鹿島槍ヶ岳(赤岩尾根→爺ヶ岳東尾根)


- GPS
- 22:18
- 距離
- 23.1km
- 登り
- 2,449m
- 下り
- 2,445m
コースタイム
- 山行
- 10:25
- 休憩
- 2:14
- 合計
- 12:39
- 山行
- 7:52
- 休憩
- 1:40
- 合計
- 9:32
天候 | 1日目:太陽は見えているが曇り/風弱め 2日目:晴れ時々霧/風強め |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
岡谷-大谷原駐車場:レンタカー ※高速バスは長野行き・松本行きも選択肢でしたが、発着時刻・空き状況・価格を考慮して岡谷行きとしました。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【雪の状態】 ザラメ雪とモナカ雪が多かった気がする。 登山口付近まで土の露出した場所はほとんど無かった。 尾根に入るとアイゼンだけでも沈み込みはほとんど無かった。(一部、踏み抜きあり) 【各区間の状況】 駐車場-大冷砂防ダム:除雪されておらず自動車は通れないが、関係車両が通ったのか、広く平らに雪が踏み固まっている。 大冷砂防ダム-西俣出合:車両が通ったであろう跡はダムで終わり。沢の左岸の歩きやすい道を進んだ。 西俣出合:堰堤の下にトンネルがあるらしいものの雪で埋まっていたため、おそるおそるスノーシューでトンネル上を歩くことにした。 ※トンネル上には沢が流れています。 西俣出合-高千穂平:ストックからピッケルに持ち替えた。西俣出合から南へ急斜面をトラバースし、壁を上がると赤岩尾根に乗る。赤岩尾根からは非常に急傾斜で、モナカ雪と相まって進むのに時間がかかってしまった。 高千穂平-白樺平:やや広く休憩できる箇所がところどころある。傾斜が緩む区間もあったのでストックで進めるかと思いきや、急斜面で雪が硬い箇所もあったので結局ピッケル使用となった。一部、踏み抜きと痩せ尾根に注意。ここで下山の方と擦れ違うことができた。 白樺平-冷乗越:赤岩尾根の核心部として紹介されるトラバースがある。やや雪が柔らかく、足場が安定しないのが怖い。下山の方のトレースをお借りできたので心強かったが、半分を過ぎると雪が硬く爪が刺さりにくくなったため、少しだけ爺ヶ岳に迂回して進んだ。 冷乗越-冷池山荘:少し下って樹林帯を越えるとすぐに着いた。沈み込みはほとんど無かった。東側に雪庇とクラックが見えたので、やや黒部側を歩いた。 冷池山荘-鹿島槍ヶ岳(南峰):信州側は雪庇が張り出し、境目付近に足を置くと踏み抜く。確実に岩や木々の見えるところを歩くのが安全。布引山付近で風が非常に強かった。 冷乗越-爺ヶ岳中峰:黒部側の斜面をトラバース気味に進む区間が長いが、雪は適度に硬く爪が刺さりやすかった為、恐怖感は薄い。 爺ヶ岳中峰-鹿島山荘:急斜面の爺ヶ岳東尾根を下る。ナイフリッジは緊張感がある。尾根から外れて鹿島山荘が近づくと雪が腐っていて滑りやすい。 |
その他周辺情報 | 湯けむり屋敷 薬師の湯(大町温泉郷):日帰り入浴750円 ツルヤ穂高店:PB商品のジャムやドライフルーツが豊富にある。ドライフルーツは行動食に使いやすい。 |
写真
この日は日帰りの計画だったし、そもそも自分にはまだ早いと思い下山したが、頭の片隅に残り続け、はっきり次の目標となった。
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
ウェストウォーマー
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
三本指ミトン
防水透湿グローブ
予備手袋
防水化繊インサレーション
ダウンジャケット
ゲイター
ヘッドバンド
ヤケーヌ
靴
ザック
アイゼン
スノーシュー
ピッケル2本
昼ご飯
行動食
調理用食材
飲料1500ml
750ml水筒(保温性)
サコッシュ
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
ライター
ヘッドランプ
予備電池
日焼け止め
保険証
携帯
時計
サングラス
セームタオル
ゴーグル
ポール
テント
テントマット
シェラフ
カイロ
シュラフカバー
歯ブラシ
携帯トイレ
|
---|---|
備考 | 基本重量15kg/総重量18kg(アイゼン、スノーシュー、ストック、ピッケル含む) スノーシューは無くてもよかった気がする。 結果的にカイロ,シュラフカバー,ダウンジャケットは使わなかった。 |
感想
昨年2月に爺ヶ岳東尾根を登った時、中峰の山頂から見えた鹿島槍の姿はあまりに壮観でした。
このときは日帰りで爺ヶ岳までと決めていたし、そもそも自分に冬の鹿島槍はまだ早いと思い、そのまま計画通りに下山しました。
それでもずっと頭の片隅に残り続け、雪の鹿島槍ははっきり次の目標になりました。
天候を最優先にしながらも、他の予定との兼ね合いで1月・2月は行けずじまい。
やっと条件が整ったと思われる3月8日9日は、今後のことを考えると自分にとって今年最後のチャンスになりそうです。
仕事終わりの高速バスは楽ではありませんが、行ってみることにしました。
