池山尾根〜空木岳〜千畳敷☆中央アルプス主脈縦走


- GPS
- 12:38
- 距離
- 19.0km
- 登り
- 2,813m
- 下り
- 1,189m
コースタイム
- 山行
- 1:33
- 休憩
- 0:09
- 合計
- 1:42
- 山行
- 9:31
- 休憩
- 1:12
- 合計
- 10:43
天候 | 1日目;曇りのち晴れ 2日目:晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
写真
感想
【1日目】この日は朝から高速バスを飯島で下車し、越百山を目指して中小川登山道を辿ったのだが、途中で道が完全に失われており、ルートファインディングに1時間近く藪漕ぎした挙句、止む無く撤退を決意する。
翌日は快晴の天気予報である。山中からなんとか飯島のタクシー会社に電話が繋がり登山口15時過ぎに迎えに来てくれることになった。まだリカバリーの可能性は十分に残されている。ロープウェイで千畳敷にまで上がって、稜線の山小屋に泊まること考えたが、避難小屋に泊まるつもりでわざわざ軽くはないリュックを担いでいるのである。空木岳に至る池山尾根には前々から泊まってみたいと思っていた瀟洒な造りの避難小屋があることを思い出した。池山尾根の行程の1/3程のところにあるので、通常の登山の山行計画では泊まりにくいのだが、今から登るとなると2時間ほどで到着するであろうから程よい行程に思われる。稜線上でのご来光と避難小屋泊を両天秤にかけたが、このような機会でもないと池山小屋には泊まることはないだろうと考え、後者を選択することにした。
池山林道が9/9より通行止めという情報を得ていたが、少しでも避難小屋に到着する時間が早い方が良いだろうと考え、林道を行けるところまで進むことにする。しかし、林道はかなり手前でゲートに閉じられている。タクシーを下車して林道を歩き始めると左手の斜面に植林地の間に伐採された斜面が現れる。この斜面を登ることにする。斜面の上では杉の林間に多くの釣船草の群落が現れる。
すぐに駒ヶ根のスキー場からの登山道と合流して自然林の中を登るようになる。道の掘割が深いことからすると古くから人が往来した道なのだろう。
いつしか空は晴れ渡り、林の中には徐々に夕方の清々しい空気が染み渡ってゆく。しかし、透明さと冷涼さを増してゆく空気の中で、大量の汗が滴り落ち始める。
池山への分岐があるが、道標に急峻と書いてあるのを見て、南側斜面をトラバースする一般登山道を選ぶ。登山道は落葉松の美林を抜けて、疲労を感じ始めた頃、道の上から人が呟くような声がする・・・かと思ったら蛇口から不規則に吹き出る水が立てる音であった。水場からは林の奥に目指す山小屋のシルエットが目に入る。
小山は期待通りの瀟洒な作りであり、小屋の裏手には広々としたバルコニーが設えてある。意外なことに先客がいらした。未明に茨城を出発されて、遠路をはるばる運転して来られたらしい。広々とした避難小屋には同宿の方がおられる方がなんとなく安心する。
小屋の前にも水が引かれており、氷のように冷たい清水が蛇口から噴き出している。水場の水槽で運び上げてきた二本のビールを浸すと瞬く間に冷えてゆく。この日は胡瓜と竹輪、うずら卵の燻製をマヨネーズで和えたもの、それからイエローカレーというメニューだ。愚かなことにこの日は食器を忘れてきてしまったのだが、アルファ米のパックに温めたカレーを注ぎ込むと十分に食器の役を果たしてくれた。
日が暮れてまもなく東の空では満月が煌々と輝き、ガラス戸から小屋の中に光を差し込むのだった。
【2日目】目が覚めたのはアラームをセットした3時の直前であった。朝は行動食とスープで簡単に済ませる。昨晩のアルファ米のパックがスープのカップの代わりとなる。小屋の外に出るとヘッデンを灯した登山者がおられる、お早うございますと挨拶されたのには流石に驚いた。果たして何時頃から登ってこられたのだろう。
大地獄が近づいたあたりから徐々に足元が明るくなってゆく。大地獄の痩せ尾根を通過したところで目の前に現れる峻険なピークは2282mらしい。登山道がトラバースするようになると、間も無く樹林の切れ目に展望地があり、暁の空を背景に広大な雲海とその彼方に南アルプス北部の山々のシルエットが浮かび上がる。
駒石と空木岳避難小屋への分岐がある。ここは迷うことなく好展望の尾根道を選択する。すぐに樹林帯を抜けてハイマツの尾根となり、背後には南アルプスから八ヶ岳、美ヶ原、そして浅間山といった信濃東部の山々の眺望が広がる。
空木岳の駒の峰ヒュッテが近づくと、小屋から下ってlこられたご夫婦と思しきカップルとすれ違う。小屋の管理人が丁度下った直後であったらしく、期待していたビールにありつけなかったとのこと。
空木岳の山頂にたどり着いた時には私一人のみであった。しばし山頂を独占する。まもなく木曽殿越の方から賑やかな声が聞こえたかと思うとまず4人組、ついで3人、そして他にも単独行の人など続々と登山客が登場し、山頂の空気は一気に賑やかになった。山頂での記念写真を撮ったお礼として冷えた梨を一切れいただくが、山頂での梨の美味は格別であった。
賑わう山頂を後にすると木曽殿越に急下降してゆく。鞍部にたどり着くといつしか朝の清々しさは消え、陽射しの強さが感じられる。義仲の力水と呼ばれる水場まで9分と記されている。長い縦走路を行くのにここが最後の水場であり、水を補給する必要がある。
