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Yamareco

記録ID: 324702
全員に公開
アルパインクライミング
剱・立山

剣岳 八ツ峰

2013年07月20日(土) 〜 2013年07月22日(月)
 - 拍手
nekonotozan その他1人
GPS
51:57
距離
18.7km
登り
2,027m
下り
2,975m

コースタイム

7月20日 7:30扇沢~9:00室堂-剣御前-剣沢-長次郎出合-15:30熊の岩
7月21日 5:20熊の岩-6:00六峰Cフェース取付-Cフェースの頭-八峰-八ツ峰の頭-池ノ谷乗越-16:10熊の岩-18:30真砂沢ロッジ
7月22日 4:20真砂沢-三ノ沢雪渓-ハシゴ谷乗越-内蔵助平-内蔵助谷出合-ダム直下橋-11:00くろ四~扇沢
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2013年07月の天気図
アクセス
利用交通機関:
バス 自家用車 ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
コース状況/
危険箇所等
1日目

扇沢で荷物を測るとosuneko24kg、rie16kg。お互い重い。
9時室堂と遅い時間に出発。すでに多くの人が立山カール内を登ったり降りたりしている。
雷鳥沢キャンプ場経由で、雷鳥坂入り。かなりキツイ。今年の5月に雄山へ一の越から行った時は、雷鳥2匹見えた。しかし、今回は雷鳥は見えない。雷鳥が見えれば、少しは疲れも癒されるが。
御前小屋にほぼ時間通り到着。右を見ると、朝から晴れているのに何故かきれいな虹。
ほんの少し休んで、剣沢小屋を目指して降りる。
剣沢交番で3日目予定の内蔵助方面登山道の状態を訊く。ある程度分かったが、詳しくは真砂小屋で訊くようにとのこと。一応、剣沢小屋でも訊くが、やはり真砂沢小屋で訊くようにとのこと。
剣沢雪渓を難なく降り、平蔵出合でルート確認兼ね小休憩。その後、直ぐに長次郎雪渓出合。
長次郎雪渓に入り、ひたすら真っすぐ登る。後ろの彼方に一人追いかけてくる人がいる。
八ツ峰五峰手前から急でステップが少し滑り苦労。その後、斜度が緩くなる。
右に五六のコルが見え、後ろを振り向くと追いかけてくる人は大分接近している。このまま熊の岩に到達する前に抜かれてしまいそう。熊の岩手前から長次郎谷右俣に入る。結構な急登。アイゼンを付けていないので、慎重に登る。
熊の岩は3張り分の空きがあり、一番乗りのnekonotozan隊は最も良い場所に張ることに。張る準備をしていると直ぐに後ろから来た人が到着。女性であったが、凄いスピード。後でもう一人が追い上げて来るそうだ。バラバラに来るところみるとかなりの実力者なのかもしれない。
テントをがっちり張り、テント場直下の沢から水をナルジンボトルと中ビリー缶に汲む。
計画では17:00過ぎ到着の予定だったが、実際の到着は15:30くらいで、陽がまだあり、Aフェース行けるかなとrieと相談。
となりの人は六峰Cフェース取付を偵察に行くと言う。私もそうすることにし、12本爪アイゼンを付け、ヘルメットを被り、後から追いかける。
Cフェースの基部は雪渓の中で、恐らく1P目の下部は埋まっているのだろうとのこと。シュルンドも幅が広い。長次郎谷に下の方を見ると、その方の仲間(女性)が遥か下方に見え、お互いに手を振っている。
取付に雪渓を5m下ったところにあるBフェースから流れ出た、クレパスから降りてCフェースまで登り返す。その方は1P目はノーロープで行くという。nekonotozan隊は初級者なので、アンザイレンで登ることにする(たぶん2番手パーティーとして取り付くことになるだろう)。
これで、ルート取付を確定し雪渓に上がる。その方の仲間が見えなくなったので、その方が大声で名前を呼ぶ。しかし、返事も姿も無いので、熊の岩基部の陰で休憩中なのだろうと思う。私だけテントへ向かって長次郎雪渓右俣を横断。結構急で恐い。テントに着いて、一休みするとお隣さんも帰ってくる。開口一番、シュルンドに落ちてた!と言う。状況的には悪くないらしいが、手伝いますと言ってアイゼンをもう一度着け付いて行くことに。rieには事故者が戻って来た時用にお茶を沸かしてもらうことに。
何もいらないとは言われたが、Tスロットを構築しなければならないかもしれないので、rieのピッケルと自分のピッケル、スリングカラビナを持って追いかける。
シュルンドを怖々覗くと。。。居た!右頬に大きな摺り傷を被っている。右足のズボンは真っ赤だ。手足は動くそう。
同行者がスタンディングアックスビレーを作り、セルフビレー。マムートザイル末端を事故者に投げクリップしてもらう。私はザイルをずっと後ろまで延ばし、もう一つの浅いシュルンドに入って腰がらみで足を突っ張りバックアップ。
事故者は2人分のピッケルを使ってダブルアックスで登り返す。雪渓上に戻った!その後、同行者が事故者の残したザックをロープごぼうで引っぱり上げる。凄い腕力だ。
事故者は笑顔を絶やさずテントへと雪渓を登る。しかし、アイゼンを付けず同じ滑落したところをロープも解除せず引きずって、そのまま登って行く。動揺が見てとれた。
テン場に着いて、事故者はrieのお茶を飲み、私のイソジンを貸す。イソジンは今後の山行で皆が使うので、血液感染予防にボトルを離してかけてもらうように頼む。しかし、手が極度に震え定まらないで垂らしている。それでも、なお笑顔だ。なんて強いことか!
ガーゼは誰も持っていないとのことだったので、「女性3人誰も生理ではないのですか?」と言うと「そうか!」と分かってもらえた(実は、ナプキンは清潔だし、血を吸収する為にできているから優れもの。アメリカのワイルダーネスでは男性も持って行く)。
その後、お礼にビールをごちそうすると言われたけど、私は飲まないしrieも山では飲まないので、お断りすることに。
大けがや死に至る事故でなく良かったと胸を撫で下ろし、早い翌日に備え就寝。

