奥穂高岳・天狗岳・間ノ岳・西穂高岳


- GPS
- 32:00
- 距離
- 17.4km
- 登り
- 2,370m
- 下り
- 2,365m
コースタイム
新穂高8:45
白出沢出合9:55-10:05
重太郎橋11:10
荷付小屋跡11:50-12:00
穂高岳山荘14:15
●9月11日
穂高岳山荘4:50
奥穂高岳5:20-5:50
ジャンダルム7:00-7:15
天狗岳8:50-9:20
間ノ岳10:10-10:30
西穂高12:00-12:20
西穂山荘14:40
新穂高16:00
天候 | 晴れ時々曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2009年09月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
ルート上の鎖場の鎖は、必ず安全とはいえません。 体重を全部預けることなく、補助的な物と考えてください。 一本の鎖をつかめるのは一人だけです。 複数の人が同時に掴むのは危険です。 ルート上の○印の付いている岩自体が浮石の事もあります。 5〜7時間、ハードな上り下りが続くルートです。 ガイドが居れば必ず安心して行けるレベルではありません。 大人数でのパーティーは、このルートでは危険です。 小編成に分けないとペースを維持するのが大変です。 多人数での行動は落石が怖いです。ヘルメットは必ず装着の事。 ※この山行時に遭難事故あり、航空事故あり 9月11日 64歳の方が体調不良により心停止、死亡 岐阜県防災ヘリ上記遭難者救助活動途中 ロバの耳に機体後部を接触させ墜落 隊員3名殉職 |
写真
感想
そう、今回は念願の奥穂高から西穂高に縦走するのだ。
登山を始めてからずーっと、憧れていた場所。
体力技術とも未熟、不安のある者は立ち入ることの
許されない、国内一般登山道の最難関コースである。
昨年、腕試しで奥穂高からジャンダルムまでは日帰りで行き
その後、DVDでも研究。
「西穂・奥穂縦走」
(このDVD高山図書館の倉庫に保管してあります。言えば出してくれますよ)
そして、やっと自分でも行ける自信が付いたので行くことにした。
9月の上旬を選んだのは、真夏に比べ雷雨など急な天候の変化が少ないし
春先よりも、道もある程度しっかりして踏み固められているから。
体力的にも、知識的にも万全の準備が出来ました。
9月10日
朝3時に目覚ましをセットしたのに
起きてみると・・・・・
明るい・・・スズメがチュンチュン鳴いてる・・・・・
時計見ると7時!!
準備は、寝る前にしてあるので
急いで、新穂高へ車を飛ばす!!!
当初、頭に思い浮かべていた、雲の上の穂高岳山荘で
まったりした時間をすごす計画は台無し。
新穂高に着き、林道を歩く。
いつもは、ここを自転車で行くので、歩きは長く感じた。
白出沢出合に着き、ここからは本格的な登山道。
登っていくと重太郎橋が見えた。
昨年と場所が少し上流に変わっていた。
岩切り道が崩れたからである。
そして、新しく出来たはしごをわたり
岩切り道を少し歩いたところで大きなスノーブリッジが崩れた!!
テレビで見る氷河の先端が崩れるような感じ
ズシーンッ!すごく大きな音。
この辺りで、色々自然の強さを見せ付けられる!!!
荷付小屋で軽く休憩をして
いよいよ、石ころゴロゴロの白出沢を登る。
この道は、ジクザグにルートをとってあるが
今回は、あえてルート無視の直登り!
浮石が沢山!自分で足場を一歩一歩確保して進む。
あえて直登をしたのはルートをショートカットしたかったのではなく
浮石が多いといわれる明日のルートの練習をしたかったからです。
浮石を踏まない掴まないで集中して歩いていたら
遠く感じた穂高岳山荘もあっという間に到着!
14時15分、思ったよりも早く着けたので、山荘でゆっくり出来ました。
穂高岳山荘で、宿泊の受付を済ませ
ザックを山荘に置いてカメラだけを持って
近くにある涸沢岳に登りました。
山荘から一番簡単に登ることが出来るピークです。
ここに登ると、北アルプスが一望できます。
穂高岳山荘を眼下に、その向こうには
明日縦走するジャンダルムも見えます。
好きな槍ヶ岳はガスってました。
涸沢岳を楽しんだ後、山荘に戻り
薪ストーブを囲んで、山荘のオーナー今田さんや
(なんとノアドココさんのご親戚だそうですよ)
他の登山客と山談義にで盛り上がり時間が過ぎていく・・・・
17時が山荘の夕食の時間。
山荘の夕食はこんな感じ。
大変美味しくいただけました。
夕食の後は夕焼けも堪能!
雲は少し多めですが、どっPーカンこの方が良い!
雲の演出は、その時、一瞬しか味わえませんからね。
それにしても、寒い!!!