水場までのウメバチソウ、シナノキンバイ、ヤマハハコなど高山植物が彩る道を行く。尾根を回り込んで谷を横切るところで清水が勢いよく湧き出している清水にたどり着く。
木曽殿越に戻ると真後ろから照りつける陽射しを浴びながら東川岳への急登を登る。しかし後ろを振り返ると空木岳への稜線はまるで崖のように思われる。
東川岳の山頂に至ると宝剣岳、木曽駒へと続く展望が再び開ける。ここから次の2703m峰、熊沢岳へはそれぞれのピークがそれなりのアップダウンを強いられることにはなるが、眺望の良さに後押しされて快調に歩く。
熊沢岳を過ぎた頃から行く手の中央アルプス主脈には伊那谷の方から雲がかかり始める。まだ大気中の湿度が高い時期だから、やはり稜線に雲がかかるのは時間の問題か。
熊沢岳を越えると峻険な岩場の急下降となる。長い登り返しが待っているが、急に次の檜尾岳への道のりが長く感じられるようになる。檜尾岳と思っていたピークはその手前の大滝山であった。ここへ来てスタミナが不足してきたのだろうか。檜尾岳の登りに差し掛かると明らかに速度が落ちているのが感じられる。
檜尾岳からの下りですれ違った若者がすれ違いざまに「先日、仙塩尾根ですれ違いましたよね」と声をかけて下さる。三峰岳の山頂直下ですれ違った若者であり、私も登りで疲れていたせいか彼を引き止めて長いこと話し込んだ相手であった。私が前日に中小川登山道から撤退を余儀なくされた話をすると、このルートに興味を持たれていたとのことであった。情報が役に立てば幸甚である。
檜尾岳の次は濁沢大峰である。あわよくば極楽平を超えたところから三ノ沢岳、あるいは宝剣岳を越えてと思っていたが、宝剣岳のみならず三ノ沢岳まで雲がかかってゆく。私の心理にも雲がかかっていくかのように、ますます歩行速度が落ちてゆく。千畳敷に下る前の最後のピーク島田娘もまもなく雲の中に隠れる。
まだ時間は早いが体力の限界を感じることになる。昨日の中小川登山道の疲れが響いているのだろうか。この日は極楽平から千畳敷に下って、早々とロープウェイで下ることにしよう。
島田娘への登りをこれまでのピークに比べると緩やかではあるものの、やはり疲労のせいかとりわけ長く感じられる。登ってゆくと白い竜胆の花が随所に咲いている。後で調べると当薬竜胆の花らしい。ふと見上げると、島田娘のあたりだけ雲が晴れて、青空が顔を覗かせる。周りには雲が見えるばかりで、まるで雲の上を飛ぶ飛行機の上からの光景だ。
島田娘にたどり着くと谷の向こうで三ノ沢岳も雲の中から姿を現す。島田娘を過ぎて極楽平にたどり着く頃には全ての景色が白日夢であったかの如く雲の中へと消えて行った。ここからはロープウェイの千畳敷駅へと10m先も見えないような濃霧の中を下ってゆく。
下山後は早太郎温泉で一汗を流す。気がつくと昨日の中小川で沢で水に濡れた足が靴下がふやけたせいだろうか、足の裏が相当痛む。しかしまだ乗り越えなければならないピークが待っている。疲れた体を引き摺って、出張先の名古屋に向かうのであった。
ヤマレコを覗きに来れなくて、久しぶりにログインするとフォロー情報が溜りまくっておりました。それもyamanekoさんのレコが半端ない数。先ずこのレコから拝見です。
さすが通ですね〜 一般の方は、この逆回りが多いのかと思いますけどね。
空木岳へは上がったことが無く、池山尾根を上がって檜尾根を下るプランを立てたことがあります。最近は、伊奈川ダムからの時計回りで越百山も回るプランとか作ってましたが、机上の話ばかりです。
木曽殿越−空木岳間は、上りに使う方が良さそうな感じですね。私の行ってみたいルートのベストテンに入っておりますが、いつ行ける事やら。
きつめのルートは早めに行かないと年々体力が落ちていく感じでチョイ焦り気味ですけど??
千畳敷でのロープウェイの待ち時間はどうでした? この季節の連休初日なので相当混雑していたんじゃないかと思いましたけど… 2時間待ちとかもあるように聞いたことがありましたもので。
中小川登山道の話が出てましたね。レコも少ない谷を上がる難度の高いルートのようで。以前聞いた話ですが、確認の為先ほどググるとやはり中小川登山道は崩落もあり入下山禁止となっているようです。
ののさん コメント有難うございます。
>さすが通ですね〜 一般の方は、この逆回りが多い
いえいえ通かどうかはともかくとして、主脈の縦走は千畳敷までロープウェイで昇ってから南下するのが多いのは確かです。出来ればロープウェイを使って下ることは避けたかったのですが、今回はいつになく消耗してしまって
>池山尾根を上がって檜尾根・・・
流石に日帰りのプランではないですよね。私がしたように池山小屋で泊まったとしても、それでも相当にきついでしょう。そのプランだと駒ノ峰か木曽殿で泊まるしかないかと思います。
>木曽殿越−空木岳間は、上りに使う方が良さそう
いや、絶対に逆だと思います。一度、通過してみればご理解いただけるかと思います。
>中小川登山道・・・
少なくとも禁止の案内は一切ありませんでしたので、禁を破った訳ではないと思っております。時期の問題かもしれませんが、沢は水量が豊富で、私が断念したところからさらに遡行するには両足を水に浸けることになるのは明らかでした。越百山は未踏なのですが、木曽側からアプローチ(または下山)することに致します。ちなみに以前は伊奈川ダムまで車で入れたのですが、最近はその手間でクローズされているようです。
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