手稲山からヘルベチア・ヒュッテへ〜二日目は屋根の雪下ろし(お手伝い)〜
- GPS
- 10:53
- 距離
- 13.6km
- 登り
- 571m
- 下り
- 955m
コースタイム
- 山行
- 6:42
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 7:32
- 山行
- 2:07
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 2:07
【2月12日】ヘルベチア・ヒュッテ13:13-14:34引き返し地点-15:27札幌国際スキー場
天候 | 曇り時々晴れ一時雪 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
写真
感想
1,2月は寒い。今年はさらに寒い。私の手元にあるテントはツェルトに毛が生えた程度のものなので、この時期に一泊山行するなら、やはり小屋泊まりにしたい。
しばらく行っていないヘルベチア・ヒュッテに行ってみるか、と思い立って北大に電話し、北大まで行って金を払い、鍵を借りてきた。
ヒュッテの前までは2年ほど前に行ったし、5,6年前のGWには中まで入ったが、泊まるのは十数年ぶりだ。
そして2月11日、地下鉄宮の沢駅からバスでテイネハイランド・スキー場を目指す。シュラフや食料、酒なども背負っているので、荷は12,3kg。滑りに影響するほどではない。
ヘルベチアまでどうやって行くか?いろんなルートを考えたが、札幌国際スキー場やキロロ・スキー場までバスで行くのはあまり気乗りしないし、銭函峠越えは面白みがなさ過ぎ。そこで手稲山をスタート地点とし、西峰の尾根から行くことにする。30年以上前に何回か、奥手稲山から手稲までたどったことはあるが、逆コースは初めて。それに同じコースじゃつまらないし、滑りがあまり楽しめそうもないので、P961から奥手稲山へは向かわずに、発寒川の源流を横断して、奥手稲山の家の南のコルのあたりから、つげ山を経由してヘルベチアへ向かうことにする。そうすれば、つげ山からの滑降も楽しめそうだ。
この週末、冬型で荒れ模様の天気予報だが、最近ありがちなように、中央区や西区は晴れている。テイネハイランド・スキー場も例外ではなかった。パチンコ尾根を登ってもいいかとも思っていたが、この先どれだけ時間がかかるかわからないので、“ズル”してリフトで上まで行く。千円以上取られる。
まず手稲山の山頂=三角点へ行くことにして、リフトの山頂駅付近でシールを付けようとして愕然。後ろの金具がない!もう一台のスキー板用のシールの金具が取れてしまったので、そこに付け替えて、そのまま忘れていたのだ。今さら取りに戻るわけにもいかないので、だましだまし行くしかない。ガムテープも補充していなかったので残り少なく、とりあえずは貼り流しでいく。実は、この時にスキーバンドで留めていればよかったのだが、なぜだが全く思いつかなかった。
山頂からはうっすら西峰は見えるが、さらに西や、発寒川、小樽内川の方はすっかり雲の中。シールを外して、今は動いていないロープウェイ駅へ。ここから北西へ下る。コース外を滑るスキーヤーによるトレースがしっかりとついている。多くのスキーヤーはすぐに北へ下っているが、北壁を巻くように左へトラバースしていくと、山頂の岩壁の基部のところで西稜上に出る。風が強い。発寒川側へちょっと滑ってみようかと思ったが、クラストしていて楽しくなさそうなのでやめておく。
コルまで降ってからトレースは西峰の北側を巻いている。そのまま西峰に続く尾根には大きく傾斜した雪庇が連続してできている。西峰の頂上にもできれば上がってみようと思っていたので、北側を巻いて頂上の真北あたりからシールをつけて、北面の急斜面をジグザグに登る。急な上に重い雪がそこそこ積もっていて、なかなかスピードが上がらない。頂上に直登するのは難しそうなので、左(東)の稜線に上がる。雪庇の上に出られるかと思ったが、まだ下だった。雪庇の際を少し登ったのち、ブッシュもうるさく、傾斜も急になってきたのでスキーを脱いでみるが、腰まで潜るので、ここで断念。だいぶ時間を無駄にしてしまったが、仕方がない。
西峰の北西の稜線上に出ると、ここから先は30年ぶりのコース。トレースはコース外滑降者のものだけかと思っていたが、まだまだ先へと続いている。奥手稲へのツアーをしている人も結構いるようだ。振り返ると、手稲山の本峰と西峰が大きく見える。この眺めも30年ぶり。P961への急登では、トレースが絶妙のジグザグを描いており、有り難く使わせていただいた。
