記録ID: 3375902
全員に公開
沢登り
日高山脈
日程 | 2021年07月20日(火) ~ 2021年07月22日(木) |
---|---|
メンバー | |
天候 | 7/20 晴れ 7/21 晴れ時々曇り→曇り 7/22 晴れ時々曇り |
アクセス |
利用交通機関
札内川ヒュッテにバイクデポ
車・バイク
経路を調べる(Google Transit)
|




地図/標高グラフ


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コースタイム [注]
- 1日目
- 山行
- 11時間32分
- 休憩
- 1時間55分
- 合計
- 13時間27分
- 3日目
- 山行
- 10時間5分
- 休憩
- 1時間12分
- 合計
- 11時間17分
コースタイムの見方:
歩行時間
到着時刻通過点の地名出発時刻
ルートの軌跡は一部手動入力です。
コース状況/ 危険箇所等 | 【稜線上の主なテン場】 札内分岐 2張 札内分岐のすぐエサオマン寄り 1張 札内分岐とエサオマンの間 1張 エサオマントッタベツ岳 1張 ・1760ピーク 2張 ・1760ピークから南に20分下った所 1張 ナメワッカ分岐 2張 シュンベツ岳 1張 1917m峰 1張 ・1732コル 2張 1903峰への分岐 1張 カムイエクウチカウシ山 2張 【水場】 ルート上にあるのは北東カールと八ノ沢カールのみ。 シュンベツ岳付近の十ノ沢カールは標高差もあり、上り下りが大変そう。 九ノ沢カールは1732コルから短時間で取水に行けると思う。 |
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過去天気図(気象庁) |
2021年07月の天気図 [pdf] |
写真
感想/記録
by se11482
6月のカムエク〜コイカクに続き、今夏の日高縦走第2弾として未踏のエサオマン〜カムエクを繋ぎに行ってみた。
この区間は夏山ガイドにも記載されているし、山と高原地図にも破線ルートが書かれていて、日高の稜線としては割と歩く人は多い区間なんだと思う。そこで、エサオマン〜カムエクにナメワッカ岳へのピストンも加えた4日(+予備1日)行程で計画。稜線繋ぎと、日高で最も困難な山の登頂を同時に達成してしまおうという目論見だった。
エサオマンの長い沢を遡行できるか心配だったので、7月初めに日帰りで1300m辺りまで下見もして、本番に備えた。
【1日目 7/20】
前夜に札内ヒュッテにバイクを置きに行ってから車で戸蔦別林道に向かい、通行止め地点で車中泊して出発。
林道は残雪期に歩いた時よりも藪っぽくなっていて見通しが悪い。蕗が食いちぎられた跡や熊糞も多く、かなり熊の気配が濃かった。エサオマン戸蔦別林道はさらに藪が濃く、完全に自然と同化していて時折踏み跡を見失ってしまうほどだった。
エサオマントッタベツ川に入渓。997の山スキー沢出合まではゴーロや岩盤の多い平坦な沢歩きが延々と続く。河畔に踏み跡もあるらしいが、藪に覆われてよく分からなかった。適当に渡渉しながら進む。1280の滝を巻いて上がると、この沢名物のナメ滝が現れた。ウォータースライダーのようにツルツル滑るのを想像していたのだが、意外と凸凹が多くて足掛かりはしっかりした感じ。傾斜がついてくる所は左岸の藪も掴みつつ、着実に登って行けた。
北東カールで水9Lを満タンにし、沢靴から登山靴に換装して稜線に向かう。それまでの涼しい沢登りから一転、ザックの重さも相まって拷問のような登りだった。稜線に出れば風が吹いて涼しいだろう・・・と思いきや、無風。先が思いやられる。
札内分岐で水やテントなど重量物をデポして山頂へピストン。踏み跡はそこそこあるが、ハイマツが被る所も多かった。初登頂のエサオマンからは、北日高の素晴らしい眺望が広がっていた。好天の日に登れて良かった。
札内分岐に戻り、主稜線を南下する。札内分岐の少し先までは踏み跡があったが、そのうち無くなってしまう。稜線上は濃密なハイマツでびっしりと埋まっていた。十勝側の草地に踏み跡があり、そこをトラバース気味に進むと歩きやすいのだが、注意しないと下りすぎて稜線を外してしまう。稜線に戻るのもかなり消耗した。
