荒川岳敗退で伝付峠〜奈良田越え〜笹山縦走
- GPS
- 80:00
- 距離
- 25.7km
- 登り
- 2,767m
- 下り
- 2,465m
コースタイム
- 山行
- 4:31
- 休憩
- 0:19
- 合計
- 4:50
天候 | 1/18 晴れ /19 無風快晴 /20 雪時々曇り /21 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
昔、田代入口ってバス停だったよなぁ… 奈良田行バスは日に往復4本、下山時、1350のバスだと下部ホテルの立ち寄りに間に合わず。次のラストバスの場合、下部町営温泉も間に合わず。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【バス停〜内河内】 内河内沿いのルートはもうないようで(自分の持っていたエアリアはこの道)、発電所方向の沢を進んで『八丁峠』なるところを越えて内河内へ下る。この峠への登りがガレガレ、ただロープや目印ベタ打ちで迷うことはないだろう。 【内河内〜伝付峠】 目立った積雪は峠を下った先から。内河内沿いのルートは凍結箇所があるので、沢に落ちないように。アイゼンは使用しませんでした。保利沢小屋はいい幕営地。自分は二俣の尾根とっつきに幕営、翌日、尾根中盤から膝ラッセルで峠まで。水場は埋まっておらず水が取れた。水場付近も結構広い幕営地あり(積雪期だからか)。 【伝付峠〜奈良田越え】 基本林道歩き。積雪はおおむね膝丈、西面の林道崩壊地が多く、トラバースはかんじきだけでは怖い所もある。勝手に地図上での奈良田越えの位置を勘違いしていたので、結構無駄な尾根歩きをした部分ありました。忠実に林道をたどって二重山稜的なところまで行ってから、向かって右側の尾根に登って登山道に合流。積雪平均膝 【奈良田越え〜笹山】 テープ多いが、ガスるとわかりにくい所もある。白剥山の登りとその先のヤセ尾根のちょっとした急登がきつかった。早めにワカンアイゼン仕様にしておけばよかった。傾斜が落ちてくる笹山南峰南側は、ガス時、目印が減ってわかりづらくなるところもある。積雪平均膝 【笹山〜】 はまればアリジゴク、腹から胸まではまる。上部目立ったトレースなし。 |
その他周辺情報 | 女帝の湯 ぬるく貸し切りだったので1時間30分浸かっていた。 |
写真
感想
今年の冬はしっかり冬な感じ。日本海側では寒気の影響で大雪らしいが、ちょうど連休をとっていた日程の太平洋側の天気は良好のよう。夏に通ったことがあるわけではないが、かつてから南ア屈指の急登という話を聞いていたマンボー沢ノ頭までの登りも、1月中旬だったら何とかなるのではという淡い期待から、今回は伝付越え荒川岳往復のつもりで出かけた。
/18 下部温泉のバスに合わせると結構遅い出発となった。ワイドビュー富士川もなかなかいい味を出している、というよりも身延線自体がいい味なんだろう。無人の下部温泉駅でバスを待ち、いつものマイクロで伝付峠入口へ向かった。この数年、冬の奈良田率が高い。初めて来たときは『田代入口』だったよな。現在はリニア工事によりこの先の林道にもダンプが入っている。工事現場から先の林道の一部は凍結部分もあるがアイゼンを使うこともなく田代発電所まで着けた。
手持ちのエアリアは、そのまま林道を進んだ保利沢沿いにルートが書かれているが、いろんなネット記事を見ると全く違うところにルートが引かれているようだ。発電所を過ぎてすぐに河原に降りる。テープベタ打ちで迷うことはない。右岸に渡って埋まりかけている堰堤をいくつか越えると、再び左岸に移る。すると目の前には少し前から目についていた大ガレがあり、これの左側から尾根に取り付く。
