室堂から剱沢、仙人新道、裏剣の絶景から欅平へ


- GPS
- 21:08
- 距離
- 38.3km
- 登り
- 4,362m
- 下り
- 6,017m
コースタイム
21日: 雷鳥沢キャンプ場4:32-5:57剱御前小屋-6:16別山6:26-6:41御前小屋6:47-7:18剱沢小屋7:22-8:42真砂沢ロッジ8:50-9:44二股9:50-10:26三の窓雪渓
鑑賞ベンチ10:34-11:24仙人峠-11:52池の平小屋
22日: 池の平小屋4:10-4:55仙人池ヒュッテ5:52-7:29仙人湯小屋7:38-8:08(1629m)ピーク-9:40仙人ダム-9:56関電人見平宿舎10:03-10:48阿曽原小屋-12:41
折尾谷12:55-13:47志合谷トンネル14:05-15:42欅平坂上(861m)-16:04欅平16:40-17:25祖母谷温泉
天候 | 夜間・明け方薄曇りがあったがほぼ一貫して晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
コース状況/ 危険箇所等 |
剱沢小屋-真砂沢ロッジの間は約半分が雪渓上、雪面固いので軽アイゼン推奨。以後雪上歩行はごく僅かで問題なし。 |
予約できる山小屋 |
剱澤小屋
|
写真
感想
9月連続三連休の二週目、先週の栂海新道のロングトレイル走破では左膝を痛めてしまい、大分良くなったがハードコースには不安があるので、今度はスタンダードなコースにしようと思った。紅葉の始まりに期待して裏剣の絶景を眺める仙人新道を考えた。折しも中秋の名月ともほぼ合い、山で月の写真も面白かろうと思った。そこでテント装備にカメラはデジタル一眼、長焦点の替えレンズと三脚も持って、本年随一の重量山行となった。
9月20日 金曜日早引けして最終のアルペンルート高原バスで室堂へ向かう。弥陀ヶ原手前で日の入りを迎え、室堂に着いてヘッドランプ点灯で雷鳥沢キャンプ場に下りた。十六夜だが、東側は立山が聳えているので月が出てテント場を照らすのはかなり夜が更けてからだった。
21日 夜明け前に出発して剱御前小屋目指して雷鳥坂を登る。称名川床から離れると高い樹林のない見通しの良い道となり月明りだけでヘッドランプも要らない。次第に白けて来て御前小屋で丁度朝焼けの剱岳の光景に間に合った。荷物をデポして別山を往復、南峰の標高2874mが今回の最高到達点となる。
再び荷を担いで剱沢の源頭を下降する。御前小屋から出発した人たちがぞろぞろ歩いている。半分位埋まった剱沢のテント場を抜けて剱沢小屋のテラス、小屋のスタッフに挨拶してさらに下降を続ける。最初は夏道だが、剱沢の沢筋が北向きから次第に東向きになるところで雪渓登場。秋の堅雪はツボ足のキックステップは全く聞かず、アイゼン使用が安心。平蔵谷出合も、長次郎谷出合も幅広い雪の斜面だ。長次郎を過ぎてナムノ滝で雪渓が切れ、左岸の夏道に上がるところまで8月初旬に来た時とあまり変わっていないように感じる。その先でまた雪渓に戻って真砂沢ロッジに近づいていくが、この辺は明らかに雪が減っている。もう皆出発してしまった時間なので真砂沢ロッジは閑散としていた。
この先は僕にとって未踏のルートとなる。と言っても基本は河原沿いの普通の道で、沢の横切り、水流上岸壁を材木のステップでへつる箇所もあるが増水してなければ問題ない。河原の石を伝う道ではマーキング、ケルンがある所は良いが見えないところは少し迷う。どこでも歩けるので方向定めて進めば良いのだが。吊り橋を渡って二股。これから登る仙人新道の急坂を予見させる沢の眺めである。
二股から巨岩の間、派手なペンキ表示に従い進めば、破線道の平の池方面への分岐には気づかず仙人新道に入る。いきなり急坂である。はっきりとした尾根道になって頑張っていると不意に現れる、長大な三の窓雪渓を従えた剱岳八ッ峰の雄姿である。これを見んがためにここまで来たんだと喜べる一瞬となる。さらに一頑張りでベンチに到達、さらに開けた裏剣眺望地点となっているので皆ここで休んでいる。ここまでで二股から仙人峠への約半分ということになっている。僕の場合この後の方が長くかかったが、さほど急坂でなくなってくるので苦労感覚としてはやはり丁度半分位と思った。仙人峠は割と単純な分岐箇所。東に仙人池ヒュッテが望め、僕は反対側に、下り基調の30分ほどで池の平小屋に達してお昼前に本日の行動終了。裏剣を見上げるテント場でビール片手にのんびり過ごす午後となった。
