快晴絶景赤岳ー真教寺〜県界尾根
- GPS
- 09:29
- 距離
- 15.8km
- 登り
- 1,543m
- 下り
- 1,530m
コースタイム
- 山行
- 7:24
- 休憩
- 1:52
- 合計
- 9:16
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
赤岳はどこから行っても最後は岩場。東の清里側からの両ルートを比較すると、南側の真教寺尾根はアプローチ部に牛首山など多少変化があって、最後は岩稜らしい高度感を味わえる登り向きルート。北側の県界尾根は、上部はハイマツ帯で鎖頼りでも降りることができ、2500m以下はいささか単調な疎林の平坦な尾根道主体で、下山向きかと感じた。 |
写真
装備
個人装備 |
ヘッドランプ
予備電池
ガイド地図
コンパス
筆記具
保険証
飲料
ティッシュ
バンドエイド
タオル
携帯電話
計画書
雨具
防寒着
ストック
水筒
時計
非常食
緊急保温シート
着替え
ツェルト
ファーストエイドキット
医薬品
カメラ
GPS
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感想
歩き慣れた丹沢、奥多摩はまだ暑そうだし、ふと思い立って一度登ってみようと思っていた八ヶ岳へ脚を伸ばした。急だし、3連休は山小屋も混むだろうと思って、車中泊を使う日帰りコースの赤岳を選んだ。思いのほか険しい岩場だったが、整備が完璧なので楽しく登ることができた。
快晴予報の期待を胸に金曜夜の首都高渋滞を抜け、日付が変わったころに美し森観光案内所前の駐車場に到着。シーズンは車中泊に使われると聞いたが、軽自動車が一台止まっているだけで、ほとんど空っぽだった。
4時半過ぎ、オートバイの音とライトで目が覚めた。寝袋の中で逡巡するうちに東の空が明るくなり、5時に起床。パンをかじって身支度し、5時半過ぎに出発した。夜露に濡れた草と木段を見てスパッツを取りに戻り、さらに10分余り遅れてまず美し森展望台を目指す。振り向けば朝焼けの残る南アルプスと富士山のシルエットが美しい。
早朝の散歩らしい軽装の観光客何人かとあいさつしながら、たかね荘脇を通過。羽衣池を過ぎて少し登山道らしくなったが、勾配は穏やかだ。丸木の木段はバランスを取りつつ丸木伝いに歩く。丸木をまたぎ越しながら歩くよりこの方が楽だと思う。
1時間ほど歩くと右手に電気柵が現れ、スキーリフトの頂上駅が見えた。標高1900m前後、すぐ先が賽の河原で、目標の赤岳が遠くそびえている。今朝は快晴の割には冷え込まず、上に羽織ったレインウエアはすぐに脱いでしまった。登山シャツ一枚でも、林の中はいいが照り始めた朝日が当たると暑い。
やや勾配の増した樹林帯の道を辿る。開けた所で振り返ると、雲を従える富士山が少しずつ表情を変えていく。リフトから1時間で牛首山。木々の間から権現岳らしき姿が覗く。小休止の後、しばらく行くと正面に大きく赤岳が見えた。ここで本日初の登山者とすれ違った。人気の山だが、ルートのせいもあるのか人影は多くない。
最後の急登に備え、標高2300m前後の尾根を飛ばし過ぎに気を付けながら歩く。扇山がどこかも気づかぬまま、気が付くと左頭上に二つの岩峰がそびえていた。大天狗、小天狗だろうか。坂も急になり、すぐ上で写真を撮っている先行者が見える。こちらも写真を撮りながら後を追い、ちょっとした岩場の所で追いついた。
若い男性で、岩に上ってどこかから響いてきた女性登山者の声に、「ヤッホー」と応答している。その後、互いに「楽しんでますかー?」などと問いかけていた。当方も雷同して「ヤッホー」1回を放って先発した。
いよいよ傾斜がきつくなり、標高2500mを越えて息苦しさが増してきた。肺の持病もあって空気の薄さはことさらこたえる。やがて鎖が現れた。この高度では登攀の方がゆっくり登れる分、当方にとっては心肺への負担が軽い。リュックに忍ばせたヘルメットを装着。いつしか森林限界を抜け、視界が広く高度感のある岩場をよじ登るルートになった。
