双六岳登山と熱中症
- GPS
- 56:00
- 距離
- 29.6km
- 登り
- 2,089m
- 下り
- 2,089m
コースタイム
わさび平小屋(着) 6:44(トイレ・食事休憩)
わさび平小屋(発) 7:00
秩父沢(着) 8:16(直前から歩行ペースが落ち始めた)
秩父沢(発) 8:40
イタドリガハラ 9:36
シシウドガハラ 10:27
鏡平(着) 11:45(昼食)
鏡平(発) 12:47
弓折岳分岐(着) 13:58
弓折岳分岐(発) 14:17
雪田(着) 14:36
雪田(発) 14:55
双六小屋 15:43
天候 | (8月16日)晴れ。高山市の最高気温は35.5度。多治見市では過去最高の40.9度を記録。 (8月17日)晴れ時々曇り (8月18日)晴れ時々曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2007年08月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
当初の山行計画では黒部五郎周辺まで脚を伸ばす予定でしたが、トラブルにより双六岳のピストン山行としました。トラブルは、猛暑による脱水症。この時期の登山で特に気をつけなければならない熱中症、日射病と並ぶ、とても危険な症状です。 当初予定 8月16日(木) 新穂高温泉〜わさび平〜鏡平〜双六小屋(テント泊) 8月17日(金) 双六小屋〜双六岳〜三俣蓮華岳〜黒部五郎小屋(テント泊)〜黒部五郎岳(往復) 8月18日(土) 黒部五郎小屋〜三俣山荘〜鷲羽岳〜三俣蓮華岳〜双六小屋(テント泊) 8月19日(日) 双六小屋〜鏡平〜わさび平〜新穂高温泉 以下、山行記録 8月16日、高山市の最高気温は35.5度。多治見市では過去最高の40.9度を記録。 新穂高温泉も非常に高い気温となり、北アルプスとは思えないほどの熱気に悩まされながらの登山となった。朝5時20分に歩き始め、8時20分頃に秩父沢に到着。ここまでのペースはテント泊装備を考えれば標準的なペース。その後、鏡平に近づいた段階でメンバーの1人の額から流れる汗の量が異常なほど多くなり、休憩と給水を随時採りながらの歩行に変更。 ここでの対応は次のとおり。 1 異常な発汗と脚が吊る症状が発生。水分と電解質の摂取のため、10分〜15分歩くごとに休憩・給水。 2 予備のアクエリアス(1リットル)をメンバー専用に。 3 無駄な発汗を防ぐため、汗を拭いて捨てずに、なるべく衣類に吸着させる。 4 バナナチップスの摂取(カリウムを含むため) 5 熱中症となっていないか、体温のチェック。 ゆっくりとしたペースで鏡平に到着したのが11時40分頃。 食事・水分補給は通常どおりにでき、体調も良くなったため、12時50分頃に双六小屋に向けて出発。稜線への到達は14時00分頃。多少涼しい風が吹くようになったこともあってペースは回復し、途中の雪田で長めの休憩を取った以外はコースタイムどおりに歩くことができた。双六小屋には15時40分頃に到着。 テント設営後に夕食としたが、体調が思わしくなく、食事も僅かしか食べられない。また、脚が攣る症状が悪化。手の甲が吊る症状も出たため、アクエリアスとバナナチップス、梅干の摂取を勧めるが、胃の不調によりアクエリアスを摂取できないため、お茶とその他の食料を摂取することとし、併せて富山大学の診療所に相談に向かう。 医師に相談した結果、テントへの往診。診察の結果、脱水症状のため、診療所において点滴治療(500ml×2)を行うこととなった。テントから診療所に向かう際には脚の痙攣が酷く、なかなか立ち上がることができない状況だったが、点滴により体調は快方へ。 翌17日は午後までテント内で休養し、アクエリアスを積極的に摂取。食事も通常どおり採れるようになったため、翌日の下山のことも考え、体調を確かめるために双六岳を往復。