ロープベタ張りで迷うことはないが、確かに急でどちらかといえば帰りの方が嫌かな。途中のやせたザレは、抜け口にとってつけたようなハシゴが取り付けられているが、近いうちになくなってしまう気がする。登りきると造林小屋跡が残っていたけれど、昔からこの道は存在していたんだろう。ここまで雪はほとんどない。
保利沢へは上流にトラバースしながら下ってゆく。こちら面は踏み跡にも雪が積もっていたけれど、これより少なくて凍っているのも嫌だし、多すぎると雪崩れてもおかしくない感じの斜面。河床まで下りて木橋で本流を渡ると、記憶に残っていた斜めになった金属の桟道や凍った岩棚のトラバース道となる。スリップすれば濡れネズミ、アイゼン着装しようか迷いつつ、雪も積もっていたので注意して歩き、結局保利沢小屋まで来てしまった。
結構いい時間になってきたがまだ明るい。明日いこのことを考えればよければ水場まで行きたいところ。整地もいらない小屋前を放棄して上流へ向かう。ここでピンクテープを追いすぎてかなり上部まで上がってしまった。ガレで踏み跡はつながっていない感じの所をよく探すと、かなり真下の沢沿いに桟道を発見、下れそうなところを降りて席ルートに合流した。どんどん暗くなり取水堰上で川を渡るところでヘッデン登場。最近目が悪くなったせいか、暗くなると岩の境目に水流があるかどうかの判別がつきずらい。少し登って上流へトラバースするが雪が多くなり、ルート状の感じがなくなるもののトラバースし続け、先に見える桟道にたどり着いた。テープを探しながら進むと再び左岸に渡る。地形を見れば二俣状、しかし完全なるヘッデン行動を要求される暗さ。替え電池を忘れたことから尾根取り付き手前に平坦地を見つけ、水も取れるし翌日の取り付きも確認してここで幕営。
/19 早起きしたもののあまりに暗すぎて二度寝する。気が付けば6時半過ぎ、今日の予定にどれくらい響くか。二股の中央の尾根状をジグきって登る。標高1800m過ぎて雪が膝下となりかんじき行動開始。カラマツ林をひたすらに登って水場に着く。まだ流れていたのでここで満水にする。登山道向かいにテント数張り可能な平坦切り開きがあった。さらに20分ほどで伝付峠着。この時点で雪は膝、結構時間がかかった感じだ。このままではマンボー登りにやられて荒川岳に着く感じがしない。最終日に保利沢小屋辺りにいないと温泉すら危ぶまれる感じだ。思案した挙句、つなげていないこともあり白根南陵を進むことに決定した。そういえばマンボー沢ノ頭というのは、本名をマンノー沢ノ頭と言い、その表記は『万斧沢ノ頭』で江戸時代に木材の切り出しがこの辺で盛んに行われ、たくさんの斧が入ったということからつけられた名前らしい。
はじめはこのままかんじきかと思っていると、意外に雪がついていない部分が多く、ただ膝の深さのところあったりしたので、かんじき爪の負担がなくまた歩きやすい雪深部分を選択して歩くところが多い。そのうち風通しが良さそうなところは林道と斜面の際、両側が樹林の所は膝上の深さというのがわかってきた。別当台山西側を歩いているときはだんだんつらくなってきて、正直帰ってしまいたくなったが、あと2日あるので夏タイム2倍かかっても、まぁ下山までたどり着けるだろうと思い進むことにした。コースのグレード落としたのに敗退したら来た意味もないし…ただ、この時点で正直地図のおおむねの位置しか把握できていなかったことが、明日の朝一に自分の中で衝撃を受けることになろうとは。
