上の廊下〜志水哲也さんと行く黒部源流の旅〜
- GPS
- 73:04
- 距離
- 29.7km
- 登り
- 1,971m
- 下り
- 2,053m
コースタイム
8月11日(日)奥黒部ヒュッテ6:10-9:35口元ノタル沢出合-12:30中ノタル沢出合
8月12日(月)中ノタル沢6:10-7:50金作谷出合-14:30立石-16:10立石奇岩
8月13日(火)立石奇岩5:43-7:25登山道-8:30薬師沢小屋9:10-11:10太郎平小屋11:30-13:30折立
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
服装について:モンベルのライトネオプレンのタンクトップとショーツを用意し、下にファイントラックのスキンメッシュ下着をきこみました。結構、皆震えていましたが平気だったのは、ネオプレンを着込んだから?(皮下脂肪説も〜)。別に転んで膝を打つわけではないのですが、淵を上がる時に何度も膝や脛を突くので、アザだらけになります。クッション性の良い膝当て、脛当てがあったほうがよいとおもいます。靴は、フェルトで出かけましたが、アクアステルスでも支障ないのではないかと思います。 渡渉は深いところで首まで、泳ぎあり、ザイル確保が必要。ポイントは口元ノタル沢出合上のゴルジュとその後の渡渉。金作谷出合上のゴルジュ、スゴノ淵のゴルジュで、いずれも深い渡渉や泳ぎを必要とします。水量的には9月上旬がベストとのことです。 |
写真
感想
これまですべて単独ででかけていましたが、今回思い切ってガイド山行に参加してみました。参加資格は一応、沢登り中級以上対象、具体的には10本以上とのことですが、電話で山行歴の聴取があります。
【1日目】 始発の長野行き新幹線に乗り、長野から扇沢までバスで移動。これで黒部ダム12時の集合時間には充分間に合いました。
黒部ダム遊覧船乗り場からチャーターボートにのり、黒部湖バックウォーターに着岸し、ここから1時間のあるきで奥黒部ヒュッテ着。ヒュッテでミーティング。メンバー同士は皆初対面ですが、自分以外は皆さん一回以上、志水さんの山行に参加されています。
もとクライマーのAさん、市民マラソンもこなすTさん、現在、山岳会に所属しているIさん。Tさんは、上の廊下2回目。Aさんは以前上の廊下の山行に参加されていますが、悪天で東沢谷に転進、今回はリベンジとのこと。参加者の年齢は40才台〜60才台前半で、今回は皆男性。サイトに着いたら、自発的にタープ設営をはじめるような、集団生活が身についた人ばかりで、体力的にも余裕のある人がそろっていました。
今年の北陸地方の梅雨明けは、8月3日と遅かったものの、8月6日からは連日晴れ模様。奥黒部ヒュッテの情報では、3日前に入渓したパーティは遡行できず撤退したとのこと。ただ、好天が続き日に日に水位は下がってきているはず。
【2日目】 奥黒部ヒュッテから黒部本流まで下り、第一回目の渡渉でロープを出します。ここは、難しくないのですが、ロープワークを確認。この辺りの水量は例年並ではないかとのことでしたが、あとで今年は、水量が多いと判明。やはり梅雨明けが遅かったからでしょう。
時には胸まで水につかりながら渡渉を繰り返し、下の黒ビンガの岸壁をみて口元のタル沢出合上流のゴルジュに到着。志水さんは右岸(左側)を主にへつりで突破。後続はロープを手繰り、一部泳いで進みます。
口元のタル沢出合後のゴルジュを過ぎて渡渉ポイント。ここは、過去に遭難者が出ていて、水量が多いと一番悪い渡渉箇所と志水さん。志水さんはハーケンを打ち振子渡渉。後続はザイルにカラビナを通して渡る。自分が後続一番手で、3/4くらい渡ったとき、急に流れに巻き込まれ頭から水をかぶったまま身動きが取れなくなる。ザイルを手繰ろうとしても水圧で進めない、自分が2番手なのでザイルで確保中の志水さんも救助に来られず。沢で遭難者が頭から水をかぶったまま何分も身動きがとれず、そのうち力尽きて流されてゆく記録を読んだことがあるが、まさしく自分がその状況に置かれていると思った(志水さんもそう思ったらしい)。しかし、ザイルをつかみながらジリジリと振子の要領で水圧の中を2〜3mトラバースすると川底が浅くなり、なんとか自力脱出できた。気が付くと、ヘルメットは剥がれ、スパッツも手袋もベルクロがめくれてものすごい疲労感、「Neuronさん、大丈夫?」と志水さんから声がかかる。
この後は、たいした渡渉はなく、河原歩き。雪を戴いた薬師岳のカールも見える。約一時間で本日の幕営地、中ノタル沢、スゴ沢出合に到着。右岸の砂地にタープを設営、早くついたので昼寝をしている間に衣類が乾いていしまった。Tさんは釣りに出かけ尺岩魚を釣り上げた。
