八ヶ岳縦走〜キレットへ辿り着けず撤退、苦闘のラッセルと緊張のトラバ-スの連続〜


- GPS
- 53:10
- 距離
- 14.9km
- 登り
- 1,821m
- 下り
- 1,803m
コースタイム
天女山入口ゲ-ト9:40 - 10:20天ノ河原10:25 - 前三ッ頭12:38 - 三ッ頭13:17 - 13:26鞍部13:50 - キレット周辺樹林帯幕営地点16:40
3月5日
幕営地点8:25 - 樹林帯抜ける10:48 - ツルネ11:31 - 旭岳幕営地点14:30
3月6日
幕営地点7:30 - 権現岳分岐9:05 - 13:45天の河原14:20 - 天女山入口ゲート14:50 - 甲斐大泉駅15:30
天候 | 3月4日 くもりのちガスる、夕方から翌朝まで降雪 3月5日 みぞれと強風 3月6日 みぞれと強風、のち晴れる |
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過去天気図(気象庁) | 2012年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
新宿7:00 - ス-パ-あずさ1号 - 小淵沢8:54 小淵沢 - 小淵沢タクシ- - 天女山入口ゲ-ト ※所要時間約20分 4490円 3月6日 甲斐大泉15:41 - 小海線 - 小淵沢 小淵沢16:35 - あずさ26号 - 18:01八王子 - 横浜線 - 町田 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【はじめに】 3月4日夕刻から5日の未明にかけて降雪がありました。 トレ-スはほぼ消えました。 5日から6日にかけては気温が高めでみぞれになりました。 キレット手前の樹林帯まで私のトレ-スがついていますが いつまで残っているかわかりません。 状況が刻々と変わりますことご承知ください。 ★天女山入口ゲ-ト〜権現岳 標高2000m未満までにあった凍結箇所は6日の高温の影響で ほぼ解けました。天女山付近はドロドロの状態でした。 4日から5日にかけての降雪で積雪量が増えました。 権現岳山頂直下のトラバ-スは降雪にもかかわらずしっかりと トレ-スが残っていました。 三ッ頭から権現岳まで東寄りにル-トがついてますが雪屁が あるので注意が必要。 悪天時は権現岳〜前三ッ頭まで強風に晒されます。 ★権現岳〜キレット周辺樹林帯 ゲンジハシゴは下部の取付き付近が雪で若干隠れています。 問題のトラバ-スは取付きから距離にして10mちょっとくらい。 4日はトレ-スがあって苦もなく通過しました。 しかし、6日は降雪の影響で見事な雪壁となっていました。 緊張がピ-クに達するところです。 ここで滑落しても雪が柔らかいので止まるとは思いますが 這い上がってくるのが大変です。 パ-ティ-の場合、ロ-プを出すべきです。 4日はツルネまでトレ-スありました。 5日〜6日は降雪直後とあってほぼラッセル状態でした。わかん必須です。 このル-トは悪天かつトレ-スがないと非常に厳しい。 ラッセル覚悟のうえでなるべく好天時に入りたい。 |
写真
感想
3月4日〜6日と運よく3連休。
お天気が悪いのを承知のうえで再び縦走に挑戦です。
最も積雪が多いといわれる3月上旬の八ツ。
なかでも赤岳以南は入山者が少なくトレ-スをほとんど当てに出来ません。
そういう状況では自分の登山の総合力が試されます。
今度の山行はそういう意味も含めて緊張を強いられたものになりました。
いろいろ反省点がありましたがいい経験もできました。
教訓として次に繋げていきたい。
3月4日
スタ-トはいつもの天女山から。
ゲ-ト脇の駐車スペ-スは既に埋まっている。
さすがに日曜日だね。みんな権現までかな。
縦走する人はいない・・・だろうな。
そんなことを考えつつ歩き始めた。
今日は出来ればキレットまで行きたい。
権現岳山頂直下のトラバ-スを無難に通過して権現岳分岐へ。
この先、トレ-スがないと思いきやバッチリついていた。
ラッキ-だね。有り難くトレ-スのあとをおわせていただきました。
ゲンジハシゴの先のトラバ-スを終えるとすぐに旭岳。
ピ-クを巻くとやがて下りに入ります。
ツルネまで来てトレ-スが途絶えました。
どうやらここで引き返したようですね。
この先は自分でトレ-スをつけていきます。
ひとつピ-クを越えると樹林帯に入ります。
あとはキレットまで下降するだけ・・・のはずでした。
結論からいうと、方向を誤って下降してしまいました。
膝から場所によっては腰くらいまで沈みこむ状況と不明瞭なル-トによって
時間を費やしてしまった。時間は16時をまわっていた。
いまさら登り返す気力はなかった。
「仕方ない、ここでテント張るか」
シャベルで急斜面を強引に整地して何とか設営しました。
この夕刻から雪が降り出したが風はほとんど無かった。
いまにして思うとキレットよりやや東寄りに下降してしまったような気がする。
結局キレットには辿り着けなかった。近くまで来てはいたのだが・・・。
「明日はどうするかな・・・・・」
時々、外張りに降り積もる雪を払いのけ一夜が過ぎていった。
3月5日
テントから顔を出すと昨日つけたトレ-スが完全に消えていた。
「これはマズイな、ラッセル地獄だよ」
どうやら雪は一晩中降ったようです。積雪がさらに増えた。