Tシャツ、ロンT、フリース、レインウエアを
着ているというのに・・・・
何度か、温度計見ておけばよかった。
夜景の撮影もね!
寒い中、震えながら撮影・・・
明日、登るジャンダルムも闇にそびえています。
高山、松本の街の灯りがはっきりみえました。
この景色を撮るなら一眼が欲しい。
でも、今回は荷物を少しでも減らしたかったので
コンデジで我慢。
それにしても、ノイズが多すぎ!涙
翌日は、御来光を奥穂高で見ようと
山荘で仲良くなった人と、5時前くらいに出かける。
外は本当に寒い!
半袖シャツ、長袖シャツ、フリース、レインウエアの
4枚着込んでも寒い。
歩いて体が温まりだしたらようやく寒さも落ち着いてきた。
奥穂高に登ってみると、空は、ちょっと曇り気味で
御来光は、雲の間からほんの少し見えただけ
御来光を見た後、朝食タイム
穂高岳山荘でもらった弁当を食べる。
穂高岳山荘のお弁当は、なんと飛騨名物の朴葉寿司なのだ!!
この酢飯の味が美味しくて感激!
山で食べると何倍も美味しく感じるなぁ。
2つのうちの1個を食べ、腹ごしらえがすんだ後に
奥穂高頂上に居る4人の登山客と
話をしてみると、みんな初めて西穂高に向かうとの事。
それなら、一緒に行きましょう〜!
西穂高へ向けてある目的を持った猛者共5人で
即席パーティー結成!
もともと単独で行く人が集まっただけなので心強い。
写真を撮るにも、ルート上に人が居る居ないでは
臨場感の伝わり方が全然違うから
このパーティー結成はうれしい。
まずはジャンダルムへ!
最初の難所は、やはり馬の背です。
初めてここに来たときは、どうやって行くものなのか?
悩みましたが、一度経験していると簡単なものです。
でも左右に1000mは切れている場所なので滑落したら助からないです。
馬の背を下るのもエグいです。
岩の裂け目を手で掴んだり足を入れたりで確保しながら
ゆっくり石を落とさないように降りていきます。
ロバの耳を超えて
ジャンダルムへの登りです。
黄色の点線の所が、登って行くルートです。
遠めに見ると、無理っぽそうに見えますが
近くに行くと、ちゃんとルートが付いていて登りやすいもんです。
少し、登ってみて振り返ってみると私達が降りてきた
ロバの耳を降りてくる人たちが!!
垂直降下に見えますね〜。
黄色の点線コースのところを登りきった所です。
ジャンダルムの頂上には、すでに人の姿が!
ジャンダルムを直登のコースは危険なのでトラバース
そして、向こう側から登ると・・・・・・
そしてついに、ジャンダルムへ到着。
ついにと言っても、このルートのほんの入り口に過ぎないんだけどね。
でも、憧れる者の多い山、ジャンダルムです。
2度目ですが、ここに立つ事が出来るのは素直にうれしい。
ここに登った者だけが
天使の祝福を受けることが出来ます♪
誰が、この天使を置いたのだろうか・・・・・?
そして天使は今までどれだけの登山者を見てきたんでしょうね。
それにしてもここまで来たものだけに、見ることの許される絶景。
前回来た時は、ガスっていたから
今回は見ることが出来て嬉しい。
まだ、先は長いので、とりあえず
ここまで一緒に来た5人で記念撮影をして
少しの休憩後、先を行きます。
ここからは、未知の世界。天狗のコルまで、下ります。
でも、私はゆっくり写真を撮りながら景色を
じっくり堪能したかったので
パーティーから離れる事にしました。
短い間だったけど、色々話せながら同行できて楽しかったです。
さっきまでは、おしゃべりしなが賑やかに
歩いていましたが
4人と別れ、独りになって立ち止まり
風の音だけになった稜線上・・・・・
ついに、ここまで来たんだとう実感がこみ上げて来た。
右手に、聳え立つは飛騨の名峰笠ヶ岳。
左手には、上高地。
見渡せばはるか稜線の向こうには西穂高。
5年間、色々経験を積んできたから何にも怖くない
目の前に延びる難関ルートを見て
ただただ、本当に嬉しかった。
しばらくこの辺りでボーっとしてたのか
先に行った4人は遥か向こうに。
しばらく進むと
左から天狗の頭、天狗岩、天狗岳の頂上が迫ってきた。
この下が天狗のコルだ。
私が天狗のコルへ直下の下りを始めたころ4人は
休憩した後、歩き出す時のようでUさんが私に気が付いたのか
手を振ってくれていた。
4人をしっかり確認できたのはここまででした。
そして私も天狗のコルへ。
ここはこのルート唯一の分岐地点になっていて
岳沢に下りる事ができる。
ここまでで、弱音を吐いてるような場合は、ここで降りるのが正解です。
天狗の岩稜を登り振り返ると
ジャンダルムから下ってきたルートが・・・・
よくこんな所を下って来たなというのが素直な感想。
どこに自分の歩いたルートがあるんだろう?
