南アルプスの女王（仙丈ヶ岳、地蔵尾根）
alpine3B
その他1人 
体力度について
- GPS
- 15:47
- 距離
- 30.2km
- 登り
- 2,785m
- 下り
- 2,397m
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- 山行
- 6:59
- 休憩
- 0:27
- 合計
- 7:26
| 天候 | 19 くもり 20、21 はれ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2022年03月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
21日下山時は道中の林道にも随所に車が止まっていたような…… |
| コース状況／ 危険箇所等 |
これといった危険地帯はない しかし地形図上2736直前の沢状は雪崩リスクがあるので長居は無用 gpsログ、何故か2日め地蔵岳のトラバースから松峰小屋への帰りの区間だけ途切れている |
写真
日射しは暖かいが登山口でも1100mあるので空気は冷涼
壁は風通しが良く（）、気のせいではない程度には傾いていて、誰かたき火をしたらしく土間は煤まみれですがこれでも建っているだけでエライのです。
3/20朝、6時に小屋出発。夜はパラパラ雪が降っていたがそこまで量は多くなかったらしい、むしろ雪面がしっかり締まっていていい感じ
P2736手前の沢状地形、夏道は向こうの尾根に渡るようだが雪崩のリスクもあるので横断はしたくない。ということで渡らずにアホみたいな傾斜をまっすぐ直登！
1
スケールがでっけえ。
最高
これはいかつい北岳・間ノ岳
長野県民ですが、寒さと低酸素に強くて大変頼りになりました（？）
どんな名画家でもこれ実物より格好いい雪山の絵は描けんやろなあ……
ちょっと前まで気温が上がってたんですかね？
昨日の写真ではボロクソ言いましたが普通に快適でしたよ？
ただ床の煤は勘弁してほしいが。
再びカモシカの骸を眺める。鼻先がなくなっていたり、首も明らかに落石での傷ではなさそうだったり、熊にやられたのかもしれんね。
と長野県民氏が言ってた。
鼻先がなくなっていたり、首も明らかに落石での傷ではなさそうだったり、熊にやられたのかもしれんね。
と長野県民氏が言ってた。
この辺の林道は地形図に乗ってないのにマジで縦横無尽に走っており、トレースを忠実に追っかけた方が良いと思う（といいながらこの後少し踏み外した）
うまい！
感想
年1回は泊の雪山をやりたいなあということで、白山百四丈滝を再訪しようかと思っていたが長野県民の友人を連れて行くことになったので南アルプス・仙丈ヶ岳を目指すことにした。雪山テント泊の経験はないので避難小屋が利用できるルートの中で、最も魅力的だったのがここである。
3/18
レンタカーを飛ばして一路長野へ。しかし道中はずーーーーっと雨。車中泊する道の駅に着いても雨。雪にならないあたり気温はちょっと上がってるらしい、地蔵尾根は1カ所雪崩が怖いのでやや不安を覚えつつ就寝。
3/19
朝7時に起床。雨は上がって所々雲が切れていた。同行者と合流し柏木登山口へ。準備を整えトータルで25kgほどの重荷を背負って出発（衣類が多すぎるかと思ったが、最終的にはそこまで過剰というわけでもなかった）。最初は陽の当たる気持ちのいい広葉樹林帯を進む。林道と何度も交差しながら進むが雪は当分出てこず、1800mのヤマレコGPS「地蔵尾根中間水場」地点まで雪山ギアは一切つけずに進む。ここからは雲に中腹の姿を隠した中央アルプスが望まれた。
その先は雪がほぼ切れずに続くようになりスパッツ装着。林道に出るとやや雪が多くなる。この区間でカモシカの骸があった。1940m鞍部からは同行者がスノーシューをつけて先頭へ、松峰との間の谷をぐるっと回り込むような形で進んでいく。登山道を行ったり林道へ降りたり、松峰を過ぎた1970m鞍部から始まる本日最後の一登りを背中の重荷から解放されたい一心で登りきり、少し下って15時過ぎに小屋到着。風通しの良い()傾いて煤けた小屋には単独の先客がいた。中でたき火をした人がいたためだと思うが床は煤まみれで、外へ出るため登山靴を履くと一瞬で手が真っ黒になって萎えた。晩飯の野菜餃子鍋（うまい）を食しつつ、今回の重荷の中明らかに無駄な荷物であるBeerを飲み干す、気分は地下労働施設で大槻班長にビールを振る舞われたカイジのそれである。外は雪がちらついていたが、小屋の中は快適……快適？まあとにかく、寝袋にくるまって就寝、熟睡はできなかったもののまどろみ程度の休息をとることはできた。
3/20
この日が仙丈ヶ岳アタックの本番、午前4時半に起床。氷点下の小屋内でお湯を沸かし朝食を摂る。標高2000mの3月ともなると登山靴もバリバリに凍り付いていた。夜中に雪はちらついていたものの大量に降り積もったわけでもなく、むしろ雪面は昨日より堅く締まっていてアイゼンだけでいけそうな感じである。6時に出発、身体が温まってくるまでは氷の登山靴にくるまれた脚の指先がたいへん痛かった。
仙丈ヶ岳への道のりは、
350↑、→（トラバース）、70↑、40↓、90↑、→、300↑、200↑、100↑