無事に歩きとおせたため、翌日の下山を決定。 18日には体調はほぼ復活し、コースタイムどおりに下山。 1 脱水症状・手足の痙攣の主な原因 (1)記録的な気温と、睡眠不足による体調不良(新穂高到着後、車内での2時間の仮眠)。 (2)こまめな給水(アクエリアス)を行ったものの、体調不良により、それを上回る異常な発汗となったこと。また、それによって多くの水分と電解質(カリウム)が失われたこと。 2 対策 夜行で登山口に向かう山行スタイルを続ける限り、寝不足による体調不良を防ぐことは難しい。ただし、運転手に付き合う形で全員が起きたままでいるよりは、交代で睡眠を取るなど、メンバーができる限り長く睡眠を取れるような配慮を行うべき。 3 好ましかった判断等 結果として点滴にまで至ったことに対する反省と、今後の対策は行うべき。ただし、次の事項については結果として重篤な症状となることを防ぐ、好ましい判断であったと考える。 (1)熱中症に備え、予備の水分(1リットルのアクエリアス)を携帯していたこと。 (2)アクエリアス指定の水分補給をこまめに指示したこと。 (3)痙攣の原因が電解質不足(カリウム等)であることを知っており、行動中・テント内での成分の摂取を行えたこと。(行動中のアクエリアス以外の摂取については不十分。) 4 課題 (1)鏡平に到着した時点で行動を打ち切るべきであったかどうかの判断。食事休憩によりある程度体調は回復しており、行動を中止する程に体調が悪いとは考えられなかった。 明らかに歩けない場合を除き、山中で行動中止の判断をすることは、非常に難しい。 (2)体調不良の時点で小屋泊に切り替えなかった判断(小屋は布団2人1枚の状況であったが、体調不良を考慮して1枚をあてがわれる可能性は十分にあった。) (3)行動中の荷物分担の変更をしなかったこと。体調不良者本人の、「持つ意思」をどこまで尊重するべきか、リーダーとして判断に悩んだこと。 さて、考察についてはここまでとして、食事関係をまとめてみました。 ベーコンとアスパラとエリンギの炒め物はかなり美味かった! 2日目の朝はこれにご飯を加えてチャーハンにしたらこれがまた・・・。 ウインナーと常温保存が可能な角煮でお肉はバッチリ。 あとは野菜をもっとしっかり持っていきたいところです。 【1日目の夕食】 ・ベーコン500g、アスパラ、エリンギの炒めもの(ベーコンで油不要) ・ジャガリコを茹でたポテトサラダ(2個使用) ・たまごスープ ・ご飯2合(3人) ・雪印ストリングチーズ(割けるチーズ) ・カマンベールチーズ(6P) ・お茶・コーヒー 【2日目の朝食】 ・前日の食材の余りを利用したチャーハン(ゴマ油が良かった) ・お茶・コーヒー 【2日目の昼食】 ・各自持参のカップラーメン 【2日目の夕食】 ・常温保存が可能な豚の角煮360g(ご飯炊きの鍋の上で加温) ・シャウエッセン150g(焼き) ・ご飯2合(3人) ・お餅6個 ・フルーツゼリー ・お茶・コーヒー 【3日目の朝食】 ・ママー スパゲッティ300g(早茹3分) ・SB 生風味パスタソース(明太子スパゲッティの素) ・シャウエッセン150g+チョリソー100g(茹で) ・お茶・コーヒー 【3日目の昼食】 ・鏡平小屋のカレー ・鏡平小屋のかき氷 |
写真
感想
メンバーの方々には大変お世話になり、またご心配お掛けしました。
リーダーの落ち着いた判断に助けられました。
人一倍、汗をかく体質なのはわかっていましたが、まわりの人から見ても
異常な汗の掻き方だったようです。
今までにも、縦走の際、軽い足の攣りは何度も経験している。
今回も、軽いだろうと自分なりに判断。
実際に、テン場について、幕営の準備や飯の仕度までしたが、徐々に座っているのも
苦痛になり、口の中が渇いて飯がのどを通らない。お茶で流し込もうとしても