P961の頂上付近はほぼ平ら。北東に落ち込んでいるのは滝の沢の源頭。ここで昼飯を食い、奥手稲山へ向かっているらしいトレースと別れて西へ、発寒川の源流域へ降る。一応シールを外しているが、傾斜が緩すぎてほとんど滑らない。右手前方には奥手稲山が見え、左前方にはP965のなだらかで大きな山体。左にゆるやかにカーブしながら、標高850m付近で発寒川を越えて対岸へ。発寒川の下流(南)へ向かいつつ、右のP965の斜面をシールを付けて斜上していく。
P965南西のコルからは、右へ降れば、ほどなく奥手稲山の家にたどり着くはず。降ってしまいたい衝動をこらえ、すぐ近くのP984の南コルへ。昨春は、P994から911を通って尾根筋を降ったが、今日はコルから沢を下り、尾根の北側を巻くことにする。それなりに傾斜があるのだが、スキーが全然滑らない。騙された気分。このあたりは意外と針葉樹林が残っている。
最低鞍部付近から尾根に上がり、つげ山への最後の登りにかかるが、ここで、またまたシールが剥がれ、ガムテープも枯渇したので、時間がないことも勘案して、ここから降ることにする。もう4時だから仕方がない。またまた時間かかりすぎだよな。
北西へ下っている谷に滑り込む。広めの谷だが、割と深く、急に落ち込んでいるところもある。最初は、途中(730m付近の平らなところ)から尾根を乗越して一本左(西)の谷を滑ろうかと思っていたが、面倒くさそうなので、そのまま降る。
雪は重めで、あまり快適な滑りとは言えない。既にかなり暗くなってきていて、斜面の状態もよく見えない。
何とか下まで降り、夕日の沢をスノーブリッジで渡ると、そこには赤布が翻っており、しっかりとしたトレースがあった。右へ行けば奥手稲山の家。そして左は小樽内川沿いの道道小樽定山渓線の方向。もちろん左へ行く。下りだが、スキーが滑るほどではない。しかし、ラッセルがないのは有り難い。途中でいつの間にか銭函峠からの道と合し、送電線の下を進んで、入山届を書く“春香山小屋”のところで道道小樽定山渓線に出た。既に暗い。
ここから、札幌国際スキー場の方へ1km足らず行ったところから左に入り、やっとのことでヘルベチア・ヒュッテにたどり着いた。
小屋には誰もいないと思っていたが、外にスキーが1台。薪ストーブに赤々と火が入っていたのは有り難かった。中にいたのは、北大山岳部のただ一人の1年生女子部員。屋根の雪下ろしに来たのだという。
雪を融かして水をつくり、豚肉とタマネギとキャベツとシメジを炒めてから蒸し、アルファ米にかけて食う。
夕食の後はドリンキング・タイム。持参の焼酎とツマミの塩漬けニシンを若干提供して、飲みながら小屋管女史と少々語らう。
山は大学に入って始めたのだそうだが、先輩もよくしてくれるし、全てが楽しいようだ。とても前向きで、しっかりしていて、自分の考えをはっきり話せ、それでいて謙虚で大変よろしい。勧めた酒を断らないところもいい。山岳部の教育がいいのか、それとも本人の元々の資質によるものなのかはわからないが、この年頃は、いろんなものをすぐに吸収して自分のものにできることは確かだろう。
それに引き替え、今の俺は全然成長がない。歳だから仕方がないかもしれないが、大学1年の時だって、山岳部を辞めることしか考えていなかったし、全然こんなにしっかりしてはいなかったな...などと、とりとめもなく思ってしまう。
床の上に何かあると思ったら、蛇の抜け殻だった。利用者が少ないせいか、最近は内部が荒れているという。小屋管が入ったら中にキツネがいたこともあったとか。
宿泊者名簿は、以前は5,6年に1冊だった気がするが、今のは既に17年目に突入しているのに、まだ1/3ほどのページしか消費していない。この調子では全ページ埋まるのに50年もかかってしまう計算。生きているうちには新しい名簿を目にすることができないかも。もっとみんなに泊まってもらうようにしないとな。
翌朝はゆっくり起床。当初は、長白稜を登って白井岳へ行こうか、余市岳からキロロに降ろうか、グレポンの方へ行ってみようか、などといろいろ考えていたのだが、シールの一件でモチベーション低下。
そこで、雪下ろしを手伝うことにする。屋根の上には1.5m近くも雪が積もっており、独りでは大変だろうと思ったからだ。ここの雪下ろしは十数年前に泊まった時にやったことがある。しかし、後から考えれば、この助けは必要なかったかもしれない。本人が正しく「独りで大丈夫」と言っていた通りに。助けが必要なのはむしろ私の方だった。