という感じである（地図を見れば言わんとすることはわかるはず……）。まずは地蔵岳への登りから始まる、地形図的にはそこまでアホみたいな急登ではないはずなのだが主稜線に出る直前などはまあまあしんどかった。というか主稜線に出てからもしんどい、どうやらひさびさの高地で低酸素が堪えてきているらしい。玄人たちのテントを随所に見つつ、あえぎながら地蔵岳トラバース区間へ入る。それでもトレースがついているのは大助かりで、少しでも離れたらその瞬間ズボっといくので先頭の人の苦労が偲ばれる。地蔵岳の横のP2400からは地蔵岳とその背景の雄大な景色が見えた。しかしこのP2400、完全な通過地点なのに地味にしんどいアップダウンである。
もう一つのピークをトラバースでやりすごし、地形図上の2422地点から2736地点まで本日最強のゲキ登りが始まる。最初の200mは樹林帯の中の急登、シンプルに傾斜がしんどい。あとだいたいは大丈夫だがズボるところはたいへんズボる。後半100mは一つ南の尾根との間の沢状地形を進むことになるが地形的にも雪崩が起きやすい場所である。デブリは著明なものはなかったものの雪の層はできており可能性はゼロではなさそう。夏道は完全に隣の尾根に乗り移るようだが沢状の中心からはできるだけ離れたいところ、というわけで尾根を渡らずにアホみたいな傾斜を直上する。この区間はできるだけ早く通過したいので立ち休憩もほぼ取らずに1.2．ストックのリズムで進んでいく。2736地点へ到着したときにはかなりの疲労だったが、このきつい登りの最後のところで森林限界を抜けており、今までの木々の間から鋸岳や中央アルプスは見えていたのだがここで一気に展望が開ける。そして白銀の大仙丈ヶ岳の展望はここでようやくお初。少し進んだ先からはいよいよ仙丈ヶ岳のピークと、そこに至るまでの道のりが見えた。
森林限界を超えているので雪面はクラストし堅く締まっておりとても歩きやすい。天気も晴れだし風もそこまで吹き荒れているわけでもない……のだがいよいよ低酸素が猛威を奮ってくる。残り標高差が300mを敗残兵のごときスピードでノロノロと歩きようやく仙丈ヶ岳カールを見下ろす主稜線に到着。さらに100m主稜線を登り11時10分、ついに有雪期の3000m峰を踏んだ。正直トレースがなくて2736地点にたどり着けずに敗退、なんてストーリーも想定していたのでホントにこれてしまった……という喜びはひとしおだった。山頂からは甲斐駒、鋸、八ヶ岳、中央アルプス、天竜川の盆地、大仙丈ヶ岳、農鳥岳、間ノ岳、北岳、鳳凰三山と文字通り360°の展望があった。
記念撮影などを一通り終えると風が強くなり身体も冷えてきたので下山にかかる。ちょうど下り始めたあたりで南側からガスが湧いてきて、360°の展望はギリギリセーフだったらしい。登りはあれだけしんどかった道も下りはしっかりクラストした斜面はどこでも歩けてサクサクと下る。往路の半分以下の時間で2736地点へ到着。その後の急傾斜も重力に身を任せザクザクと下り、樹林帯の中へ退避してからも大きな苦労なく小屋には14時過ぎころに戻ってこられた。
このまま今日中に下山してしまう手もあったが、まあまあ疲れたし今日の晩ご飯用の食材とBeerもあることだし、予定通り今日はもうゆっくりして明日下山することにした。前日小屋を使っていた単独の人はもう今日中に下山してしまうようで、この日の小屋はまさかのわれわれ2人の貸し切りだった。3連休というのもあって道中それなりの数の人とすれ違っていたのだが、まあこの時期にこの山に来るのは皆テント泊の玄人らしい。
この日の晩ご飯は……ほうとう鍋だったのだが、余ったマルタイ棒ラーメンをぶちこんだことにより糖質過多の濃い味すぎる何かになった。体感としてはやたらしょっぱい餅を食べている気分。もはやこれは高血圧鍋である。水が貴重な雪山においてこの鍋のせいで水の消費が爆増してしまった。2種類の異なる麺類を混ぜてはいけない（禁忌）。
3/21
午前5時半に起床。この日はもう帰るだけなので前日のような緊張感もなく、7時に出発。荷物は昨日よりはさすがに重いが行きのような絶望的な重さではない。P2087への最後の登りを越え、あとはひたすらだらだら下っていく。下るにつれて気温も上昇し、緊張も解け、林道と登山道の分岐を見落としたりしつつ下っていくがまあ大きな問題にはならなかった。3時間程度で下山完了、これなら昨日のうちに降りてもギリヘッデン下山は回避できたかもしらん。まあ仙丈ヶ岳アタックから引き続いて下山してたらもうちょい時間はかかってたかもしれないが。
下山後は道の駅南アルプスむら長谷で名物？の配られるクロワッサン（現代日本でパンを無料配布するところがあるとは……）を食べ、高遠温泉さくらの湯で汗を流し、無事登山終了と相成った。この後木曽駒に登ろうと思っていたが次の日が大雪であっさりと諦め車中泊旅行をすることになったがこれはまた別の話……
今回苦しめられたもの
・荷物重すぎワロエナイ(25�舛�背中と首と腰にダイレクトアタック)
・綺麗な水の少なさ(小屋の周りの雪は汚い)
・久々の3000m級の酸素の薄さ
・氷点下の小屋内でバリバリに凍りついた登山靴
今回助けられたもの
・山頂までずっとついていたトレース（雪山軟弱マンにはありがたいがもう何年ラッセルしてないだろう……）
・同行者の長野県民（寒さと低酸素に強くてすごかった）
こっそり拍手
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