口のなかに残ってしまう状態。コッヘルやスプーンを持つ指も次第に攣りはじめる。
体温も37.5度と微熱。リーダーと話をしているのですが、力が入らず
話をするのもやっとでした。
スポーツドンクを勧められたが、胃が焼けるようになり受け付けられなくなりました。
詳細はリーダーが書いたとおりでありますが、自分なりに
脱水症になった原因をさらに分析してみました。
今後に役立つかどうかは判りませんが、参考になれば幸いです。
1.水分
スポーツドリンク:500ml 1本とポカリスエット顆粒2袋
途中、わさび平、秩父沢で水の補給ができることから
以上の量で大丈夫だろう と判断した。
2.荷物
3泊4日 テント泊 3名 と言うことで、リーダーも用意していましたが
自分も夕飯2日間分を買い込み、それに使う食器類を多量に持ち込む。
(鍋、フライパン、網等)
さらに、調味料(素麺の汁(1瓶)、ごま油(1瓶)など)
ただし、それらを使うことがなく、無駄な荷物になった。
歩き出しはそれほど重くは感じませんでしたが、気温の上昇と共にかなり
苦痛になってきた。
3.体調管理
4月の会社の健康診断で、血圧が高いので再検査と言われ、自宅の近くの病院で
見てもらったところもう少し痩せなさいといわれ、食事制限
(1日の摂取量を今までの半分)と塩分を控える。
このことが電解質の不足に繋がったかどうかは、素人では判断できませんが、
通常の生活の改善が、山登りにどのように影響するか勉強する次第です。
診療所にて
お医者さんから、今回は気温が異常に高く、汗と一緒に電解質が流れ出し、
スポーツドリンクを摂取しても間に合わなかったとのこと。
通常、軽い脱水症であれば、ポカリスエットなどの顆粒をお湯に溶かし
(いつもより濃いめに)少しずつ口に含ませるように呑んでくださいとのこと。
ただ、自分は口から摂取できない状態だったので、点滴することになった。
看護師さんからは、梅干が良いと言われる。
看護師さんはマラソンをやっており、途中、梅干を食べると
そこからまた、力が出るのだと言っていた。
確かに、双六にくる山やを見ていたら梅干を持参している人を見かけた。
点滴(ラクテック)を2本打っていただいたが、診療所のベットから降りるとき
足が攣った。
お医者さんは、あとはポカリを呑んで徐々に治すしかないと言われたので、
次の日から小屋で売っているポカリを2〜3本呑むことに。
朝飯、昼飯も食べることが出来たので夕方、双六岳を往復。
右足の太もも内側に少し違和感があったものの
普通に近い状態で歩けたので、お医者さんに報告。
頂上まで行けたのであれば大丈夫でしょう。とのこと。
以上のことから、やはり水分補給。特にスポーツドリンクをお奨め。
水だけでは血液を薄くしてしまいあまり良くないそうです。
それに加え梅干などの塩分を含んだ食べ物。ふなみんさんから梅干をいただき
すんなり身体が受け付けてくれました。
それと、やはり軽量化でしょうか...テント泊なので、
重くなるのはしょうがないにしても、無駄なものは
持たない。シンプル イズ ベスト。これに限ります。
自分なりに、分析してみましたが実際にこれだという答えを見つけることは難しい。
その時々の体調、天候などに左右されるから。
下界に居ればなんでもないことでも、山では気をつけなくてはいけないことが
沢山あります。
今回、この経験を教訓として、これからの山行に役に立てる次第です。
失敗経験って皆報告しないんだよね
ましてや 原因追求と対策までは
いろんな遭難事故があるけど、最近事故報告書を見ない。たまに見ても時系列の報告のみ、最後はなんとなく自己責任。
山岳会ではヒヤリハットが叫ばれているがーーー
私も心がけます。
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