東黒沢遡行〜一ノ沢下降〜ナルミズ沢遡行


- GPS
- 32:00
- 距離
- 17.4km
- 登り
- 1,702m
- 下り
- 1,674m
コースタイム
土合駅9:30−9:40入渓点(入渓準備)10:00−10:25白毛門沢出合−(途中10分休憩)−11:50 1080m二俣−(途中10分休憩)−12:45 1350mコル12:55−13:40広河原13:50−15:15大石沢出合15:25−16:05 8m魚留滝−16:45 1410m二俣(幕営地)
5月29日(日)
幕営地4:50−5:15藪取付点−(途中10分休憩)−6:30稜線−7:15ジャンクションピーク(沢装解除)7:35−7:55朝日岳−8:35笠ヶ岳8:45−9:20白毛門9:30−(途中計20分休憩)−11:00登山口−11:10バス停
天候 | 5月28日:晴れ時々曇り 5月29日:快晴のち晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2016年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
(雪渓の状況を中心に・・・) 東黒沢:最後まで雪渓無し。技術的に難しいところも無く完全癒し系の沢です。 一ノ沢:コル付近に申し訳程度の雪渓あり。いくつか小滝があるが全て容易にクライムダウン可能。 ナルミズ沢:最初の雪渓は大石沢出合直前。幅の広い雪渓で右の草原状から巻いた。その後しばらく雪渓は無いが、標高1400m前後から再びちらほらと雪渓の残骸が現れる。二俣以降本格的に雪渓が増えだし、標高1460m付近から遡行継続できなくなりエスケープ。以降の様相不明。二俣より前の部分に関していえば、全体的に渓相が大変美しく、適宜巻き道を利用すれば技術的に難しいポイントもほとんどない。水量豊富で、盛夏であれば泳げるようなポイントもちらほら。魚影は濃い。幕営適地は、(少なくとも)広河原、大石沢出合付近、二俣付近にある。広河原の適地が最も快適そう。 |
写真
感想
年によっては8月でも雪渓を見るというナルミズ沢、「5月に行くなんてcrazy!」と言われそうですが、一応以下のことを考慮しての計画でした。
・上越における今年の記録を見たり、今年の写真と過去の写真等を見比べたりしたところ、残雪の状況が通常に比べ少なくとも1か月早く減少していると思われること
・アメダス「みなかみ」や「湯沢」の記録を見ても、積雪が例年より少なくとも1ヶ月早く減少していること
・5月下旬に入って連日例年より高い気温が継続していること
このため、積雪の観点では上越近辺は通常よりも30日〜40日ほど季節が速く進行しているのではないかと考えられ(すなわち現在は7月初頭くらい?)、一方、ガイドではナルミズの遡行適期は7月中旬〜とされていることから、それなりに雪渓は残っているにしても全く遡行できないということはないだろうと考え、半分興味も兼ねて計画した次第です。
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5月28日(土)
上越線でアプローチするが、上牧あたりで既に谷川岳や朝日岳と思しき山々にびっしり雪渓が残っているのが見え、この先どうなるか不安になる。
いつもなら防水&耐衝撃性のデジカメで写真を撮るのだが、今回は土合駅に着くなりいきなりシステムエラーとか言い出したので、iPhone6での撮影に切り替える。
登山ポストに計画書を投函し、まずは東黒沢へ。
盛夏であればキャニオニング軍団と出くわすところだが、この時期はさすがにイベントは開催されていないようだった。
昨年8月に白毛門沢に行った時には東黒沢で入渓直後に一箇所大きな雪渓の残骸があったのだが、今年はそれすら見られない。どうなってんねん。
この時期なので誰にも会わないだろうと思っていたら、なんとハナゲノ滝の上で早くも2パーティを追い越す。
