唐松・五竜岳単独テント泊縦走


- GPS
- 56:00
- 距離
- 18.4km
- 登り
- 1,806m
- 下り
- 2,556m
コースタイム
【5/4】8:20アルプス平 9:40小遠見山 11:00大遠見山 11:40西遠見山 13:00五竜山荘
【5/5】4:10五竜山荘発 5:40五竜岳 6:45五竜山荘 9:00五竜山荘発 11:40唐松岳頂上山荘 15:30八方池山荘 16:10八方バスターミナル 17:20長野駅
天候 | 全期間おおむね晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
コース状況/ 危険箇所等 |
2000m以下では3月の温暖な気候の影響で雪は少なめ。 2500m以上では例年より積雪多い。 五竜岳へのトラバースやクサリ場、牛首の通過は要注意。 |
写真
感想
長いですが…適当に読み飛ばしてください(笑)
【5/3】
当初、5/3の最終リフトで八方尾根へ上がり八方池付近でテント泊する予定が、松本行きの高速バスが渋滞により2時間遅れで到着したため、計画を変更。遠見尾根から八方尾根へ逆周りに変更。18時20分にJR神城駅に着き、五竜スキー場のテレキャビン始発を待つことに。適当なところにテントを設営し、夕食をとる。食事後は日本酒「大雪渓」を飲みながら読書をしたり、ラジオを聴いたりのんびり。22時に気象通報を聞いて天気図を書こうにもNHK第2放送の感度が悪くあまり聞こえず諦める。小型ラジオのせいなのかよくわからない。22時過ぎに就寝。
【5/4】
5時起床。8時15分テレキャビンの始発に乗車。天気は午前中晴れだが、午後から悪くなる見込み。今日中に五竜岳へ登頂するのは厳しいだろう。小遠見を経て中遠見へ。展望が最高。中遠見・大遠見では多数のテントが張られている。全部で40くらいはあったと思う。西遠見を下っていよいよ急登。この時間から風が強くなり、かさ雲がポツポツ見られるようになる。雲量は多くなってくるが、特に発達した対流雲は見られない。白岳はトラバースしていく。気温は低く雪も締まっているので雪崩の心配はないだろう。五竜山荘に着くとガスが濃く、視界はほとんどなくなる。小屋であたたかいココア(200円)を飲み、冷えた身体を暖める。テントの受付を済ませ、トイレ代200円を支払う。この時期はテント場が整理されていないので無料。設営の準備に取り掛かる。場所を決め、スコップで雪を掘り出していき、防風ブロックを積み上げる。2〜3人用のテントなのでやや大きく、1人で掘り出すのに難儀する。ぎりぎりテントが入るスペースを確保し始めたところ、向かいのパーティのテントが強風にあおられ信州側へ落ちていった!もうだめかと思ったが、なんとか拾うことができてよかった。この恐ろしい光景を見たため、テントが飛ばないよう厳重にアンカーを下ろして張り綱を張る。が、スペースが小さいためうまく掘れず、なかなか割り箸ペグが決まらない。また設営中、オーバーズボンを履かなかったため下半身がびしょ濡れであることに気づいたが時すでに遅し。なんとか張り終え、17時30分に小屋の夕食を食べる。夕食は名物のカレーかと思いきや、そうではなくハンバーグにご飯と味噌汁と野菜がついたごく普通のものだった。おなかが空いていたのでご飯をおかわりしまくる。小屋で買ったエビス(600円)を飲みながら必死に食べる食べる。食事後、着替えて濡れた衣類をバーナーで乾かすこと1時間半あまり。ウールは濡れても暖かいが、濡らすとなかなか乾かない。20時過ぎに就寝。風が強くガスも濃く、視界は無し。
【5/5】