多分、別当代山から西別当代山辺りを歩いているんだろうなんて思っていたら、林道の感じがエアリアとさっぱり合ってない。林道のヘアピンカーブや林道に分岐があったりなど歩いてきた時間の感覚や地図と合っていなかったが、こんな時によく都合のいいように考えてしまうことがある。自分が勝手に奈良田越と勘違いした手前では、完全に雪がなくなりかんじきは脱いだ。奈良田越は鞍部と思い込んでいたので、小P状のコル周辺を道標を探して歩き回ったが見つからず、コンパスでも尾根の形状が合わない。たまたま覗き込んだ斜面からまだ先に広いコルが見えた。林道がなくなるまでたどらないと正規の奈良田越にならないようだ。『もうこれを下れば着くじゃん』と考え、暗くなりかけていたのもあり林道が直角に折れ曲がる広い平坦地で幕営した。夜に食べた娘が渡してくれた鬼滅の刃ウエハースにプレミアシールが入っていたのにびっくり。明日以降いいことがあるかもしれないと思いつつ眠りに着いた。
/20
朝から小雪、もうあとひと下りで奈良田越…でも林道のつづら折りの位置がおかしい。とりあえず下ってゆき昨日見た鞍部のような所にたどり着いた。それでも林道が北へ続いている。もうこの辺は膝上雪、樹林内のためひたすらラッセル。本当ならここらから尾根に取り付くはず…なんかおかしい。強制的に西側の尾根に取り付き、稜線伝いに歩く。でもテープなど一つもない。さらには西側がガレになっているガレぶちを歩くことになる。するとそのたどっていた尾根が下り傾向になり、再び林道にぶつかった。え?まさか?という感じだ。なんとなく気づき始めた。稜線西側に林道が通っているところ…まさにこの先が奈良田越だった。いくつか気付くポイントはあったはず。こうやって遭難してゆくこともあるんだろう。では泊まっていたところは?どうやら答え合わせをしてゆくと『広場』だったようだ。ガレぶちは『長ガレ』、これでつじつまが合った。林道をたどればルーファイもいらなかったと思うが、稜線伝いの方が雪が浅い部分が多かった気がする。
奈良田越に着くとなるほどそういう感じだ。ピンクテープも結構ぶら下がっていた。すぐに二重山稜状の東側尾根に取り付きこれが正規ルートと確信、廃小屋も出てきた。この日、気持ちが折られたこともあり足取りも重く、白剥山の登りが一番きつかった。そしてとても寒く、少し立ち止まるとあっという間に手指の感覚がなくなってゆく。ワカンアイゼンの設定で大きく休んだ以外、ほとんど休むことなく進み続けた。笹山手前のハイ松帯は風が強く、ガスっていればよく分からなかったろう。結果、笹山の幕営箇所まで夏なら5時間のところ、11時間かかった。南峰の東側に無風箇所があり、そこで幕営した。でもとにかく寒かった。
翌週レジャースキーに行く予定だった職場後輩から『コロナ感染しました』と報告メールがあった。この3日人と会うこともなく、まるでウィルスとは無縁だなと感じた。明日は温泉だ。そういえばこの日気付いたことがある。動物のトレースで鹿などの大型動物は雪の深さに関係なく歩いているが、小動物、とくにウサギは沈みにくい所を跳ねているようだ。結構ウサギ痕に助けられた気がした。
/21
風も強かったので笹山は2年前に来ていることから割愛した。よく考えればここくらいしかピークらしいところはなかったのに…誰も上がってきている痕跡はなく、下りラッセルで進む。はまると胸だ。テープを拾って潜らないようなコース取りをしても結構はまる。13時50分のバスに間に合うとは思うけれど、ひたすらに進む。温泉だけがモチベーションだ。ラストの階段を下り切り、ヘロヘロになってバス停に到着、予定通りの時間で着いたので1時間30分温泉に浸かっていたが、まるで寒気が取れなかった。下部温泉にもよればよかったかな?
結果、敗退ってことなんだよな。そして寒いのが年々嫌になっている自分がいるのも事実。今シーズンまた行くかな?1か月近くたっているが足先のしびれが取れないのはひもの締めすぎ?
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