この日、赤岩尾根では高千穂平付近にて下山の方とすれ違ったのが最初で最後で、こんなにも歩いている人少ないのかと驚きました。
道のりは決して楽ではありませんでしたが、最高の状態で目標としていた鹿島槍へ登ることができました。
【判断と反省】
<道選び>
・ヤマレコやYAMAPを見る限り、入山者が多いのは圧倒的に爺ヶ岳東尾根と思われるが、せっかくなら去年通っていない道を歩いてみたい。
・次いでメジャーな道といえば赤岩尾根があるが、冷乗越へのトラバースが危険箇所として有名で、素直にトラバースするにしても直登してしまうにしても、下りでは使いたくない。
・ルートとしては鎌尾根、鹿島槍ヶ岳東尾根、天狗尾根もあるにはあるが、自分の実力に見合うとは思えないので初めから考慮の対象外とした。
⇒登りは赤岩尾根、下りは安全を取って爺ヶ岳東尾根とした。
この判断自体は正解だったと思うものの、赤岩尾根は想像以上に険しかった。
取付きからとにかく傾斜が急で、なかなか先に進まなかった。冷乗越へのトラバースも確かに危険だが、自分にとっては取付き付近の方が印象に残った。
<宿泊場所>
冷池山荘の冬季小屋を計画していたものの、なかなか思うように先へ進めず、途中でのテント泊も頭によぎった。
しかし、そうしてしまうと翌日身軽で登って赤岩尾根を降りるか、もしくは全装備を背負っての冷乗越へのトラバースを暗い中挑むしかなくなってしまう。
稜線が見えていたこともあって、計画通りに冷池山荘を目指すことにした。
⇒結果的にはどうにか暗くなる前に冷池山荘に辿り着けてよかったが、ギリギリだったと思う。
<シュラフ>
予報では冷池山荘の最低気温が-10℃ということで、ギリギリ下限温度-10℃のシュラフで挑むことにした。
⇒足先は冷えたが、化繊インサレーションと起毛パンツを着ればカイロ無しでもどうにか凌げた。(シュラフカバーは単純に使い忘れた。)
<スノーシュー>
光岳の踏み抜き地獄が苦い思い出なのでスノーシューを持参した。
⇒往路の駐車場-西俣出合までしか使わなかったが、ワカンまたはツボ足でも行けたかどうか。
赤岩尾根に乗ってからは傾斜があまりに急だったのでアイゼンに切り替えたが、沈み込みはほとんど無かった。
<ピッケル>
ピッケルは1本でも足りる予想だったが、お守りで2本持ちにした。
⇒爺ヶ岳東尾根のみなら1本でも足りるが、赤岩尾根は急傾斜のモナカ雪に苦戦し、結果的に2本持ってきてよかった。
冷乗越へのトラバース時も2本あったので精神的には余裕ができた。
<飲料>
1月の光岳の時はほとんど喉も乾かず雪に頼ることも無かったが、聖岳では雪をかなり使ったので、初めからしっかり持つ選択をした。
(750ml保温ボトル+1500mlペットボトル)
⇒雪には結局頼ることになったし、今回苦戦した一番の原因は荷物の重さなので、もう少し減らしてもよかったかもしれない。
…人様にお勧めするとしたら、爺ヶ岳東尾根の往復が通行の多さからいっても道の険しさからいっても楽だと思いますが、辛かったからこそ味わい深い鹿島槍山行となった気がします。
おかげさまで悔いなく次の季節を迎えられそうです。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
正直あの赤岩尾根を登ってくる人など居るはずは無いと思っていたので、下方にトレースが見えもしや登ってくる人がいるのかと思って期待していたら、案の定崖をよじ登っている姿を見て関心するやら呆れるやら。
話を聞くと早朝出なので時間掛かり過ぎと思ったが、あの雪の状態では仕方が無かった事、自分なら序盤で諦めて撤退するのだがよく頑張ったと感心しています。
自分のトレースが役に立てて良かったと思います、最後のトラバースの場面は自分でも行こうか止めようかとても迷った結果、あのようなトレースとなってしまったのです。本来ならばトラバースせずに真っすぐ尾根沿いに登るのが筋ですがテカテカの急斜面を下るのも怖くて、、、それにしても無事に登頂下山出来て安心しました。
ありがとうございます!
まっさらな道を誰にも会わず歩いていると不安が強く、お会いできた時はとても心強かったです。
そして付けていただいたトレースには、ルート取りという意味でも安心という意味でも大変助けられました。
(稜線へのトラバースは、あの雪の硬さでは危険に思えました…)
今回、道の状態だけでなく体力的にもかなりしんどく反省点は多いですが、おかげさまで事故や怪我などせずに登頂下山できました!
本当にありがとうございました!
いつもながらK.TAIRAさんの行動力と体力、判断力には驚かされます。今回の鹿島槍も然り。
赤岩尾根。。。下りはもちろん、上りも非常にハードなのが画像から伝わってきました。崖ですね。。。
自分は、そこまでのチャレンジは出来ないので、オーソドックスに爺ヶ岳東尾根ピストンで冬季鹿島槍を目指してみたいと思います!
ありがとうございます!
毎回反省点だらけで運によるところが大きいと思っておりますが、無事に行って帰って来られて、充実感は確かです!
赤岩尾根も一つひとつで見れば難所も長くはないのですが、それでも緊張感はあります。
爺ヶ岳東尾根は天気さえよければとても気持ちいいです!
ぜひお気をつけてお出かけください。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する