この日は下界は35℃の猛暑日。熱中症のような症状をなんとか抑え込みながら・1760ピークに付いたころにはもうヘトヘトだった。初日にナメワッカ分岐まで行く計画だったが、猛暑と予想外に濃いハイマツにやられてたどり着けず。水の残量などを考慮し、今回はナメワッカ岳は断念することに・・・。
水の消費量:3.9L
【2日目 7/21】
この日は初日に比べれば少しはマシな暑さだ。まずはナメワッカ分岐へ進む。札内川10.5の沢源頭のコルに降りて登り返すが、この辺もハイマツが濃い。エサオマン〜カムエク間で最もハイマツが濃いのは札内分岐〜ナメワッカ分岐ではないだろうか。
ナメワッカ分岐からシュンベツ岳〜1917m峰までは岩と濃密なハイマツが交錯する。アップダウンと暑さで水の消費も進み、あまりペースも上がらない。明瞭な踏み跡は多くないが、岩場の急登を越えて1917m峰直下まで来るとようやく歩きやすくなった。
1917m峰からカムエク北面を見たかったのだが、ちょうどガスって視界が無くなってしまった。ガスが抜けるのを待とうかとも思ったが、大量の虫が周囲を飛び交っていて不快なのでそそくさと下る。
・1732コルには快適そうなテン場があった。ガスって視界も無いし、明日はカムエクを乗っ越して下山するだけなので、ここまで来れば十分だろう。テントを張って、ラジオを聴きながらごろごろしていたら夜になった。
水の消費量:3.3L
【3日目 7/22】
3時過ぎに起床。ガスは大分抜けているようだった。5時過ぎに出発し、1903m峰へ向かって登る。昨日は見えなかったカムエク北面の姿も見ることができて嬉しかった。急峻さが際立っていてカッコイイ。でも、個人的にはピラミッド峰から見た姿が一番好きかな。
分岐から主稜線をそれて、背の低いハイマツと岩の稜線を20分弱進むと1903m峰に着いた。ここから見渡す主稜線の山々や九ノ沢カールの景色は素晴らしかった。
1903分岐からカムエクまでは最後の大きなアップダウンがあるが、踏み跡もそこそこある。十勝側の草地を使ってコル付近まで下り、背の低めのハイマツを登り返すと先月泊まった頂上直下のテン場に出た。1か月ぶりのカムエク頂上、ちょっとモヤがかかったような景色ではあったが、好天で登れて良かった。
カムエクから八ノ沢に下ると多くの登山者とすれ違う。下山までに20名くらいとスライドしたかな。さすが二百名山だな〜と思った。八ノ沢カールに降りた時点で水の残量は1.5Lだった。そこそこ余裕はあったようだ。
歩き慣れた八ノ沢を下るが、暑さと疲労で集中力が切れそうだった。七ノ沢出合からの道路歩きも地味に長い。濡れた足で長時間歩いてきたせいか、足裏も痛くてたまらなかった。
札内川ヒュッテからデポしておいたカブで戸蔦別川林道に移動し、車を回収して無事に終了。
水の消費量:3.8L
【まとめ】
3日間ともまったく雨が降らず、天候に恵まれたといえば聞こえはいいのだけど、暑さと予想外に濃い藪には苦戦した。それでも、未踏のエサオマントッタベツ岳を好条件で登れたのは嬉しかったし、沢〜尾根〜沢という感じで日高らしい山行ができたのも良かった。ナメワッカ岳登頂が果たせなかったのが唯一の心残り。
【ナメワッカ岳登頂ルートについて】
ナメワッカ岳に直接突き上げる沢(ポンベツ沢、シュンベツ川など)はどれも上級者向きで難しそうな沢ばかり。この山を安全に登るには、主稜線のナメワッカ分岐から藪漕ぎで往復するのが最も確実だと思う。北大山の会編「日高山脈」(1971年)にもそのようなことが書いてある。
ナメワッカ分岐までのルートは今回と同じようにエサオマントッタベツ川からでもいいのだが、「北海道の山と谷2」を読んでいると札内川10.5の沢から主稜線に上がったほうが早いかもしれない。八ノ沢出合まではカムエク登山で慣れた道だし、うまく行けば幌尻ゲートから10時間くらいでナメワッカ分岐まで行けるのではないだろうか。今後、10.5の沢の下見もしつつ、最短かつ容易な登頂方法を検証してみたい。