雪下ろしは、まず台所側の軒下に埋まっていたハシゴの掘り起こしから始まり、これでひと汗かく。そして、屋根の上に上がって、雪下ろし開始。南北に分かれて1m30cmほどの雪を落としていく。
こちらはすぐに息が上がって、写真を撮ったりしながら、休み休みやっていくが、小屋管女史は休むことなく黙々と、次から次へと雪を落としている。元気だなあ。
雪下ろしを終えた時には昼になっていた。それから彼女は、床下から薪を運び上げ、その後はトイレの屋根の雪下ろし。頑張るねえ。
私は雪下ろしからはリタイアし、ちょっと山に向かうことにする。もう2時で、ここに戻ってきたら、札幌国際スキー場4時発のバスに間に合わないので、荷物を全部背負っていく。
長白稜の末端のP934を目指して登るが、たぶんそこまでは行けないので、時間切れになった時点で、そこからスキー場方向へ降ろうという考え。
小屋のすぐ裏のスノーブリッジで小樽内川を渡り、対岸の河岸段丘?の急斜面を登ると、傾斜は一旦緩くなる。天気は好くない。寒く、上の方は相当風が強そうだ。雪は重めで、それほどのラッセルではないが、スピードは上がらない。
登っていくルートには、ピンクのテープがやたら沢山現れるので、それを追っていくことにする。長白稜ルートに付けられているのだろうか? 一ヵ所、木に標識のようなものが貼られたところがあり、「白井岳」という手書きの文字が何とか判読できた。
あと少し、あそこまで、と粘ってきたが、ついに標高700m近くまで来たところで、ここまでとする。少し上は開けているようだが、風も強い。早速、スキーバンドで留めたシールを外し、真北へ向かって広い沢筋を下る。まだまだ傾斜が緩いので、あまり滑らないかと思ったが、それなりに滑れた。若干開けたところもあり、わずか数mながら、今回の山行で一番の滑り=数ターンも楽しめた。
しかし、あっという間に下まで降り、シールを貼り直して道路沿いにスキー場を目指す。橋のたもとのスノーブリッジで朝里岳沢を渡り、ちょっと行くと駐車場に出る。雪下ろしを終えた小屋管女史とそのあたりで再会。餞別?に缶コーヒーをいただき、遅いバスに乗るという彼女と別れて、吹雪のスキー場を後にした。
コメント
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時期が早すぎてヤブに負けて撤退したことがあります。
状況を判断しながらの貫徹に拍手。
白井岳は、真北ないし北北東から攻めると、登りやすく、帰りの滑走も楽しめますね。
手稲山ルートいいですね。手稲山僕はまだ未踏です。
雪下ろしお手伝いどうもありがとうございました。フミちゃんは特別大物の新人ですから、自分の若い頃と比べてしんみりする必要はないと思います。
事前手続き面倒かもしれませんが、またお泊りください。
tanigawaさん、yoneyamaさん
手稲山あたりや発寒川流域は雪が少なく、小樽内川流域とは明らかに積雪量が違うように感じられました。迷沢山の送電線コースも最近は雪が少ないように思いますし、この傾向は強まっているのかも。
このルートの魅力は、日頃見慣れない手稲山(と西峰)の西面が大きく見えるところだと思います。その意味では、進行方向にその姿が見え、近づくにつれて大きくなっていく逆コースの方がいいですね。
白井岳の北面は行ったことがあるので、
今回は長白稜を目指したのですが...。
しかし、あのルートに、あんなに赤テープがあるとは意外でした。
いや、彼女はホントに大物ですね。私が自分なんぞと比べるのもおこがましい。感心しました。
今度は独りではなく人を連れて泊まりたいですが、
そのためにもコースや山行形態を考えたいと思います。
先日の雪かきはありがとうございました!
一人だったら屋根片面のみであきらめていたと思います。絶対。
上の方のコメントで特別新人とか言われてますが、
岩はまったく登れないし、スキーは散々こけるしで、実際は部内ドベです。
単独山行にバンバン行けるくらいになりたいです。
近々、この山域に入るつもりなのでその時の参考にさせていただきます!
またべチアに来てくださいね。
いやいや、あなたなら独りで大丈夫だったでしょう。
岩やスキーはすぐに絶対に上達しますよ、
あるところまでは。
それ以上は、上手ければそれにこしたことはないけど、
絶対必要というものではないでしょう。
冬のこの山域なら、百松沢山がお薦めですよ
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