1パーティは途中まで行って引き返すとの事だったが、もう一パーティはどこへ向かわれるのだろうか(聞けばよかった。。)
白毛門沢を左に分け、本流の遡行を続ける。特に難しいところも無く、延々と続くナメや小滝を楽しみながら快適に遡行する。1箇所ゴルジュっぽいところがあり、ここで同沢を下降してくる1パーティとさらにすれ違った。
10m3段滝は右壁が階段のようになっておりムチャクチャ簡単。
標高900m〜1000m付近にかけては延々と続くナメとなっており、特に印象的な部分だ。ブナの森も美しい。
標高1080m二俣を越えると滝もひと段落し、平凡な渓相になってくる。そして大岩を越すといよいよ源頭の雰囲気。この辺から虫が多くちょっと鬱陶しい。
結局、稜線のかなり近くまで水流があり、ちょっとの藪漕ぎでドンピシャ1350mコルに飛び出した。東黒沢に関しては最後まで雪渓は皆無であった。
そのまま反対側にある一ノ沢の下降を開始する。
こちらは北面にあたるためか、源頭付近にちょこっとだけ雪渓があったが、それもすぐになくなり平和な小沢を下降していく。
途中数個の小滝があるが、どれも容易にクライムダウン出来た。
沢筋が開けてくると、ウツボギ沢に合流し、明るい河原状になる。この辺の広河原は幕営適地が点在しており、焚火跡も一つや二つではなかった。
さて、ここからいよいよ本番のナルミズ沢に入渓だ。
(入渓したところで休んでいると、平行する登山道を降りてきた登山者と会った。)
はじめのうちは河原状だが、すぐに雰囲気が変化し、エメラルドグリーンの釜と幅広の小滝が随所に現れるようになる。想像していたとおりのナルミズ沢、名渓と言われるのもうなずける。
最初に現れるゴルジュとその先の滝はなかなかの迫力。水流中を進んで滝に取り付くこともできるようだが、今回は潔く左岸の台地上の巻き道を利用して越える。(できるだけ濡れずに行く方針です)
アプローチの時は曇っていたがこの頃にはすっかり天気が回復し、開放的な地形と相俟って、非常に快適な遡行となる。まるで真夏の雰囲気だ。このまま雪渓が出てこなかったら・・・なんてことはないか(^^;)
途中、やや細くなっているところで激しい水流を横断できず、右岸の斜面を灌木頼りに巻いた。
大石沢手前で遂に雪渓出現。かなり幅の広い箇所だが、右から左まで大きな雪渓が沢を綺麗に覆っている。ここは左岸の台地上を藪→草付と進んで越えた。越えるとちょうどそこが大石沢出合。本流は3mの滝を懸けて出合っている。
その先は再び快適な遡行となる。水が本当に綺麗だ。結構魚影も見られる。
ゴルジュっぽいところが2箇所ほどあり、1箇所目は浅かったのでそのまま進み、2箇所目は左岸台地上から巻いた。この巻き道はかなりぬかるんでいた。
そして出てくる8m魚留滝。右側がルートらしいが、50mザイルと幕営装を持ってかなりの距離を歩いてきたこともあり、足が疲れていたこと、また水をもろ被りそうだったので、ここは残念ながら右から小さく巻いて越すことにした。巻きは容易。
標高1380m付近で再び雪渓の残骸出現。一瞬「げっ」と思ったが、幸いうまい具合に沢の右半分だけを覆っていたので何の問題も無く通過。
7×15mは左のバンド状を利用。
さて、陽もだんだんと傾いてきたので、二俣で幕営適地を探すことにする。
二俣よりも上流で、本格的に雪渓が沢を埋めている様子が垣間見えた。
右俣の水流際の右岸と左岸に1箇所ずつ適地があったのでこのどちらかにしようかと思ったが、もう周りを調べると左岸に大きな草原(草付?)があったので、より快適そうなこちらでツェルトを張ることにした。
スペースは広いが、平らで水はけのよいところは少なく、何とか見つけた1箇所に張った。なお、草地の外れに水流があり、水はここで得ることが出来た。
さて、明日の予定だが、おそらく遅かれ早かれ雪渓に阻まれるだろう。そうすると、藪を漕いで稜線に上がることとなる。(もちろん引き返して宝川温泉に下山するのも選択肢だがなるべく前進したい。)