最初の鎖場から40分ほどよじ登り、ちょうど10時にキレット小屋からの縦走路に合流した。尾根越しの阿弥陀岳の向こうにははるか北アルプスの槍穂高連峰がはっきり見えている。360度、とんでもない大展望だ。早く山頂にと気がせくが、まだここは竜頭峰。標高2800m、希薄な空気に喘ぎながら竜頭峰山頂を鎖でトラバースし、軽く下って阿弥陀岳からの登山道を合わせた。
人が増えて行き違い待ちも生じる中、さらに鎖と梯子に取り組んでようやく赤岳山頂に到着した。なんという絶景だろう。というか、こんな快晴の山頂は実に久々だ。それが3000m近い山の頂となれば言うことなど無し。西側は遠く立山から槍穂高、乗鞍、御嶽を経て南アルプス、富士山。東側の関東山地一帯は低い雲の下に隠れがちだが、北の方には浅間山もくっきり見えた。足下には行者小屋と赤岳鉱泉の向こうに高原が広がる。
南アルプスのことを話しているベテラン男性登山者がいたので、山座同定を手伝ってもらった。南も訪れたことがないので大変助かった。いくら見ていても飽きないが、そろそろ腹も減ったので頂上山荘の立つ北峰へ異動。コッヘルを出して昼食とした。
なんだかんだでたっぷり1時間以上休憩し、頂上山荘で記念のバッジを求めて下山開始。あれほどクリアだった山域の空に雲が湧き始めた。トイレに向かう途中から左に分かれる県界尾根短絡路を下る。ガレ場注意と記してあったが、のっけから鎖、梯子の連続となった。真教寺尾根と違うのは両側がハイマツ帯である点で、いわゆる岩場という様相ではない。恐怖感も薄く、これなら技術より膂力さえあれば何とかなりそうだ。
面倒なので、当方もその腕力に依存して鎖を手繰りながらどんどん下る。登って来る人に下の様相を聞くと、終始こうした登山道の鎖場、梯子が続くようだ。先人のレコにあった「スラブ状で鎖に頼らざるを得ない最後の岩場」は、なるほど鎖なしでは難儀そうだが、鎖を握っていればどうということもない。標高2650m、いつしか両側はハイマツから低木に変わっており、10mほどの桟道を通って普通の登山道に降り立った。
休憩中の男性に聞くと、この先は一つも梯子、鎖場はないとのことなので、収納していたストックを伸ばして下山を再開。100m下った辺りで、また休憩中の青年に会った。紐のない変わったブーツをはいている。聞くとバイクツーリング用のブーツで、この山はもちろん初めてとのこと。「硫黄岳まで行こうと思ったんだけど、もうすごく疲れちゃって。戻るべきでしょうか?」。そう問われて一瞬考えたが、「あと少しだからゆっくり登ってみて、山小屋に一泊しては?」と勧めた。
脚力は限界でもこの先は膂力頼みで勝負できる。まだ12時台だし、20歳代と思しき青年の若さなら、明日になればまた体力は湧いてくるだろう。大した技術のいる道でもなく、そう簡単にあきらめてほしくはなかった。恐らく相当ひどい足の筋肉痛に見舞われることだろうが・・・。
大天狗を過ぎ、標高2300mを切ったあたりで道が平坦になった。実は先ほどから5年前にスキーで骨折した左膝が痛み出しており、ホッとした。8月下旬に北アの下山で痛みが再発し、今日は用心にサポーターを巻いている。膝に優しい?その道は、疎林の尾根に延々と伸びている。小天狗の手前で空が開け、振り向くと赤岳と横岳がどっしりと聳え立っていた。
小天狗の標識から3分、元気なハイカー二人を先に通し、林の中の分岐で久々の急降下に入る。きれいな林をジグザグに下り、標高1900m付近でやっと谷底に着いた。そこからは張り渡したロープ伝いに辿り、やがて林道跡のような小広い道に出た。大門川源流の堰堤伝いの道だ。
道はコンクリート舗装になったり砂利に戻ったりを繰り返し、「真教寺尾根」と書かれた道標に至る。迷ったという先人のレコもあるので、だいぶ荒れているのだろう。当方はまっすぐ大門川沿いの道を下り、最後に堰堤上で左岸から右岸に渡って、ほどなくスキー場前のロータリーに飛び出した。件の青年の物らしきオートバイが止めてある。
車道わきを歩くこと30分近くで、ようやく観光案内所が見えた。午後3時過ぎ、いつもの日帰り登山なら早いくらいの時刻だが、今回は出発が3時間ほど早いので、それだけ長く歩いていたことになる。装備を車に放り込んで、ネットで見つけた「たかねの湯」へと急いだ。
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