22日 今日は長丁場であることと、仙人池で夜明けを迎えたいので4時過ぎに池の平小屋を後にした。仙人峠に登り返し、木道を下って仙人池ヒュッテ、ヒュッテのすぐそばに仙人池の看板を立てた場所があるが、その南側の、草を分け入って20mほどで再び湖畔に出たところが絶景ポイントだ。池の平小屋からの眺めもなかなかだが、裏剣の眺めとしてはやはりここの方がより素晴らしい。十七夜の月とのコラボ、薄明、上空薄雲の朝焼け、そして稜線への朝日とどんどん様子が変わり、小屋泊まりの人たちも大勢出てきて撮影大会と化す。風もなく湖面の逆さ剱も見事である。忙しなくも楽しい1時間であった。
さて、剱岳よさらば、また見に来るぞ、登りに行くぞと仙人湯への下り道に飛び込む。沢沿いの、ロープを伝ったり悪い足場だったりでなかなか速やかには下れない道である。標高1600m辺りに雪渓横断もあった。仙人湯源泉の噴煙が対岸に見えてくるが、それを後ろ手に見るようになるまでしばし歩いて漸く仙人温泉小屋に到達。仙人池を出てから前後に登山者は全く見えなかった。ヒュッテ前には大勢の泊り客がいたので、少しはいるかと思ったが、認識できる限りで皆無だった。もっとずっと早く出た人はいたかも知れないが。あの時間(午前6時)より遅いと欅平に下りてトロッコ最終に間に合うのは難しい。三連休の中日だから、阿曽原温泉小屋までの人が多いのだろう。
仙人温泉小屋から少し下って丸木橋で沢を渡ると源泉の噴煙地、湯が沢になっている。石を動かして湯溜まりを作れば促成露天風呂が作れそうだ。一登りで1629mのピークに達すると、これから急坂で恐れられる雲切新道の下りだ。刈り払いが完全にはこなれていない道から始まって次第に傾斜を増し、数々のロープ、梯子を伝う道となる。頑張って整備しているという感じで、全体的には仙人温泉までの道よりは急ではあるがむしろ歩きやすいように僕は思った。坦々と下りて行くと次第に黒部川本流が見えて来て、遂に仙人ダムが木の間から見いだされた。最後の急坂を下りきって河畔に立つと、黒部川本流でなく仙人谷なのでダムは見えず、どこなの、という感じ。川沿いの道をしばし歩いて本流に出て、梯子の大軍を下りきってやっと仙人ダムに到着。指示に従ってダム施設内の通路、関電軌道の冬季通路を通り抜けて再び外に出たところが関電人見宿舎の前、ここで補給休憩とした。
仙人ダム周辺の人工物環境を離れると高熱隧道上の尾根への、標高差100mの登りとなり、登り切ってほっとしたらしばし平坦な散歩道、今度は100mの下り坂で阿曽原温泉小屋到着。ゴミ焼却だろうか、煙を上げて静かな雰囲気だった。少し下ってテント場で水補給し、先に進む。
阿曽原温泉小屋は標高800mだが、欅平への道は標高1000mまで登り返し、その後欅平の直前の急坂まで殆ど標高を下げない。この間黒部川は順調に下って行くので最後は川床より300m以上上の、しばしば断崖絶壁をへつる道となる。栃尾谷の手前の別の沢に栃尾の大滝があり、栃尾谷は堰堤の中に作られた通路を抜ける。抜けて堰堤に上がった所が休憩に良い。奥釣鐘山の大岸壁を対岸に臨む大太鼓の辺りは、針金の手摺の着いた道が延々と続き、岩盤くり抜き道も随所にある。足元はしっかりしているが、漫然として歩いてつまづいたりすると危険だ。志合谷のトンネルはガイドブック類にいろいろ書いてあるが、実物に接するとこりゃ凄いと思った。崩れやすく遅くまで雪も残る沢を通過するために作った、人がやっとすれ違える幅の真っ暗で長いトンネルなのだ。中は水が流れていて、靴がずぶ濡れになることもあると言うが、今回はそれほどでもなかった。しばしの洞窟探検気分を終えて一息つく。水平道はさらに延々と続き、斜面道が尾根道に変わって送電線鉄塔を潜る道になると漸く下り気味になり、尾根突端である「欅平」の道標。ここから右に折れてシジミ坂の急坂下り、標高差270mを一気に下りて欅平の駅横に下り立つ。ともかく、長かったぁが正直な感想。僕の場合、普通の山道なら登りでも下りでも標準
タイムの2割〜4割引位で歩けたが、この水平道で重量ザックでは殆ど標準タイム通りだった。
一日を通して、すれ違う人はそれなりにいたが、同じ方向で僕を抜く人も抜かれる人も皆無だった。阿曽原峠道が雲切新道に切り替わって所要タイムが1時間半ほど伸びてから、仙人池-欅平は一日の標準行程でなく完全に健脚行程になったのだ。期待した稜線での紅葉には未だ早かったが、天候には恵まれ、裏剱の絶景は期待以上で存分に楽しめた山行であった。
未だトロッコ電車に乗って富山に帰れる時間ではあったが、明日も休みだし、祖母谷温泉へ一歩きして露天風呂付キャンプの最後の一夜とした。テントの人たちは白馬岳から、あるいは唐松岳から、長大激坂コースを下りきって最後に温泉で生き返ろうと、僕と似た思いの人ばかり。湯船で苦労話に花が咲き、翌朝も僕を含めて多くの人たちが朝風呂も楽しんで帰途についた。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する