この期に及んではキレットを越えルンゼを登って赤岳へ・・・さらにその先へ
縦走する・・・もうあり得ない。残念だけどお正月の二の舞だけど撤退する
しかない。
「あ〜また撤退だよ」
全くこの冬は撤退ばかりで進歩がない。まあ無理はしたくないので仕方ないね。
気を取り直してラッセルに集中。ズボズボ埋もりながらも2時間半ほどで樹林帯の
上部へ出ました。実は今回失敗を犯しました。わかんを持ってこなかったのです。
なぜ持ってこなかったのか?正直いって自分でも理由がよくわからない。
変な答えですがそれが事実なんです。持っていくのが億劫になったのかな。
でもそのツケがまわってきたのです。あまりにも痛すぎるミスでした。
お天気はみぞれ混じりの雪で視界はよくありません。
樹林帯を出てからもトレ-スは完全に消えています。
ツルネまでは順調でした。しかしそこからが大変でした。
吹きだまりでは容赦なく太腿くらいまで沈み込みます。時には這いつくばって
進みました。(この方が沈み込みが少なかった、やっぱりわかん必要だよ)
ラッセルしまくり状態です。(笑)
14時をまわっても旭岳を登っています。この先、権現まで幕営可能なところは
ない。少し早い時間でしたが適当な岩陰を見付けてテントを張りました。
この時強烈な風でフレ-ムのジョイント部分が破損してしまいました。
1本のフレ-ムだけの半自立状態で何とか設営です。
テント内は強風のおかげでビショビショ。あらゆるものが濡れて、遂には水が溜まってしまった。
結局一晩中強風に悩まされた。当然、一睡もしてない。
こんな経験もうゴメンだね。
3月6日
この日も相変わらずの悪天。強風とみぞれ。しかも視界が昨日より悪い。
今日は何としても下山しなくてはいけない。
「ル-トわかるかな、トレ-ス残ってないよな」
「ゲンジハシゴのあのトラバ-スは大丈夫かな」
不安を胸に押しこんで出発です。
幸いなことに旭岳のピ-クを巻くところはわずかながらトレ-スが残ってました。
助かりました。ひとつ不安が消えました。そうすると残るはあのトラバ-ス。
旭岳を過ぎて少し登り返すとゲンジハシゴが見えてきます。
あそこに辿り着ければ権現はもうすぐそこ。あとは下るだけ。家へ帰れる!
でも行く手に雪壁が出現・・・・・。距離にして10m〜15mくらいでしょうか。
当然、トレ-スなどあろうはずがありません。
「うわぁ、予想どおりだよ、厳しいな」
緊張度が一気に上がり最高点に達しました。
ここを通過しない限り家には帰れない。
こんなところで滑落するわけにはいかない。
全ての神経を一歩一歩に集中させます。
雪が柔らかくしかも深い。
「よし、これなら大丈夫」
時間はどれほどたったでしょうか。ハシゴの取付きに手をかけた時は心の底から
ホットしました。
※この日は出発からほとんど写真を撮ってません。というか撮る余裕がなかった。
私にしては珍しいのですがとにかく歩くことに専念したかったのです。
本当はトラバ-スの箇所など緊迫したところを撮りたかったのですが。
仕方ないですね。
【今度の山行を振り返って】
反省点多し。
1.ル-トを誤ってキレットの東側に下降してしまった
(後日、雪山ル-ト集に掲載の写真を見て確認した)
→果たしてコンパスがあればキレットに辿りつけただろうか
2.わかんを持ってこなかったこと
→言い訳出来ない、最大の失敗
3.テントのフレ-ムのジョイント部分が破損
→強風下での設営の困難さ
4.みぞれでビショビショ状態に
→冬山にレインウェアを持参する発想が私にはないので対応が難しい
いい経験になったこと
1.アイゼンでラッセルすることの難しさ、大変さを実感
2.予期せぬ場所での幕営
→旭岳のあのような強風下では二度とテン泊はしたくない
3.緊張のトラバ-ス通過
4.半自立状態かつ強風下でのテント泊(もう経験したくない!)
ほぼトレ-スが期待できる赤岳以北よりも一層の難しさを体感した山行でした。
この貴重な経験を糧にして次の挑戦に挑みたい。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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siriusさん、こんばんは。
毎回、読み応えのあるレコをありがとうございます。
最後まで、まばたきも忘れて読みました
八ヶ岳は3月が一番雪が多いですから、ラッセルはしょうがないですね。
そしてこの時期厄介なのが湿った雪(みぞれ)や時には雨が降ることではないでしょうか?
松濤明が北鎌で遭難したのも、季節外れの雨に降られたことが原因のひとつと聞いたことがあります。
びしょびしょのテントで一泊なんて、想像しただけで寒いですよ
いい経験をつまれたと思うので、又リベンジをしてください
nagagutuさん、こんばんは。
お久しぶりです。
コメントありがとうございます。
最近は撤退が多くてクセになりそうです。
でも結果的にいい経験が出来ているので無駄ではないと思っています。
松濤の件、さすがです。お詳しい。彼をしても予想外の雨は対応が難しかったのでしょうね。
ところで14日に西穂へ行ってきました。
実は滑落してしまいまして・・・。
手首の剥離骨折とその他打撲だけですみました。
詳細は記録で書きますがとにかく無事に生還できてホッとしてます。
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