ペテガリ岳【東尾根】〜ルベツネ山〜1600m峰〜ヤオロマップ岳〜コイカクシュサツナイ岳


- GPS
- 97:41
- 距離
- 78.5km
- 登り
- 4,079m
- 下り
- 4,079m
コースタイム
- 山行
- 8:55
- 休憩
- 0:44
- 合計
- 9:39
- 山行
- 8:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 8:00
- 山行
- 2:31
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 2:31
- 山行
- 14:30
- 休憩
- 0:34
- 合計
- 15:04
- 山行
- 6:25
- 休憩
- 0:34
- 合計
- 6:59
天候 | 1日目:曇り 2日目:暴風雨 3日目:暴風雨 4日目:晴れのちガス(強風) 5日目:晴れ時々曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
札内川ヒュッテに下山後は車道を歩いて駐車地点まで戻った。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・ゲートからペテガリ岳東尾根登山口まで約10kmの林道歩きが必要。 ・林道の橋は3か所でなくなっていた。川は裸足で渡渉した。 ・道は踏み跡程度かそれもないところが多数。(道はあるのだけど非常に分かりにくい) ・長時間のヤブ漕ぎが必要。丈夫なズボン・手袋・ヘルメットは必須。 ・ルート上の水場は通常はペテガリCカールとヤオロマップ岳山頂から十勝側に少し下ったところにしかない。今回は稜線上に残雪があったため水場まで行かなくても水をとることが出来た。 ・テント場(平坦でテントが張れそうな場所)は稜線上に点在するが吹きっさらしで強風の日は厳しい場所も多数。何処も狭いので大型のテントは張れないと思う。 |
写真
感想
昨年同ルートで縦走しようとしたときは2日目の途中で滑落してしまうという失態を犯してしまった。今回はそのリトライである。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1253148.html
【1日目】
早朝自宅を出発。途中のコンビニで1日目の行動食を調達後、中札内の道の駅で荷物の最終確認をしてから登山口である歴舟川支流林道のゲート前へ向かう。水は昨年同様6リッターを背負う。昨年よりも涼しいのでそんなに必要ないかと思ったけど有って困ることはないので多めに持っていくことにした。
まずは夏の登山口までひたすら林道を進む。昨年あった林道の崩壊ポイントは修復したのかスムーズに通過できた。ただ途中の橋が3か所で完全に流されていて跡形もなく無くなっていた。川幅も広く登山靴で渡るのは無理だったため裸足で渡渉した。何度も靴を脱いだり履いたりと面倒であった。夏の登山口からは適当な斜面を登って尾根まで上がる。あとはひたすら尾根を進むだけ。
ペテガリ岳東尾根は道というより全体的には踏み跡程度しかない。昨年はルートをロストしまくったので、今回はより一層注意しながら歩いた。昨年滑落したのもルートをロストしたことが原因の一つだ。
トラバース道っぽいものが見えてもそっちには行かずに必ず尾根へ登る。どんなに急斜面でも道が見えなくても尾根へ這い上がと必ず踏み跡があるということを昨年学習した。
尾根では一番高いところを進む。正面に「えっこのヤブどうやって進むの?」というような激ヤブ地点が現れても強引に正面突破するとその先に踏み跡があったりする。左右に逃げると結局さらに酷いヤブが待っているだけである。もし正面からどうしても進めなくなって左右に巻いたときは速やかに一番高いところまで戻る。ということを意識したら道をロストすることもほぼ無かった。
ポンヤオロマップ岳の山頂に到着してもまだ16時過ぎだった。テント泊するにはまだちょっと時間が早い。1417m峰の先の沼のところにテントが張れそうなスペースがあったことを思い出し今日はそこまで行ってみることにした。到着してみるとテント場は広くて風も当たらず快適な場所だった。
夕食を食べ終わった頃からポツポツと雨の音がするようになった。明日のことを考えると憂鬱となる。やることも無いので夕食を食べたらすぐに寝た。
【2日目】
