雨山峠―鍋割山


- GPS
- 06:56
- 距離
- 14.0km
- 登り
- 1,313m
- 下り
- 1,308m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2009年12月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
雨山峠まで寄沢沿いのルートは、鍋割峠分岐の先で沢底に同化するまでは、踏み跡は割とハッキリしている。迷いやすいと思い込んで淡い踏み跡やテープに従うと、かえって間違える(反省・・・)。林業関係の人が巻いたテープがかなり多いようなので注意が必要。道形が薄れ、なかなか指導標が出てこなくなったら道を間違えた可能性が高い。 逆コースの場合、雨山峠へ下る道は黄緑のテープが目印。見逃すと西へ向かう尾根に誘い込まれる。 茅ノ木棚沢の頭と1108mピークの間の鎖場は足場が砂混じりで崩れやすく、一番の難所。 |
写真
感想
【独り言】
寄行きのバスは10人ほどの客を乗せて出発し、定刻よりやや早く終点に着いた。一番にサッサと歩き出す。バスの中で気温0度の表示を見たが、日は照っているものの、なるほど寒い。
抜いていった箱根登山タクシーがすぐ戻ってきたので「おや?」と思ったら、もう寄沢を渡る橋のたもと、やどりき水源林へ伸びる林道の一般車通行止め地点だった。タクシーを降りた夫婦連れの登山者が案内板を見ている。細くなった林道沿いには、ロータリークラブだかの手でいろいろな木が植えてある。やがて堰堤の手前の広場で林道は尽き、標高500m前後の登山口に到着。雨山峠まで3.2キロとある。
登山道は右へいったん山腹をジグザグに登り、堰堤の上で寄沢左岸に出て早速、最初の渡渉地点となる。ここまで8分ほど。以降、河原を辿りながら5〜10分おきに3回の渡渉を繰り返す。9:30に第4の渡渉を済ませて約5分後、左岸沿いの登山道に河原が近づき、沢へ降りる方向の木にピンクのテープが見えた。これを見たのが間違いの元だった。
実は、寄沢の道が迷いやすいと聞いて事前にネットで経験者の山行記録を検討。ヤマレコに新しい記録が少ないため、検索でヒットした人の記録を参考にしたのだが、その人は標高700m付近の左岸から右岸への渡渉が分かりにくいと警告していた。
ピンクテープを見たのは標高660m付近。まだ問題の地点より手前であり、道形も急に不明瞭になるので間違いと分かりそうなものだが、「分かりにくい」の警告に引きずられ、標高は誤差の範囲と判断して沢を渡ってしまった。すると、はるか上流側と下流側少し高い所の両方にピンクテープが見える。
さあ、困った。まず下流側を探ると、ほとんど踏み跡はない。じゃあ上流だなと判断して取って返すと、渡渉地点付近で対岸を歩いて来る人の姿が見えた。そのまま観察していれば正しいルートがすぐ分かったのだが、なぜかこのまま上流へ辿るのが正しいのだと独り決めしてしまい、歩きにくい石だらけの沢床を200mほども登ってしまった。テープはたまに見つかるが、今までと比べて余りに指導標がなさ過ぎる。第一、振り返っても先ほどの人影が全く見えない。がっくりして「やはり下流側か」と思い直し、元へ戻って下流側の植林帯へ分け入った。だが、テープは木々に巻いてあるのだが道形はなく、100mも行くとどこへ向かうべきか全く分からなくなった。
迷った時の鉄則は、はっきり確認できた最後の地点まで戻って地図を見直すこと――そんな基本中の基本を思い出し、沢を渡って元の登山道へ。と、何のことはない、前方にはっきり登山道が伸びている。登山口側から見ると右に戻るように曲がって山腹を登るため、多少目につきにくいのは確かだが、普通なら間違えることはない。右岸に渡るポイントが分かりにくいということばかり気にしていて、進行方向右側への注意がおろそかになっていたようだ。この勉強代は約30分の時間ロスだった。
気を取り直して先を急ぐ。道はすぐ鹿柵に当たって左に曲がり、沢から少し離れた所を平行して登っていく。小さな支流を越す所で、車止めで出会ったご夫婦が休憩していた。迷った旨を話すと、ご主人が「鍋割峠への道はとても辿れないので、迷い込まないように」と注意してくれた。拝聴して先発し、間もなく本来の第5渡渉地点へ。対岸に鎖場があるものの指導標も立っており、別段、迷うようなポイントではない。