そこで、右俣右岸の斜面をよくよく観察すると、テント場からダイレクトに稜線を目指した場合、途中岩場があり場合によっては進退窮まりそうだ。一方、もう少し右側に見える尾根は上部に草原が広がっているように見え、うまくいけばこれを利用できるかもしれない。あとはその場の判断で考えよう。
というところまで考え、夕飯を食べ、眠りに就いた。(前日1時間しか寝てないのでよく眠れた^^;)
5月29日(日)
朝方は風がそれなりに強く、朝のラーメンをつくるときもツェルトがバタバタと揺さぶられていた。
日の出は角度的に見られないが、稜線上部のモルゲンロートが美しい。
今日の行動がなかなか読めないので、5時と早めに行動開始。
案の定、行動を始めるとすぐに雪渓が出現し、行く手を阻む。最初の雪渓は、雪渓の上を歩いて越えることが出来た。
一旦沢床にもどるが、さらにその先に大規模で傾斜の強そうな雪渓が出現。
仮にそれを越えたとして水流が復活する可能性は小さそうなので、ここから左手の藪に取り付き、昨日当たりをつけた場所を目指す。
最初は背丈を越すネマガリダケにときどき灌木や石楠花が混じるような、典型的な上越の藪。100mほど?登ったところ、何やら左手に快適そうな斜面が・・・
そこで左にトラバースすると、ほどなく開けた草原に飛び出した。さらに上を見上げると、やはり稜線付近までこのような斜面が続いているようだ。グッドチョイス!「天国的なナメ」は今回はお預けだが、天国的なナメの代わりとしては悪くない(笑)
結構な傾斜ではあるが、決して登れないほどではなく、藪と草原のコンタクトラインを基本に登っていく。途中から陽が射してきて暑い!
そんなこんなで思ったより早く国境稜線着。ここからジャンクションピークまでは踏み跡を辿る。時に登山道っぽく、時に藪っぽくなるが、いずれにしても単なる藪とは雲泥の差だ。
荷物が重いせいもあり、ジャンクションピーク手前の登りは結構堪えたが、シャクナゲの花にも元気づけられながら登り、ジャンクションピークへ到達=一般登山道と合流。谷川方面の展望や、巻機方面の展望が素晴らしい。
朝日岳からの道は、以前湯檜曽川本谷を遡行した時以来だ。技術的には湯檜曽川本谷の方が当然上だが、今回東黒沢から入渓したことや最後の藪漕ぎが長かったことなどもあり、湯檜曽のときより疲労度は上(^^;
笠ヶ岳、白毛門と順調に進む。心地よい程度の風が吹いている。
白毛門から白毛門沢をのぞき込むが、雪のかけらも見当たらなかった。まあ、日当たりいいもんね。
最後は例によって白毛門の急坂をひたすら下り、土合橋口バス停に帰還した。
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若干チャレンジングな計画でしたが、雪渓の量は、概ね事前に予想したような感じでした。ナルミズ沢の主な部分は遡行できたので、まあ合格の範疇でしょう。あと一ヶ月もすれば雪渓も綺麗に消え、本格的な遡行適期を迎えるのではと思われます。
今年は長いこと上越の沢が楽しめそうです^^
コメント
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orochiさん、こんばんは。
読み通りに雪が少なく、楽しめたみたいですね。
私もorochiさんと同じような読みをしており、今週にでも谷川方面に入渓しようと企んでました。そんな折のレコだったのでとても参考になります。ありがとうございました。
おっしゃるように今シーズンは長い期間楽しめそうですね。今からテンションが上がります
yoshi629さん、こんばんは!
この時期に上越に行けるとかなりお得感があります(笑)
ここまで条件の揃う年はそうそうないですよね
今回東黒沢でも複数パーティを見かけましたし、沢をやっている方はやはり皆さん同じようなことを考えられているのでしょうか
少し日当たりの悪い沢にはまだ結構雪渓が残っている印象だったので、沢の選び方が重要になってきそうですね〜
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