりして」と冗談めかしていたが、いよいよ事態の深刻さに気がつく。普段、ゴミを落としたりしないよう細心の注意を払っている自分がとんだ失態だ。私の記憶の範囲内では七ツ石神社では確実に装着していたが、やはり木の枝が顔に当たった辺りが怪しいと睨んで引き返す。
引き返したのも「すぐに見つかるだろう」という思いあってのことだったが、道に張り出す木の枝が無くなった峰谷分岐に至っても見つからず。同じ方向に向かって歩いた方が見つけやすかろうとまた東に歩いたが結局落し物を見つけることはできなかった。
山に対して真に申し訳ない限り。遺憾の意を表せざるを得ず。
(鷹ノ巣山〜下山)
一転の曇りも無かった山行も急転直下で士気が低下。このまま下山したら高度を下げるにつれてテンションもいよいよだだ下がりになることは確実。そこで、少しでも士気を高揚させるため、最後に鷹ノ巣山登頂を目指す。
延々と歩き続けてきた後、日没間近な頃合に鷹ノ巣山への急な、そして意外と距離のある道のりを昇っていくのは悪手だったかなと思いもしたが、体力と時間を使ったことで、日没前に下山できるか否かというところに関心を向かわせ、結果として気を紛らわせることが出来たように思う。
鷹ノ巣山から峰谷へは他の尾根と比べて里へ下るまでが短く、あっさりと下山。峰谷の奥集落上手にある浅間神社では境内の社祠に落としもののことを詫びて回り、下山時には山へ向かって改めて頭を下げた。
峰谷ではまだ時間があったので、バスが来るまでにバス停を何個分か下る。この時、私はインターネット上の古い情報で現在の運行時刻よりも5分遅くバスが来るものだと思い込んでいたのだが、雲風呂バス停に至って自らの誤りに気がついた。そして、その数分後にバスが来たのである。ここで気がつかなかったらバスを1本逃すところだった。
この偶然なる幸い、そして日没前に下山できたことは、実に山の恩寵と言うべきで、不祥事にも関わらず、変わらず大慈大悲を垂れたもう山に深謝するとともに、必ず報恩する決意をいよいよ固め、山行を終えたのであった。
【総括】
今回の山行で何を総括すべきかと言ったら、サングラスを無くして、それを山中に埋もれさせてしまったこと。これが全てだ。時間が経って気持ちが落ち着いてきたとは言え、痛恨事であることに変わりはない。有終の美を飾るべき締めの山行において、とんだ不祥事だ。ただただ山に平身低頭するのみ。
サングラスを見つけることは困難だろう。しかし、このままでは私の気持ちが収まらない。こうなったら今一度石尾根を歩き、私が落としたものに倍するゴミ等を拾い、回収して少しでも山を綺麗にすること、これしかない。
これは私と山との約束であり、誓約である。
そして、このような後味の悪い山行を本年と締めとして良いものか、残り1週間、天候と体調を勘案して、よくよく考えることとしたい。
〜おしまい〜
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