急な尾根伝いに標高を稼ぎ、800mを越えた所で鉄階段を下りて鍋割沢。鍋割峠と書いた指導標もあるが、踏み跡は薄い。こちらは左へ進んでさらに登ると、「危険!」と記した看板の所へ出た。この先、沢沿いルートなので出水時は通るなという旨が記してある。道は沢の左岸上方をトラバースするように伸びて行き、やがて谷底に同化した。踏み跡のはっきりしない区間も多いが水はほとんどない。鉄梯子が現れたり、沢の二股で中空に張ったワイヤに指導標が吊るされていたりと、要所要所でルートが確認できる。しいて言えば、中空の指導標が見える一つ手前、確か雨山峠まで0.4kmとある指導標の分岐は、本来右に取るところ、西南西に向かう左股の沢が正しいような気がして一瞬、迷った。右に少し歩いたら誰かの手製の指導標があったので、正しいルートと確認できた。
中空の指導標が事実上、最後の迷いそうなポイントで、そこから西南西に向いた沢は間もなく軽石の小砂利交じりの砂地となり、鉄階段で最後を詰めて雨山峠に達した。真っ白な富士が向こうに顔を出す。寒いので風の当たらない日向を選び、お握り1個を早弁した。
峠の先は歩きにくい小砂利の急坂がまっすぐ伸びる。ひと汗かくと、長いなだらかな尾根に出た。左に檜洞丸から蛭ヶ岳にかけての稜線が良く見える。鍋割山までもう二つピークを越さねばならない。鎖のある割には緩い勾配で長尾根から下ると、南から窪地状の沢を合わせたはっきりしない鞍部に至り、東南に方向を変えて茅ノ木棚沢ノ頭へ急坂を詰めた。ここと次の1108mピークとの間に本コース白眉の鎖場がある。ヤセ尾根を木につかまりながらにじり降り、今度は長さ20mはあろうかという鎖にすがって登り返す。小砂利と砂のような地質で足が踏ん張れず、腕力でよじ登る感じになって息が上がった。
難所を過ぎて気持ちの良い尾根を急ぎ、わずかに下れば鍋割峠。山頂まで最後の標高差180mは、さすがに脚に疲れが出てスピードが上がらなかったが、再び姿を見せた富士に勇気付けられて登頂した。もっとも、富士は既に頭の辺りに雲が湧き始めている。
きょうは鍋割山荘名物の鍋焼きうどんを試す。暖かな山小屋でこたつに入り、アツアツの鍋焼きうどんをすするのは極楽だ。カボチャ天やタマゴの入った豪華版で、これだけでも十分腹がくちた。
登山シャツ1枚にパーカ代わりのレインコート姿で外に出ると寒い。ただ、歩けばすぐ汗をかくのは分かっているので、我慢して出発した。南斜面の道は霜が溶けてドロドロで滑りやすい。気をつけて歩くうちに寒さは忘れた。やがて道も乾き、遠く相模湾を望みながらほどなく後沢乗越へ。道迷いのロスを考えて二俣から大倉へというコース変更も頭をよぎったが、時間を計算すると、3時35分寄発のバスには十分間に合いそうだ。一休みして計画通り栗ノ木洞方面へ尾根を直進した。
疲れた脚に100mの登り返しはやや辛かったが、20分で檜林の中の頂上に到着。さらに10分余で草地に赤松の立つくぬぎ山に着いた。木々の向こうに富士が覗き、東南方向に相模湾が広がる。再び植林帯に戻り、だれもいない道をゆるゆると下った。時々「芝生広場へ」といった指導標が現れ、淡い踏み跡が分かれる。県民の森の散策路らしいが、余り使われていないようだ。
やがて林道に出た。車が3台止まっている。ここは横切って直進し、小さなピークを東へ巻いてパスすると、林道から5分ほどで鹿柵のゲートに行き当たった。「宇津茂」と右を指した指導標があり、少し先に送電線の鉄塔も見える。ゲートを抜け、薄暗い植林の森を下ると落ち葉のじゅうたんが広がる雑木林に変わった。モミジが何本か遅い紅葉に染まっている。もう一度植林帯の中で鹿柵を越せば茶畑の脇に出て、登山道は終わりを告げた。
ここからは見晴らし台に東屋がある茶畑の中の遊歩道のような道を下る。散歩と思しき年配の男性二人が先を歩いていく。なかなか脚が速い。茶畑の脇を下り、車道に出て集落に至るまで15分ほど、とうとう追いつけなかった。初めの茶畑から25分近く歩き、ようやく寄バス停に着いた。3時を過ぎ、冬至間近の太陽は既に山の端に隠れようとしている。
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