夜遅くにどんどん雨の音が強くなってきて朝4時頃に起きても雨は強いままだった。とりあえず2度寝して様子見とした。6時頃に起きて天気を確認したら翌日までずっと雨の予報だった。このまま進むのはどう考えても苦行になるだけ。このまま引き返して温泉にでも入るのがベストな選択肢だろうと思っていた。
でもしばらくすると雨が弱くなったような気がした。このまま引き返すのも面白くないし、それに折角取った休みが退屈に終わってしまう。とりあえず行けるところまで行ってから引き返すかどうかを考えてもいいのではと思い、出発することを決意。フル装備で出発。
ヤブは進むにつれ前日にも増して酷くなってくる。1518m峰を過ぎるとさらに酷くなってきて尋常じゃないヤブに悶絶した。それに濡れたヤブからのシャワーで全身びしょ濡れ。靴の中まで浸水してきて新調したゴア登山靴も全く意味がなく足が不快でたまらなかった。何処から水が入ってくるのか…。それでも引き返したいとは全く思わずひたすらヤブと格闘した。濡れて滑りやすくなった足元に気を付けながら滑落しないよう慎重に進んだ。
1573m峰を過ぎると樹林を抜ける。ヤブは低いハイマツに変わり進むスピードがさっきより少し上がる。天気が良ければ正面にペテガリが見えてくるのだろうけどガスで何も見えなかった。風が強く横殴りの雨に憂鬱な気分になった。びしょ濡れの体に風は堪える。寒い。
途中雪渓があったので風を防げるところでガスバーナーを用意して水を確保。しかし寒くてすぐに諦める。水筒に氷だけ詰めた。それでも500ccぐらいは確保出来たと思う。
ペテガリの山頂直下まで進んだところで背の高いハイマツとネマガリでなかなか進めずしばらく悶絶。どうにか突破口を見つけてしばらく登るとガスの先にペテガリの山頂が見えた。ようやく到着できた東尾根からのペテガリだけど、あまりの悪天候に喜びも感動も一切なく早くこの場から立ち去りたい気分しかなかった。風も強く寒いので写真を1枚写したら稜線をルベツネ山方向へ進んだ。
ペテガリからは強烈な西風となりさっきよりもさらに酷い風となる。立っているとよろけてしまう感じ。一気に体が冷えてきて寒くて寒くてたまらなかった。とりあえずこれ以上の行動は厳しそうなので急いでテント泊が可能な場所であるCカールへ向かう。
Cカールに向けて稜線を進んでいると眼下にちらっと一瞬だけAカールが見えた。そこには雪渓がたくさん残っているようだった。この感じだとCカールにも雪がたくさん残っているだろうと予想。雪渓だと真っすぐテントを張るのは難しいし、それに雪の上は寒い。そもそも稜線上にもたくさん雪渓が残っていてCカールに水を取りに行く必要もない。ということでCカールに行くのは中止とし稜線上の適当なところでテント泊することに決定。
稜線を黙々と進んでいるとハイマツの切れ目に窪みのような場所があった。テントもギリギリ一つ張れそう。風も防げてテント泊するには良さそうな場所だった。場所的にはCカールへの降り口である1535mコルの少し手前。時間はまだ早いけど寒くて凍えそうだったので、ここを今日の宿泊場所とした。
全ての物がびしょ濡れ状態でテントの中では不快指数マックス状態であった。予備の服を持ってこなかったことを後悔。17時を過ぎたころから一気に冷えてくる。寒いしやることも無いしでヘッドライトを点ける必要がないぐらいの時間に寝た。
【3日目】
前日からの暴風雨は朝になっても止まなかった。テントから顔を出して稜線方向を見ると強烈な雨と風。天気予報を確認しても今日1日はどう考えても回復する目途は無かった。停滞予定とする。やることもないため5度寝ぐらいはしたかな。水はフライシートに溜まった水を集めて何とか500ccぐらいを確保。
ここで今後の行程を検討。ここまで来てしまった以上戻るのも厳しい。雨は止む気配すらない。このままここに停滞していてもやることも無いし明日以降の予定のことを考えたら少しは前に進んでおきたい。前日も行動時間が短くてエネルギーはマックス状態だし、どうせ全ての物がびしょ濡れ状態だったら外を歩いても同じだろう。ということで暴風雨の稜線に飛び出すことに決定。急いでテントを片付けて出発した。
稜線は尋常じゃないぐらいの暴風雨だった。出発したことを後悔。それでも寒くは無いのでひたすら前だけ見てヤブの稜線を進んだ。どういうヤブだったか何処をどう歩いたかの記憶は全くなし。唯一記憶があるのはルベツネ山頂の風景だけである。出発前は「ルベツネ山頂でテント泊もいいかも!」とか思っていたけど、吹きっさらしでどう見ても今日の環境ではテント泊出来るような場所ではなかった。そのままスルーした。