手前にある天狗の鼻を超えると
少し広い丘のような天狗岳の頂上です。
ここが奥穂〜西穂ルートの丁度中間点かな?
ここで、お菓子を食べたり景色をまったり眺めて、しばらく休憩。
西穂から歩いてきた登山者数人が居て色々情報交換。
天狗岳だけに、お約束のこんな寒いポーズも。。。。。
一応、某DVDを参考にやりました。 汗
いよいよ天狗岳の西穂高側の斜面は
逆スラブで難所とされています。
でも実際は、靴の摩擦でグリップが効くし
鎖もしっかりあるので、写真で見るほど難所ではないです。
でも、鎖は必ずしも安全ではないです。
劣化していて、いつ外れたり切れたりするかわかりません。
なるべく岩場のホールドに重点を置き
鎖は、補助的に使っていきます。
難所の鎖は、簡単に補修できるものではないので
大切にしたい事と、安全確保のためにも一本の鎖に取り付くのは
一人にして欲しいものです。
目の前に見える斜面には、大人数のパーティーが!!
山では登り優先が決まりですが
あちらのパーティーが登り始めたら
中腹での、すれ違いも大変だし、かなり危険なので
お願いして私が下るまで待ってもらいました。
逆スラブを難なく下り
次は、間ノ岳への登りです。
ここの尾根は、すごく痩せていて、浮石も沢山。
落石を落とさぬよう、一歩一歩、一掴み一掴みに
集中して登ります。
この辺りではガスが出てきて
薄いですがブロッケン現象も。
ちょっと得した気分。
数分単位で、晴れとガスが交互にやってきて
間ノ岳も見えたり見えなかったり
めまぐるしく条件は変わります。
途中、下ってきた逆スラブの斜面を見ると
すれ違ったパーティーが、手間取っていました。
しかも、前後の間も空けずに詰めて登っています。
年齢層も高めだったし、無事山荘に着けるのか心配になりました。
(この後、このパーティーから遭難者が出て、救助に向かった
岐阜県防災ヘリが墜落するという痛ましい事故が起きたのです。)
そして、間ノ岳に到着!
石にペンキで間ノ岳って書いてあるだけで
急いでいる人は名もなきピークとして、意識もせずに
通り過ぎることもあるらしい。
間ノ岳から見える、このピークの向こう側には西穂高です。
間ノ岳の頂上で、休んでいると
奥穂高で出会った、ペアが登って来るのが見えた。
そんなに時間もかかりそうでなかったので待っていた。
ペア到着後、ここまでの道程の事を、話しながら休憩する。
やはり、先ほどすれ違った10人パーティーは
私以外の目にも危なっかしく映ったようで
この方たちも、10人パーティーの事を心配していた。
疲れも落ち着いたところで間ノ岳の西穂高側の斜面を下る。
ここも浮石だらけ。
先行者も居るので浮石を踏ぬかないよう
そして自ら落石を作らないように慎重に下る。
間ノ岳は、風化が進んでいて
穂高連峰の中で、一番弱いピークなんでしょう。
非常に繊細な山に感じました。
そんな間ノ岳を振り返って眺める。
間ノ岳を下ってからの西穂高までの登りもきつかった。
奥穂高から岩を這い上がったり下りたり
足場の確保に集中していたから、ここまでで
肉体的にも、精神的にも疲労がピークに達していたのだと思う。
西穂高手前の少し平らなピークを越え
やっと、西穂高に到着!!
達成感と、緊張感から解き放たれた開放感。
そして、楽しい縦走がこれで終わってしまうという
寂しさが入り混じった複雑な気持ちだった。
本当に、ここを歩く事が出来てよかった。
また、いつか歩こう。
あとは、見覚えのあるルートなので
ゆっくり下りることに。
しかし、疲労が蓄積していたのか右足を
負傷していたことに気がつく。
奥穂高から西穂高に下るルートは体力的には楽だが
足腰には、負担が掛かるようです。
そんな事があり西穂高からの下りは、足取りも軽くとは言えず
ストックの力を借りてゆっくり下りました。
そして、なんとかロープウェイ西穂高口駅に到着。
携帯の電波も届くようになったので
電源を入れると、連れからメールで穂高でヘリの墜落事故を知る。
その後、友人から安否の確認の電話やメールが・・・・
大変ご心配をおかけしました。
今回の遭難、事故のニュースで
このルートが危険であると、世間一般の知ることとなりましたが
山歩きの経験を積んでのぞめば本当に良いコースだと思います。
「想い出の山」写真&レポートコンテスト 「山行記録部門」 by モリパーク アウトドアヴィレッジ(MOV)
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