【奥穂高岳】2年がかりの大チャレンジ★
- GPS
- 80:00
- 距離
- 34.9km
- 登り
- 1,885m
- 下り
- 1,875m
コースタイム
- 山行
- 1:40
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 2:30
- 山行
- 6:40
- 休憩
- 2:00
- 合計
- 8:40
天候 | ■天候と服装 ・4/30 晴のち雨 http://www.tenki.jp/past/2016/04/30/chart/ 天気予報では晴であったが、昼間は曇っていた。夕方から風も強くなり、雨が降ってきた。山頂は雪が30cmほど積もった模様。 服装:夏用のベースレイヤー+ウィンドシェル ・5/1 雨のち曇 http://www.tenki.jp/past/2016/05/01/chart/ 天気予報では晴であったが、9時くらいまで雹まじりの雨。夜、涸沢は強風が吹き荒れる。 服装:横尾まで:夏用のベースレイヤー+薄手のフリース+ハードシェル 雨が止んでからはハードシェルを脱いで、薄手のフリースを羽織った。 ・5/2 曇のち快晴 http://www.tenki.jp/past/2016/05/02/chart/ 朝、気温2度程度。早朝は薄曇り、次第に晴れて行き、正午からは照りつけるような日差し。風はない。 服装:冬用のベースレイヤー+薄手のフリース+ウィンドシェル 山頂へのアタック時はハードシェルに変えた。 涸沢への下りはベースレイヤーのみ ・5/3 快晴のち曇 http://www.tenki.jp/past/2016/05/03/chart/ 午前中は風もなく晴。午後から曇。風も出てきた。 服装:夏用のベースレイヤー+ウィンドシェル ■外れた天気予報 天気図がめまぐるしく変わり、予報も困難な状況。天気予報も外れている。上記のリンクに天気図を示しているが、現場にいた時の予想天気図とも違う。 大陸方面から南下してきた寒冷低気圧の影響範囲が予想外に広かったのではなかろうか。 厳冬期ほどでないにせよ、寒暖の差も激しく、降雪もあるため、冬山装備は必須である。GWは一瞬で冬山になるということを目の当たりにした。 ■テント泊装備 ・シュラフ:モンベル#1 800ダウン ・就寝時服装:ベースレイヤーにダウンジャケットを着込んで寝た。暖かく、襟元は開けていた。 ・マット:オールウェザーブランケット+夏用のインフレータブルマット+ 銀マット(90x50cmx7mm厚) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
■復路:上高地バスターミナル → 新宿(\7250) |
コース状況/ 危険箇所等 |
■上高地バスターミナル → 横尾 徳沢 → 横尾間で土砂崩れがあり、途中から横尾まで河原の車道を歩く。 ■横尾 → 本谷橋 部分的に積雪があるが、基本的には地面が出ている。 ■本谷橋 → 涸沢 本谷橋は架けられている。冬道は川が露出しているため歩くことができない。夏道を涸沢まで歩く。トレースはしっかりしている。小屋の人が雪面につけてくれている赤マークもあるので迷うことはないだろう。 ■涸沢 → 奥穂高岳 写真に記載 ※遭難が多発していたが、穂高岳山荘のブログを見ると技量不足が目立ったという。事故に至ったもの以外にも、危険箇所での滑落や転倒を目撃した。十分な技術を持って臨むべきであろう。 |
その他周辺情報 | ・徳沢ロッヂは今年からリニューアルオープン、日帰り入浴が可能。 ・小梨平キャンプ場に、日帰り入浴が可能な公衆浴場がある。 |
写真
装備
個人装備 |
ベースレイヤー
フリース
ソフトシェル
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
ダウンインサレーション
ゲイター
ネックゲイター
ニット帽
靴
ザック
アイゼン
行動食
非常食
飲料
テルモス
プラティパス
地図
コンパス
計画書
ヘッドランプ
スマートフォンGPS
予備バッテリー
筆記用具
保険証
時計(高度計)
サングラス
ストック
カメラ
ピッケル
マット
シュラフ
ビーコン
プローブ
|
---|---|
共同装備 |
テント
ポール
竹ペグ
テントシート
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
ツェルト
スコップ
スノーソー
ガス(250缶x1)
ガス(110缶x1)
バーナー
コッフェル
カップ
|
感想
事の始まりは一昨年GWに涸沢に遊びに行ったことであった。
当時の自分たちにとっての雪山といえば、低山の雪山ハイキング程度のものであった。穂高に登ろうなど、つゆほどにも考えてもおらず、涸沢から雪の峰々が見るだけで、十分満足だったのである。
「雪の穂高なんて、ごく一部のエキスパートが登るような高難度な山でしょ」
と思っていたのだが、行ってみてビックリ!!テント場は登山者で大にぎわい。しかも白い斜面に、蟻の行列のごとく、大勢の登山者がゾロゾロ山頂に向かっている!!