ルベツネを越えて1688m峰に進んでいると急激に体が冷えてくる。寒くてガタガタ震えだした。どんなに一生懸命動いても寒い。これ以上進むのは危険と判断し、前日よりかなり狭いけどちょうど同じような窪みがあったのでそこに強引にテントを張った。結局は2時間半ぐらいしか行動できなかった。気が付くとザックカバーが飛ばされたようで無くなっていた。
テントの中で明日の天気を確認。明日も風は強いけどどうにか晴れそうな予報。それに気温も上がるとのこと。それはラッキー。ただ明後日の天気は微妙な感じなのでチャンスは明日の1日だけと思われる。それだったら札内川ヒュッテまで一気に下山してしまおうと計画。ヒュッテまで行けなくても沢まで下りるか夏尾根の途中のテン場まで行ければもう安全地帯である。
全身びしょ濡れで寒いし暇だしで、この日もヘッドライトを使用しないぐらいの時間に寝た。それにしても良く寝れる…。
【4日目】
夜遅くなって風向きが変わったのかテントがガタガタと揺れるようになってきた。ただ雨は降っていないようだった。朝まで風の音で何度も起こされた。3時半ぐらいに起床。外を見てみると風は強いけど青空が見えている。それに寒くない。
テントの外に出ると雲は多いけど素晴らしい稜線の風景が広がっていた。ようやく見れた風景に感動であった。
朝食はカロリーメイトだけで済まして出発。風が強いけど晴れて暖かいので快適な稜線歩きだった。風のおかげかヤブも全て乾いていてウェアが濡れることも無かった。途中雪渓で水を多めに確保しておく。水の心配もなくなって安心感が増した。
1469mコル辺りからのヤブはとても面倒だった。低木のブッシュとネマガリとハイマツが複雑に絡み合っていてしんどい登りが続いた。この辺りのヤブはリンゴ畑と揶揄されているらしい。それでも1600m峰まではあまり時間も掛からず到着できた。1600m峰からは90度向きを変えてヤオロマップ岳方向へ進んで行く。
1600m峰から1569m峰までの区間は尋常じゃないヤブでなかなか前に進めなかった。今回のコースの中で一番ヤブが酷かった区間だと思う。心を無にして目の前のヤブとひたすら格闘した。1569m峰が近づくと急に雲が湧いてくる。風もさらに強くなってきて、とうとうガスで何も見えなくなった。酷いヤブと濃くなってくるガスと強くなってくる風で泣きそうだった。1569m峰からはヤオロマップ岳に近づくにつれハイマツが低くなりさっきよりも幾分歩きやすくなる。
ヤオロマップ岳山頂に近づくにつれ斜度が急になってくる。岩場も増えてくる。ガスで濡れたヤブや岩が滑りやすくて緊張の登りが続いた。急斜面の尾根をガシガシ登っていると急にガスが晴れてきてヤオロマップ岳山頂らしきものが上の方に見えてくる。尾根右側下の十勝側斜面では水を汲みに行ったのか二人組のグループが見える。こんな日に人が居るとは思わなかったのでびっくり。そこから程なくするとヤオロマップ岳山頂に到着した。
日高側から湧いてくる雲が稜線でせき止められていてヤオロマップ岳山頂より北側は晴れ、南側はガスという不思議な光景だった。せき止められた雲と山頂から北側に広がる日高山脈の壮大な風景に圧倒された。しかし山頂は立っているのもしんどいぐらいの爆風で、ようやく激ヤブ地帯を抜けられた安堵の気持ちや風景に感動する心の余裕はあまりなかった。まだまだ先も長いし写真を数枚写したら急いでコイカク方向に進んだ。
ここからは道もはっきりしているしヤブもこれまでの行程に比べたら大したことも無いしでハイキング気分の稜線歩きだった。雲は多いけど壮大な風景を見ながらの快適な稜線歩きを楽しめた。風が強くて立ち止まっていると寒くて途中まったりすることが出来なかったのが残念だった。あまり休まずコイカク夏尾根の頭まで進んだ。
夏尾根の頭まで来たらあとは下るだけ。びっくりするぐらいの急斜面なので慎重に下った。下りても下りても眼下に広がる沢まで全然近づいて来なくて途中でうんざり気味となった。長いよ…。標高が下がると徐々に気温が上がってきて今度は蒸し暑さで辛くなってくる。
無事沢まで下りたらあとはコイカクシュサツナイ川沿いに戻るだけ。川は飛び石したり高巻きしたり、ときには強引に渡ったりしたら登山靴のままでも大丈夫だった。車道に合流後は少し歩いて札内川ヒュッテまで到着。