2日目

けっこう寝坊する。シュラフカバーのみの夜だったが、全く寒くはなかった。シュラフカバーも持って行くことにする。
5時過ぎに準備して雪渓右俣横断。

取り付きから登り開始6時。
遅いスタートになったけど誰もいない。天気もバッチリ。素晴らしい朝だ。
予定通り1P目もアンザイレン。
4P目ハイライトと最終Pは1ピッチとして登ってしまう。ロープが多少重かったけど、大丈夫だった。しかし、そのためにrieがナイフエッジを登攀する写真を撮ることができなかったのは残念である。
最終ピッチの頃より、長次郎の頭下の大変急な雪渓で人型の黒い袋を4人くらいで降ろす救助訓練をしている。
平らなところに下ろすのと同時に富山県警のヘリが来て、人型の黒い袋を乗せて行った。ヘリは4回来て、一人づつ交番の方へ運んで行った。
しかし、何の問題もなく、あっと言う間にCの頭に着いたので、トップアウトが信じられなく、少し周りを見てみる。すると、ちょうど黒四からのロープウェーでご一緒だった夫婦の旦那さんが登って来た。やはり縦走路だ。
おじさんは少し話して登って行った。
私たちも荷物をまとめて、おじさんを追いかける。しかし、おじさんは早く。あっという間に離れて行く。
おじさんの残した懸垂スリングを各懸垂地点で、ありがたく使わせてもらい苦労して八峰懸垂まで終える。八ツ峰の頭へはアンザイレンし、バンドを4mくらい左へトラバースして凹角を登る。rieが上がって来るのを見ながら頭で確保。rieの背景にクレオパトラニードルが来て写真を撮る。
頂上には一張り分のテン場があり、ここで大休止。
時間が時間なので、本峰は止めて長次郎右俣を下降することに。池の谷乗越に40m懸垂で降りる。かなりグズグズだった。
池の谷乗越そのものには、雪は無く地面である。泊まるのも難儀しなそうだ。
そこでアイゼン付けて、いよいよ右俣を下降。このザラメ雪には急過ぎる雪渓をほとんどダガーのクライムダウンで降りる。
ロープ出そうかと訊くが、要らないとrieも頑張って下降。300mくらい緊張しながら降りる。
上部へ振り向けば、岩と雪と逆光のなんと美しいこと!