この区間は夏山ガイドにも記載されているし、山と高原地図にも破線ルートが書かれていて、日高の稜線としては割と歩く人は多い区間なんだと思う。そこで、エサオマン〜カムエクにナメワッカ岳へのピストンも加えた4日(+予備1日)行程で計画。稜線繋ぎと、日高で最も困難な山の登頂を同時に達成してしまおうという目論見だった。
エサオマンの長い沢を遡行できるか心配だったので、7月初めに日帰りで1300m辺りまで下見もして、本番に備えた。
【1日目 7/20】
前夜に札内ヒュッテにバイクを置きに行ってから車で戸蔦別林道に向かい、通行止め地点で車中泊して出発。
林道は残雪期に歩いた時よりも藪っぽくなっていて見通しが悪い。蕗が食いちぎられた跡や熊糞も多く、かなり熊の気配が濃かった。エサオマン戸蔦別林道はさらに藪が濃く、完全に自然と同化していて時折踏み跡を見失ってしまうほどだった。
エサオマントッタベツ川に入渓。997の山スキー沢出合まではゴーロや岩盤の多い平坦な沢歩きが延々と続く。河畔に踏み跡もあるらしいが、藪に覆われてよく分からなかった。適当に渡渉しながら進む。1280の滝を巻いて上がると、この沢名物のナメ滝が現れた。ウォータースライダーのようにツルツル滑るのを想像していたのだが、意外と凸凹が多くて足掛かりはしっかりした感じ。傾斜がついてくる所は左岸の藪も掴みつつ、着実に登って行けた。
北東カールで水9Lを満タンにし、沢靴から登山靴に換装して稜線に向かう。それまでの涼しい沢登りから一転、ザックの重さも相まって拷問のような登りだった。稜線に出れば風が吹いて涼しいだろう・・・と思いきや、無風。先が思いやられる。
札内分岐で水やテントなど重量物をデポして山頂へピストン。踏み跡はそこそこあるが、ハイマツが被る所も多かった。初登頂のエサオマンからは、北日高の素晴らしい眺望が広がっていた。好天の日に登れて良かった。
札内分岐に戻り、主稜線を南下する。札内分岐の少し先までは踏み跡があったが、そのうち無くなってしまう。稜線上は濃密なハイマツでびっしりと埋まっていた。十勝側の草地に踏み跡があり、そこをトラバース気味に進むと歩きやすいのだが、注意しないと下りすぎて稜線を外してしまう。稜線に戻るのもかなり消耗した。
この日は下界は35℃の猛暑日。熱中症のような症状をなんとか抑え込みながら・1760ピークに付いたころにはもうヘトヘトだった。初日にナメワッカ分岐まで行く計画だったが、猛暑と予想外に濃いハイマツにやられてたどり着けず。水の残量などを考慮し、今回はナメワッカ岳は断念することに・・・。
水の消費量:3.9L
【2日目 7/21】
この日は初日に比べれば少しはマシな暑さだ。まずはナメワッカ分岐へ進む。札内川10.5の沢源頭のコルに降りて登り返すが、この辺もハイマツが濃い。エサオマン〜カムエク間で最もハイマツが濃いのは札内分岐〜ナメワッカ分岐ではないだろうか。
ナメワッカ分岐からシュンベツ岳〜1917m峰までは岩と濃密なハイマツが交錯する。アップダウンと暑さで水の消費も進み、あまりペースも上がらない。明瞭な踏み跡は多くないが、岩場の急登を越えて1917m峰直下まで来るとようやく歩きやすくなった。
1917m峰からカムエク北面を見たかったのだが、ちょうどガスって視界が無くなってしまった。ガスが抜けるのを待とうかとも思ったが、大量の虫が周囲を飛び交っていて不快なのでそそくさと下る。
・1732コルには快適そうなテン場があった。ガスって視界も無いし、明日はカムエクを乗っ越して下山するだけなので、ここまで来れば十分だろう。テントを張って、ラジオを聴きながらごろごろしていたら夜になった。
水の消費量:3.3L
【3日目 7/22】
3時過ぎに起床。ガスは大分抜けているようだった。5時過ぎに出発し、1903m峰へ向かって登る。昨日は見えなかったカムエク北面の姿も見ることができて嬉しかった。急峻さが際立っていてカッコイイ。でも、個人的にはピラミッド峰から見た姿が一番好きかな。
