室堂〜剱沢〜真砂沢テント場〜内蔵助平〜黒部ダム それでもスキー #79, #80
- GPS
- 28:43
- 距離
- 20.5km
- 登り
- 1,910m
- 下り
- 2,893m
コースタイム
- 山行
- 5:00
- 休憩
- 0:18
- 合計
- 5:18
天候 | 晴れ少し雲多め |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
剱沢〜内蔵助平までの区間は危険度、難易度とも高めです。 |
予約できる山小屋 |
剱澤小屋
|
写真
感想
今月は立山界隈でテント泊で山スキー、という山行を重ねてきましたが、いよいよテント場の選択肢が少なくなってきて今回は真砂沢ロッジのテント場にしました。当初は帰りはそのままピストンを考えていましたが、せっかくなので歩いたことのない内蔵助平を経由して黒部ダムに出て、そこから乗り物で室堂に戻ろうという計画にしました。
しかし情報としては内蔵助谷沿いのルートは難易度が高く、テント泊装備を持っているというだけでもリスクが高まるのに、山スキー道具まで持って行くとは変態を通り越して異常行動ではないか?と自問自答しながらも、フィックスロープ20mまで携えて臨むことにしました。
このところ湿った空気の影響で午後から雨という天候が続いてましたが、この週末は移動性高気圧による爽やかな晴天。初日は真砂沢ロッジに行くだけなので、雷鳥沢からは新室堂乗越から遠回りしてみます。このルート雷鳥坂に比べて距離が長いので登りが得意な人は雷鳥坂より時間がかかりますが、その静かさと景色には特筆すべきものがあります。写真撮ったりゆったり景色を眺めるのもいいものです。
別山乗越を過ぎて剱沢キャンプ場に来ます。ここでおなじみ?山岳警備隊の情報を得て、内蔵助平には通行可能ということで一安心。そのまま剱沢に下ります。
雪渓に下りればもちろんスキー装備に切り替えます。重いテント泊装備を背負っての硬い凹凸の雪渓滑走は拷問のよう。重いのでジャンプターンもあまり飛べません。転倒はしたくないので息を整えながら滑り、長次郎出合に来れば山岳警備隊のホワイトボードの指示に従って夏道に入ります。
夏道を歩いていると折れたスキー板が。これは剱沢を滑っていて板が外れて流されたのでしょうか。雪の重みで折れた板は痛々しさを感じます。可能であれば持ち主の方は回収し、部屋に飾っておくと安全のための戒めになると思います。
ほどなくして真砂沢ロッジに到着です。テント泊は一人一泊700円。こじんまりした小屋とテント場で、水場もトイレも売店も至近距離でとても便利です。特筆すべきはトイレで、常に水流があるのでニオイがなく快適です。
テントを張ってまだ早い時間なので、少し登山道を下って三ノ沢あたりでまったりします。この時に翌朝のハシゴ谷方面への橋の設置場所を偵察しておけばよかったと後になって思いましたが後の祭りでした。
テント場はほとんどの方がクライマーで、夕刻にヘトヘトで下山されて横になる山岳部のメンバー、もう7時前のかなり暗くなった頃に下山されるも元気な方々と様々です。そんなクライマーに混じってスキー持った変なおじさんが紛れ込んでいます。
翌朝は3:30起床で朝食を摂り、テントを撤収してハシゴ谷乗越に向かいます。三ノ沢は少しですがノルマでスキーを滑ります。しかし表面に土や草があり、岩のように硬い凹凸の雪渓はまるで岩の上を滑っているかのようにまるで滑りません。もう板はボロボロだと思いますから見ないようにします(笑)
そしてスキー滑走を終え、少し下って橋の設置場所を見るも橋が設置されていない・・・その周辺を探して見ますが橋がありそうにないし、渡渉も困難。どうしようかまた小屋に戻りつつ今日は剱沢をピストンで戻るしかないかなと思っていると三ノ沢の雪渓でペンキマークとロープが。雪渓の横断はやや不安もありましたがこのガチガチに硬い雪渓で一番肉厚がありそうなところを歩いて渡ります。急なザレ斜面を登って藪の繁った道を登ると、トラロープで仕切られたところに合流しました。後で調べるとウロウロしていたところからさらに100mくらい下流に橋があるらしいです。
ハシゴ谷乗越への登りはそれなりに急でハシゴもいくつかあるハードなものです。道も剱沢までのものとは異なりかなり原始的なもので、一般登山者が来ることは想定していないことが分かります。ハシゴ谷乗越で遅れを30分ほど取り戻し、それでも休憩はしっかり取って、内蔵助平に下降します。最初は歩きやすい登山道で途中から涸れた沢の上を歩くようになります。岩がゴロゴロしているので決して歩きやすい方ではないでしょう。平坦になってからが長いですが内蔵助谷に合流したところで湧き水で水を補充して休憩します。
内蔵助谷から内蔵助谷出合までは細く、整備されているとは言い難い、難しいルートになります。軽装備であればまだいいのですがテント泊と山スキー装備の重荷には辛いところです。こんなところで転落や滑落をすれば助けを呼ぶこともできずに命の灯火が消えるのを待つだけになってしまいます。とにかく安全第一に丁寧に下ります。
内蔵助谷出合に来れば黒部川と合流します。最初は優しい沢だった内蔵助谷の水流もここにくれば豪快なものに変化しています。
黒部川沿いのルートは下ノ廊下を彷彿させる感じのルートで、険しい黒部川の峡谷美を感じられます。ここはよく整備されており、それまでの内蔵助谷のルートとは一線を画すものでした。
ほどなくして壮大な黒部ダムが望めるようになり、観光放流をしていればその水しぶきを感じることができます。黒部川を渡る橋はとても安心できるものです。
そして最後の登り返し。これは最初はなかなか急で苦労しますがほどなくして普通の斜度になり、もくもくと九十九折の登りを歩き、立山黒部アルペンルートの施設内に入ることができます。あとは乗り物を3本乗り継いで、本当にあっという間に室堂まで戻ることができました。
立山はこれまでメジャーなルートしか歩いたことがありませんでしたが、裏部分にあるようなルートを歩くと原始の自然と対峙することができます。それはとても魅力あるものですが、時に猛獣が襲いかかるように自然が牙を剥くことがあります。そんな時にその向こう側では多くの観光客の喧騒があるなか、自分は大怪我をして誰も立ち寄りそうにない急峻な斜面に引っかかり、誰にも気づかれないまま生き絶えて大自然に飲み込まれるという可能性も十分にあるところでもあります。
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