0時ごろに起きる。テントをめくると満点の星空が見える。快晴だ。風は弱く、さほど寒くない。テント内の温度計は0度付近を指していた。三脚とカメラをセットし、早速星空を撮影する。テント場のすぐ横でずっと撮影していたが、どうせなら白岳に登って撮ったらよかった。ここは展望がイマイチ。2時ごろに再び就寝、3時30分に起きる。五竜岳登頂に向けて準備をする。4時10分に出発。日の出は4時54分。4時前にはすでに明るくなりつつある。一応ヘッドランプをつけて登山開始。踏み跡は昨晩の新雪で消え始めているがかろうじて残っている。G2手前まで来て、トレースはなくなる。ここからが本当の勝負。直登も考えたが結局難しそうに思えたのでそのままトラバース。締まっている雪の上はアイゼンが効いて歩きやすいが、20センチほど積もっており、新雪ふわふわのところが非常に厄介。足元がすぐに崩れ落ちるため滑落や雪崩の危険もある。今考えればG2トラバースは誤った判断だったかもしれない。途中、アイゼンの長さが少しだけ長かったのか外れ、あせる。締め直せるような場所ではない上に、滑落する危険もあり非常に怖い。這うようにして安全地帯までたどり着き、長さを調節して締め直す。トレースもなく、GPSと地図を駆使し、登りやすそうなところをルートファインデイングしながら苦労して進む。二度ほど足が新雪に潜り、崩れ落ちそうになる。「ヤバイ」と思ったが、なんとか体勢を整えて登る。「絶対に生きて帰ってこられますように」と祈るばかり。クサリ場の手前まで来たところで鹿島槍がモルゲンロートに染まっているのが見える。ようやくカメラを取り出し撮影。クサリは出ているし、ペンキのマークも見える。なんとここで初めてauの電波がわずかだが入る。最後に岩場を巻いてようやく鹿島槍と五竜山頂への分岐に出る。あとは山頂まで快適に進む。山頂へ一番乗りで到着し、生きててよかったと安堵する。360度の大展望は絶景だった。最高の瞬間に大感動。立山・剣、鹿島槍から槍ヶ岳、唐松岳から白馬岳まで展望がほしいままだ。剱岳のモルゲンロートには間に合わなかったが、無事登頂できたことがなにより嬉しい。今までで一番難しく、非常に怖い思いをした登山だった。天気がよいのが何よりだったと思う。風は10〜15m/sとさほど強いわけではない。天気が悪ければ間違いなく引き返していただろう。思う存分写真を撮り、下山する。同じルートをまた行かねばならないのかと思うとげんなりする。下りが一番やっかいだし、緊張する。クサリ場を降りたところで、登ってくる登山者が遠くに見えた。ここでしか電波が入らないのでせっかくだから「五竜岳山頂なう」とつぶやいておいた。さて、G2のトラバースを終えるころ、やってくる登山者はG2を直登されていました。「直登も結構難しいんじゃないかな」と思いながら、次々に現れる登山者と挨拶を交わし、雪が積もっており危ないことを説明。そして無事五竜山荘へ到着。生きて帰ってこれてよかった。朝日がまぶしい。ほっとして朝食を食べる。7時半、食堂にいるのは僕一人だけだった。食事後、撤収にかかる。9時に出発し、唐松岳へ向かう。大黒岳までは快適な道のりだ。そして本日最後の核心が牛首だ。ここは険しいクサリ場で、過去に多数の滑落事故が起きている。難所であるのは間違いない。アイゼンをうまく使って確実にホールドして登る。撮影機材とテント、積雪期装備という重い荷物を背負っていてバテバテになってしまった。11時40分に唐松岳頂上山荘に着く。正直、疲れがハンパない上に時間も厳しい。唐松岳登頂は断念した。小屋でジュースと水を買い求め、休憩する。30分ほどしっかり休息して、八方尾根へ向かう。日帰り登山者が多い。ボーダーも何人かいた。重い荷物を背負っていると上りは大変だが、下りはまだ楽だ。八方池山荘までコースタイムより早く着いた。ゴンドラ・リフトを乗り継ぎ、久しぶりに下界に帰ってきた。
よい写真が撮れて充実した山行だったが、しんどかった。
反省点を2つほど。
1体力不足
2ヶ月ぶりの積雪期登山ということで、運動不足だった。せめて2週間前くらいから準備運動をしておくべきだったと思う。ハンパない重さのザックに苦労した。
2技術不足
積雪期のテント泊は初めてだったので、設営に苦労した。強風に負けない固定方法をしっかり身につけるべき。また、直登か巻くかの判断も怪しいと思う。
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