分岐から主稜線をそれて、背の低いハイマツと岩の稜線を20分弱進むと1903m峰に着いた。ここから見渡す主稜線の山々や九ノ沢カールの景色は素晴らしかった。
1903分岐からカムエクまでは最後の大きなアップダウンがあるが、踏み跡もそこそこある。十勝側の草地を使ってコル付近まで下り、背の低めのハイマツを登り返すと先月泊まった頂上直下のテン場に出た。1か月ぶりのカムエク頂上、ちょっとモヤがかかったような景色ではあったが、好天で登れて良かった。
カムエクから八ノ沢に下ると多くの登山者とすれ違う。下山までに20名くらいとスライドしたかな。さすが二百名山だな〜と思った。八ノ沢カールに降りた時点で水の残量は1.5Lだった。そこそこ余裕はあったようだ。
歩き慣れた八ノ沢を下るが、暑さと疲労で集中力が切れそうだった。七ノ沢出合からの道路歩きも地味に長い。濡れた足で長時間歩いてきたせいか、足裏も痛くてたまらなかった。
札内川ヒュッテからデポしておいたカブで戸蔦別川林道に移動し、車を回収して無事に終了。
水の消費量:3.8L
【まとめ】
3日間ともまったく雨が降らず、天候に恵まれたといえば聞こえはいいのだけど、暑さと予想外に濃い藪には苦戦した。それでも、未踏のエサオマントッタベツ岳を好条件で登れたのは嬉しかったし、沢〜尾根〜沢という感じで日高らしい山行ができたのも良かった。ナメワッカ岳登頂が果たせなかったのが唯一の心残り。
【ナメワッカ岳登頂ルートについて】
ナメワッカ岳に直接突き上げる沢(ポンベツ沢、シュンベツ川など)はどれも上級者向きで難しそうな沢ばかり。この山を安全に登るには、主稜線のナメワッカ分岐から藪漕ぎで往復するのが最も確実だと思う。北大山の会編「日高山脈」(1971年)にもそのようなことが書いてある。
ナメワッカ分岐までのルートは今回と同じようにエサオマントッタベツ川からでもいいのだが、「北海道の山と谷2」を読んでいると札内川10.5の沢から主稜線に上がったほうが早いかもしれない。八ノ沢出合まではカムエク登山で慣れた道だし、うまく行けば幌尻ゲートから10時間くらいでナメワッカ分岐まで行けるのではないだろうか。今後、10.5の沢の下見もしつつ、最短かつ容易な登頂方法を検証してみたい。
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この記録で登った山/行った場所
- カムイエクウチカウシ山 (1979m)
- エサオマントッタベツ岳 (1902m)
- 七ノ沢出合 (590m)
- 八ノ沢出合 (680m)
- 春別岳 (1855m)
- ナメワッカ分岐 (1810m)
- 札内分岐 (1869m)
- 札内川ヒュッテ (500m)
- 神威北東尾根末端 (630m)
- びれい橋 (580m)
- エサオマントッタベツ川ガケノ沢分岐 (730m)
- コイボクカール
- 八ノ沢カール
- エサオマントッタベツ川山スキー沢出合 (997m)
- エサオマントッタベツ北東カール
- 三股 (999m)
- コイカクシュサツナイ岳登山口
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トレッキング | クライミング | 富士山 | 高尾山 | 日本百名山 |
またまた困難なトレッキングを繋ぎ完遂されましたですね、
国土地理院 地形図 を参照しながら貴重な記録を拝見しました。
強靭な体力を駆使しての山行は想像を絶するに余りあります。
おかげさまで僕には簡単に観れない稜線の素晴らしい山群が堪能でき
精神的パワーまでも戴きました。ありがとうございます。
次の記録もまた楽しみにしております。
エサオマンとカムエクは単独ではよく登られている山ですが、2座を繋いで縦走する人は少ないです。
実際に歩いてみると、困難さと引き換えに素晴らしい景色を見ることができました。
今年中にあと数回は日高縦走をやりたいところです。良い報告ができるよう安全第一で行こうと思います。
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