午後4時過ぎたくらいに熊の岩テン場着。急いで撤収し、水を汲んで、二人で全荷物を背負って、長次郎雪渓を更に下降。
五峰付近の急勾配を過ぎたあたりでアイゼンを脱ぎ、グリセード気味に飛ばして下降。
午後6時過ぎ、真砂沢ロッジ到着。
テントは4張りくらい居る。
ロッジテラスでは、お客さん二名と真砂沢ご主人が既に出来上がっている。
「おとっつあん、ふらふらだなー。おかっちゃんの方がしっかり歩いていたよー」と笑顔で迎えるご主人。
手続きをしている時にご主人が、エビアンを差し出してくれる。
突然、「1峰マイナーピーク東面スラブは知っているか?」と言いながら、写真を見せてくれる。
「500m快適なスラブ。剣で一番大きい壁」と端的に説明される。ご主人のこのスラブ壁に対する並々成らぬ愛情が見えてしまった。それを聞いた途端、私も登ってみたいなーと思えた。
とにかく、とても良さそうな人で、いつかこの宿に2泊して東面スラブを登ってみたいと思った。
テントを張り、外にテントマットを敷いてストレッチし食事。
rieが買ってきてくれたラーメンもこれが最後。味わって食べる。

3日目

4時20分出発。
三ノ沢出合で雪渓を使って剣沢を右岸に渡る。少々、薮っぽい早期の登山道を下流方面へ歩く。
内蔵助平へ向かう登りに入る。ハシゴ谷乗越というだけあり、ハシゴ場多数。けっこう疲れる。
内蔵助平に来るとここから先は下草が刈ってある。内蔵助谷の素晴らしい水量に癒されながら歩く。大分下がったところで崩壊地にさしかかる。鎖やロープが付いているが、結構恐い。足下の石が遥か下の谷へと、どんどん落ちて行く。
なんとか通過し、少し行くと右側に黒部の巨人丸山東壁の威容が黒々と見える。誰も登っていない。
壁方面から沢が落ちてきているところで、大きな雪渓が登山道を塞ぐ。雪渓の下を急いで通過。
そこから20分弱くらいで、内蔵助谷出合到着。後は、水平道を遡る。
小さな沢を越す橋のところから後ろを振り向くと、その沢の上流には素晴らしい滝掛かっている。丸山沢だ。

その後、作業儀を着た3人組とすれ違う。ゴールがもう直ぐだということが伝わってくる。
霧雨が降り始め、それが黒四観光放水のものだと気が付くのに時間は掛からなかった。
最後の美しい原生林の登りを喘いでダムまで上がる。
午前11時、黒四トローリーバス駅着。

<登攀装備>
団体
ロープ8.6mm x 50m 2
カラビナ 6
ロックカラビナ 9
クイックドロー 3
アルパインクイックドロー60cm 2
アルパインクイックドロー110cm 7
アルパインクイックドロー7mm丸 4
自作スリング6mm丸 1
タイオフチューブテープ14mm 3
ソースリング20mm 1
ソースリング8mm 1
ソースリング8mm 2
自作スリング20mmテープ 1
自作スリング19mmテープ x 70cm 2
ナッツ(BD)#4〜#13 各1
ハーケン軟鉄兼用7cm 2
ハーケン軟鉄タテ7cm 1
ハーケンクロモリ兼用5cm 3
ハーケンクロモリアングル 3
8環 + ロックカラビナ 1

個人A
ハーネス 1
ルベルソ初代型 1
ロックカラビナ 1
ロックハンマー 1
ハンマーホルダー 1
セルフビレースリング + ロックカラビナ 1
懸垂下降バックアップテープ + カラビナ 1
プルージック丸スリング 2
革手袋 1
ロックシューズ 1
ヘルメット 1

個人B
ハーネス 1
ATCロックカラビナ 1
セルフビレースリング + ロックカラビナ 1
懸垂バックアップテープ + ロックカラビナ 1
アイスハンマー 1
ハンマーホルダー 1
ナッツキー 1

<一般装備>
団体
テント2人用
テント雪ペグ
2万5千分の1地図
登山地図
ルート図コピー
ロウソク
ビリー缶中
ガスヘッド

個人
ザック
夏登山靴
靴下
登山ズボン
帽子
サングラス
Tシャツ
長袖シャツ
アイゼン12本
ピッケル
薄手手袋
スパッツ
カッパ上下
フリースジャケット
ダウンジャケット
冬長袖下着
冬タイツ
シュラフカバー
マット
おやつ袋
緊急袋(医薬品、予備ヘッデン、お茶)
ザックカバー
ヘッデン
お守りネックレス(コンパス、ナイフ、笛)
ガス1.7個
予約できる山小屋
雷鳥沢ヒュッテ
剱澤小屋

感想

1日目に救助に関った事故、2日には目撃した事故。状況は少し違うけど、どちらもシュルンドへ落ちた事故。片方は、何とか歩いて帰れる事故。もう片方は無言の帰宅となった事故。なんとも言いようが無い。
私たちも気を付け合わないといけないと思った。

変わって、真砂沢のご主人は素晴らしかった。ぜひ、また行きたいと思う。

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