ナンジャコリャ!?
夏山並の登山人口じゃないか!?
そして・・・・・・・
困った事に・・・・・・・
「俺らも、頂上目指せるかもしれない」
と思っちゃったのである。
((((;゜Д゜)))))))
まぁ、その時は半分冗談のようなものだったが、雪山にのめり込んでいくうちに、「冗談」は「本気」に変化していく。
装備を揃えるためにお店で相談する時も、
「GWの穂高に行ける装備を考えてます」
とつい言ってしまうし・・・
「穂高に行くなら赤岳くらい行っとかないと」
と、ツアーに参加したり・・・
不思議なもので、穂高岳という存在は、徐々に「チャレンジの対象」として形成されていったのであった。
そして去年のGW・・・・
「いざ奥穂高へ!」
と計画をしかけたが、やめてしまった。
奥穂高山荘から上に70°くらいの雪壁が2つあるのだが、写真を見て
「こりゃ無理かも・・・」
と思ってしまったのである。
ちなみにこのレコの代表写真がそのうちの一つ「白出のコル」の雪壁。落ちたら即死するような場所で勇気でなんとかなるもんじゃない。我々が登った前日にも滑落事故が発生し、巻き添いまで引き起こしている。
雪壁も問題だが、アプローチとなる小豆沢自体も傾斜が40-60度くらいあり、アイゼンワークも登降技術も全般的に足りない。
「じゃあ技術を身につけるにはどうすればいいのさ?」
そこで雪山に効くという岩登りの講習会というのを見つけて、それに参加してみることにした。
ガイドさんの話だと、雪山と岩登り=クライミングには共通するところが多いので、身近なところではボルダリングをするのがいいという。
理由はいくつもあるが、バランス感覚と重心移動のトレーニングになるところが大きい。
大雑把に言えば、そんな壁を登れるようなら、雪壁や氷壁も登れるという事になるが、垂直に近い壁でトレーニングすることでバランスと重心移動の感覚がスキルアップし、雪の斜面や、岩と氷のミックス帯でのアイゼン歩行が安定するようになるのが、雪山において効果的な部分だと思う。
そんなわけで、ボルダリングジムに通ったり、アイゼンワークを習いなおそうと、歩行技術に定評のあるガイドさんのアイゼンワークの講習会を受けた。ダメ押しの雪壁対策としてアイスクライミングにもトライしてみた。
それで良かったのが、八ヶ岳や南アルプスなど、難度が中級くらいの雪山に行けるようになったことである。
「こうなりゃこっちのもんだ!」
あとは、楽しみながらスキルアップが加速していったのである。
そして、いざ、本番の奥穂高岳・・・
核心部である雪壁を乗り越えて立ったところには、いままでにない、人を軽々しく受けいれない厳しい世界が広がっているように見えた。
雪壁の存在のせいか?北アルプスの峰々の険しさか?
なぜかこれまでに登ったどの雪の山々より厳しさを感じられ、白銀の峰々の連なる景色は、神々しく見えたような気がした・・・
そしていつの間にか、雪山の世界が広がっていた。穂高にチャレンジすることで、雪山登山に関する様々な活動を活発化され、楽しみのフィールドが広がったのである。
さあ、つぎのシーズンはどこにいこう?