ヒュッテは昨日までのテント泊と違って超快適だった。誰も居ないヒュッテを独り占めした。何という贅沢。ただ沢で水を確保しておくのを忘れてしまいあまり水を飲めなかったのは失敗だった。汲みに行くのも面倒だったので残り少ない水でどうにかしのいだ。
【5日目】
昨夜はネズミなのかヒュッテの中は一晩中ガサゴソと騒々しかった。今日は登山ではなく、ただのウォーキングだ。スタート地点の林道ゲートまでひたすら車道を戻るだけ。もう水もないし暑くなる前までに出来るだけ進んでおきたかったので日の出ぐらいの時間に出発。
1時間半ぐらい歩いてピョウタンの滝に到着。キャンプ場で水だけ調達しようと思っていたらなんと自販機を発見。コーラを買ってがぶ飲みした。炭酸が体中に染み渡った。ここで朝飯を食べてペットボトルジュースを買い増し後、再度車道を歩きだす。山の上とは違い穏やかな雰囲気のまったりウォーキングだった。
半分ぐらい歩いたところから足の裏に激痛が走るようになってくる。濡れた靴でずっと歩いていたことで足の裏に水ぶくれが出来たことが原因。徐々に痛みが強くなってきて最後の方はあまりの激痛に一歩一歩悶絶しながらの歩きとなってしまった。
【まとめ】
最初の林道歩きと最後の川歩き以外はほぼヤブしかないこのルート。想像以上にタフだった。ただこのタフさは個人的には好きかもしれない。
カッパのズボンは裾がビリビリに破れたしウェアや手袋は松ヤニ?で真っ黒になったしで、新しいウェアは着ていかない方がいいかと思う。足や腕は傷だらけになるのでプロテクター?のような物があれば便利だったかもと思った。
このルートは夏場は通常ペテガリCカールとヤオロマップ山頂直下にしか水場がないため水の確保がすごく重要であると考えていた。今回は稜線上に雪がたくさん残っていて水の心配をする必要が無かったのは幸いだったと思う。水がないと精神的にしんどい。
ペテガリ東尾根登山口までの林道の渡渉と下山後にコイカクシュサツナイ川沿いの沢歩きがあるため沢靴等はあった方がいいと思う。僕は軽量化のため持っていかなかったので少し面倒な思いをしてしまった。
ダニは帰宅後確認したら2か所噛まれていた。まあダニは諦めるしかない。ダニ除けスプレーなどもあった方がいいかもしれない。
雨で時間が足りなくなって1839峰はパスしてしまったし稜線上ではほぼガスであまり風景も楽しめなかったということもあり、また同じようなルートで歩いてみたいと思っている。今度はもう少し日程に余裕を持ってゆっくりと縦走したい。
コメント
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こんにちは♪
凄い!の一言です
私はもう前期高齢者になりましたのでとても真似できません・・・
akadake5さん
こんにちは
天気はイマイチの予報でしたが、ずっと歩きたいと思っていたルートなので、ちょっと強行突破しました。結果的には良い思い出になりました。ただもう少し日程には余裕も持たせるべきだったと反省しています。
このルートはある程度年を取られた方も縦走されていますので普段から山歩きをされている方だったら問題なく歩けると思いますよ。
初めまして、tannay (タンナイ)と申します。
このトレッキングだけでも称賛に値するのですが、下山後に疲れ果てた体で、札内園地からすべて徒歩でポンヤオロの入口駐車場まで車を取りにいったということでしょうか? 信じ難い事で、だとすれば物凄いことです。
tannayさん
初めまして、こんにちは
下山後に札内川ヒュッテから東尾根の登山口まで車道を歩いて車を取りに行きました。正確には車道歩きも含めて今回の計画なので、僕の中では「下山後」ではなく「登山中」という言い方が正しいかもです。
単独でワンウェイルートを歩くきは車の回収をどうするかが悩ましいですが、車道歩きは嫌いではないので、僕は可能な限り歩いて車まで戻るようにしています。
いやはや! その超人的体力に脱帽です。昨年の滑落に加え、まさにドラマです!(それ以上かも)。僕はルベツネとCカールでテン泊しカムイビランジを見に行くことが夢なのですが、もう体力的に無理です。 ご返信ありがとうございました。また記録、楽しみにしております。
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