【3日目】 幕営地から30分ほどで上ノ黒ビンガ。カメラに収まりきらない大岸壁がそそり立つ。さらに2時間ほどで金作谷出合を左岸に見送ると、ゴルジュ地帯が始まる。最初の渕に着くと、先行パーティーが左岸のへつりをトライしていたが断念。志水さんも試みるが難しく、ギャラリーが注目する中、志水さんは右岸に渡り難しいへつりと渡渉で何とか突破、歓声が上がる。次の流れのある渕では左岸を上流に向けてへつった後、志水さんが流されながら右岸に泳いで渡り、我々はロープに引かれて泳ぐ。
スゴノ淵は左岸を小さく巻き、懸垂下降したが、その後の渡渉がいやらしかった。後続パーティは右岸からやってきた。結局3日目は10時間行動で、立石奇岩の幕営地に着いたのは16時だった。Tさんは、疲れているだろうに釣りに出かけた。
【4日目】水量もだいぶ減って、今日は上半身は濡れないなんて噂もあったが、やはり胸までの渡渉あり。3時間で薬師沢小屋到着。ここで、志水さんとはお別れ、四人で折立へ向かう。暑くてばてながらも、最終バス30分前に下山できた。富山駅前の銭湯に入って、打ち上げ後解散。
志水さんによると、ヤマケイのDVDはかなり水量が少ない時のもので、今回はその倍くらいとのこと。今回の水量では、自分がトップで行ける気は全くしません。行けるとしたら、最渇水期の九月上旬か沢の下降でしょうか。遭難事故も多いので、単独入渓はつつしみましょう。
今回の「上の廊下」は3泊4日で6万5千円。これに奥黒部ヒュッテの宿泊費8800円、食費+αで3000円が交通費以外に必要です。登攀具以外の共同装備(幕営具、食料)は各自で分担します。ガイドは志水さん一人です。
コメント
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Neuronさん、はじめまして、こんにちは。
おそらく我々が金作谷出合で幕営(2人用×2)していたときに、抜かされていったパーティの方だと思いましたが、違いますでしょうか? 先頭を歩かれていたのは志水さんだったのですね・・・ビデオなどで拝見していたのですが、判らなかったです。
今回、上ノ廊下は全員初見だったので、険悪な場面になるたびに、弱気になる自分自身を奮い立たせながら進んでいったため、肉体的疲労はもとより、精神的疲労がすごくて、毎日お昼過ぎに幕営を決め込む有様でした(笑)
しかし、上ノ廊下の水圧は、見た目の数倍ぐらいあって渡渉のたびに本当にさいなまれました。頭や顔面が浸かったままになった仲間のショルダーベルトを引き上げたことも、引き上げられた事も何度かありましたね! 多分、同じ状態を言われているのだと思いました。
今回はDVDの水量の倍でしたか・・・納得です!
クマ
クマさん、初めてかと思いましたら、実は以前、立山BCでもコメントいただいておりビックリ。
初見で、あの水量のなか自力遡行完遂、素晴らしいです。
私の水没箇所は、お仲間が流された場所と同じでしょうか、一見簡単そうに見えて、水流が強く、下り気味に渡渉して行くと、流れにつかまりました。頭から水を被ったまま進めなくなった時、本当に死ぬかと思いました。
おっしゃる通り、見た目ではわからない水圧がかかる時がありますね、上の廊下の恐ろしさを痛感しました。
Neuronさんのレポートは、よく参考にさせていただいているので、山スキーのレポートにコメントさせていただいておりました。失礼しました。
現地でちょっと話していたのですが、シットハーネスをしていて激流のなかで転倒した場合、多分、確保者はロープを引っ張って転倒者が流されないようにしますが、ヘソあたりが支点になって足を水流にすくわれているので、ロープが引っ張られば、引っ張られるほど、頭を水面から上に出せなくなってしまうのです。つまり、この場合、確保者はロープをゆるめないといけないということです!チェストハーネスやフルボディならOKなのですが、シットハーネスならではの盲点ですね。
クマ
参考にさせていただきます。
Neuronさん、こんばんはー
上ノ廊下は何とか自力で行きたいので、記録参考にさせていただきます!。
一方で、志水さんは大変興味のある登山家(沢や、写真家)でもあるので、一度ガイド山行に参加して、ご本人の過去の遡行の話とか聞いてみたいという誘惑もあります。
経済的問題もあるので、色々悩ましい日々です。
ともあれ、好天の上ノ廊下遡行羨ましい限り、おつかれさまです。
初めてのガイド山行で、いろいろためになりました。
でも自力だったら(しかも単独だったら)、
もっと感動するかもしれないとも思ってます。
つたない記録ですが、参考にしていただければ幸いです。
来シーズンの健闘をお祈りいたします。
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