穂高からは、たくさんの雪山への切符がもらえたのだから。
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■お世話になった講習会や施設
最後にお世話になった講習会や施設を紹介する。
こういった方々のお力添えなしには、今回の登頂はなしえなかったであろう。
登頂を目指す方の参考になれば幸いである。
・ミキヤツ登山教室
個人で登る登山者向けに雪山やクライミングの技術を教えてくれる。赤岳以上の雪山に登る人におすすめ。雪山初級コースは成功率の低い滑落停止より、そもそも滑落しないための極めて精度の高い歩行技術を習得することがゴールとされている。的確かつ論理的なわかりやすい指導は非常に手厚く、その評価は高く人気がある。
・BASE CAMP
クライマー平山ユージ氏オーナーのクライミングジム。ボルダリングとロープクライミングができる。これでもか!と言うくらい緻密に考えられたルートは、登るだけでテクニックが覚えられるように設計されているため上達し易い。家族連れも多く、初心者でから熟練者まで楽しめるレベル設定も嬉しいところだ。BASE CAMP TOKYOというボルダリングのみの施設もある。
・赤岳鉱泉
言わずと知れた南八ヶ岳のベースキャンプとなる山小屋。アイスクライミング練習用の人工氷瀑は有名で、かなり良心的な値段で利用することができる。専用アイゼンやアックスのレンタルも可能で体験会や講習会も充実している。
cajaroaさん、maamさん、こんにちは。
残雪の奥穂、見事に登頂されたんですね!
これほどじっくり見せて頂いたレコは初めてです。
このGWは事故が多発し、穂高での事故率が群を抜いていましたね。
なぜこうなるのか ... 穂高の【ぼちいこ】で色々書かれていますが、
【ぼちいこ】の管理人さんが、このレコを見たらどれほど喜ぶことか ...
cajaroaさん、maamさんを見習わなくてはいけないと思いました。
ボクも、このGWに北穂を狙っていましたが、
風が強く、天候が不安定だっため、常念に切り替えていました。
そこで、出発前日に日記に記載した交通事故 ...
ついてね〜
と落胆していたところに、一連の北アの遭難事故を知りました。
交通事故で凹んでいた心も、むしろ救われたと思えるようになりました。
いずれにしても、穂高は絶対に侮ってかかってはいけない山域。
2年という月日が長いのか短いのか分かりませんが、
それほどまでの情熱を持って、周到に準備をして挑んだからこそ、
今回の無事の登頂が果たせたと思っています。
cajaroaさん、maamさん、お見事でした!!
shin1116さん、ありがとうございます!
去年はまだ不安な面があったのですが、今年は自信を持ってチャレンジすることができました。でも雪壁では遅い私のせいで渋滞させてしまいましたが(・・;)
この2年間、cajaroaの小言がうるさかったデス。私の後ろを歩くことが多いのですが、歩き方についていつもなんか言われてました(;^_^A
shin1116さん、大きな事故でなくてホントによかったです。なんか強力な守護霊がついてる?
雪山のシーズンは終わりですが、これから新緑が気持ちの良い登山になりますね。次はハナレコかなー
shinさん
こんばんは
コメントありがとうございます。
事故として上がっていませんでしたが、北穂では小規模の雪崩に巻き込まれた方もいらっしゃったようで(ご無事だったようです。)北穂のルートは天候が良くても、かなり危険な状態だったと聞きます。止められて正解だったと思います。
ただ、交通事故に加え、常念まで中止とは残念でしたね・・・・
あまり苦労談のようなものも書きたくなかったのですが、「ぼちいこ」の遭難記事に対するコメントの中に「ヤマレコってみんな簡単に登ってるように見えるね」という意見があったのを見て、「まぁ確かにな」と、雪山未経験者が、単独(2人)でどうやって登るに至ったのか書いてみた次第です。
僕らの中での、登山の可能の判断基準は、「100回登って100回帰ってこれるか?」
なのですが、それを穂高に対して、雪山経験ゼロから2年でやろうとすると、こんな感じになってしまうのかも・・・ただ、他のスポーツは教わったり練習するのが普通なので、そう考えると、特別なことではないのかもしれません。
山のトレーニングは山で済ませたいのが本音ですが、命が懸かっていますし・・・
実は初めはボルダリングとか嫌いでしたが、ただ、楽しむための努力だけは惜しまないタチなんで、なんだかんだで楽しくなってきてしまいました。
(^ ^)
再来週は外岩のクライミング講習に行くのですが、来年はもっと恐ろしいことをしてそうで怖いです。
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