槍ヶ岳 (新穂高温泉からピストン)
- GPS
- 12:07
- 距離
- 27.4km
- 登り
- 2,253m
- 下り
- 2,253m
コースタイム
- 山行
- 11:31
- 休憩
- 0:36
- 合計
- 12:07
天候 | 前夜は雨。しかし,「山の天気予報」では「朝方に雨はやみ,回復に向かう」とのこと。 それを信じて,車中泊。 朝4時に起きると,ガスってはいるものの,雨はほぼ止んでいました。 そして,予報どおり次第に雲が切れて‥‥。 雲は多めでしたが,晴れの1日となりました。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
(550K) |
コース状況/ 危険箇所等 |
コースに危険箇所はほぼありません。 「(お盆に事故のあった)滝谷の状況はどうか」と他の登山者の方から聞かれることもありましたが,前夜の雨ほどなら滝谷の渡渉に困難はありませんでした。 |
その他周辺情報 | ヨレヨレにへばった足腰は,「ひがくの湯」でお湯につかって簡易リハビリ(大人700円) |
予約できる山小屋 |
槍平小屋
|
写真
感想
35年ぶりに,槍ヶ岳に登ってきました。
そもそもボクが山登りに興味をもったのは,小学校の高学年のころ,
家の押し入れの中に,親父の若いころの山のアルバムを見つけたのが始まりでした。
親父は戦後数年たったころに,
職場仲間に誘われて,槍ヶ岳・後立山連峰・立山や剱などを登り,
その写真をアルバムに残していたのです。
アルバムに貼りつけられたモノクロ写真の中の山の風景に,
子どもながらに「うわ〜,すごい!」と思いました。
物置の奥に,そのとき親父が使っていたピッケルや軍靴も見つけました。
錆びたピッケルをサンドペーパーでピカピカに磨いて,
「ボクもこれで山を登ってみたい」と思いました。
そこで,小学校の図書室で『アルプス登攀記』や『ヒマラヤ登攀史』などの本を見つけては,
夢中で読んだのでした。
マッターホルンを初登頂したウィンパーたちが,山頂でブロッケン現象を見た話や
下山途中に仲間が滑落してザイルが切れてしまう話。
初の8000m峰登頂に成功した,モーリス・エルゾークのアンナプルナ登山。
ヘルマン・ブールが単独登頂した魔の山ナンガパルバット。
今でも,本を読んでいるときのワクワク・ドキドキ感を覚えているくらいです。
そして,「中学生になったら,父さんに槍ヶ岳に連れて行ってもらう」,
なぜか勝手にそう考えていました。
でも,すでに山から遠ざかっていた親父が,
ボクを山に連れて行ってくれることはありませんでした。
ボクが憧れの山・槍ヶ岳へ初めて行ったのは,1977年10月,大学1年生の秋でした。
高校登山部時代の仲間と2人で冷たい雨の中,上高地から梓川をさかのぼり,
ヘトヘトになって殺生ヒュッテまで歩きました。
雨がしみ込むようなツェルトの中で一晩をすごし,翌朝,ツェルトから顔を出すと,
想像していたよりはるかに大きな槍ヶ岳が,目の前で朝日に輝いていたのです。
言葉にならないほどの感動でした。
その日,初めて槍の頂きに立って,そのあと燕岳への表銀座コースを歩きました。
ふり返れば,そこにいつも槍が見えて,
でもだんだんと遠くなっていくのがちょっと寂しかったのを覚えています。
それから3年間のうちに,春・夏・秋・冬と4回,槍ヶ岳へ行きました。
最後に行ったのは,1979年12月です。
高校登山部のOBパーティーで新穂高温泉から槍平に入って,
そこから雪と氷の槍ヶ岳に登ったのです。
西鎌尾根がガチガチの青氷になっていて,
ピッケルもアイゼンもわずかに引っかかるだけ。
「滑落したら,一巻の終わり」とピリピリに緊張しました。
それから,35年がたちました。
今回は,ある意味ではあのころには考えもしなかった「槍ヶ岳日帰り」です。
前夜,かなり雨が降っていたので,
「あ〜あ,本当に天気は回復するのかなぁ」とテンション下がり気味。
でも,朝には雨は止んでいて,登るにしたがって晴れ間も見え始めて,
今度はどんどんとテンションアップ!
「晴れるのはお昼から」という予報に,
「あまり早く行っても,山頂はガスの中?」と思っていましたが,
こうなってくると、一刻も早く稜線に上がろうと,ほとんど休まず歩き続けて,
6時間で飛騨乗越に着きました。
飛騨乗越からは,槍の穂先がのぞいていて,
「おっ,槍だ!」とますますテンションアップ!
槍ヶ岳山荘から見える大きな槍ヶ岳は,35年前と何も変わっていなくて,
まるで時間が止まっているかのようでした。
槍ヶ岳山頂からの風景も,何も変わっていないように見えました。
たぶん播隆上人の見た景色も,これと変わりなかったんだろうと思います。
何百年も変わることのない,悠久の自然。
それにくらべると,人の一生は短いですね。
でも,だからこそ,ボクもこの先できるだけ長く山を,人生を楽しんでいきたいです。
山頂に30分もたたずみながら,そんなことを考えていました。
下りは5時間を費やして,12時間かかって新穂高温泉に戻ってきたときにはクタクタでした。
季節はもう秋です。雪が降る前に,あと1〜2回は2500mを越える山々へ行きたいなぁ。
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